断話
編集した際カットした部分です。
私、アリス・ダーニッツ・リントは只今お父様のご連絡を今か今かと絶賛心待ちにしている所でございます。
なにせ私の今後がお父様次第で決まると言って過言ではないからです。
なぜかと言うと、まず本日は学院の卒業の日で、その後に王宮で催された祝宴がありました。
と言っても学院主催であり、卒院する学生と教員が主な参加者ですのでドレスコードなども比較的ラフな形式であり、学院長の祝辞と共に和やかな雰囲気で祝宴は始まりました。
まぁ、遅れてきた若干名によって盛大にぶち壊しになったのですけれど。
「エリザベート!貴様学院内だけでは飽き足らず学外でまでディーナに悪事を成すのか‼︎
このような心も慈悲もない行い断じてゆるせん。
貴様との婚約など破棄し王の前に引っ立てやる。
罪を悔い改めるがいい!」
不意に発せられた怒声に賑やかだったホールが一瞬にして、静まり返りました。
目の前でにこやかに喋っていた、エリザベート様がスッと無表情になられました。
はい、この時バカ1号ことレウス殿下の死亡フラグが確定。
想定どおりとはいえ実に"ないわー"なセリフでした。
何処をどう見ればそんな結論になるのか、きっと王子の脳みそは花畑で遊ぶスライムなのでしょう。
その後もレウス殿下や取り巻きの令息たちが、有る事無い事エリザベート様や周りに居る自分達の婚約者に向かって
宣われました。
かくいう私も婚約者のカナック様に
「君が格下の令嬢とは言えあのような非道な行いができるとは思いもしなかった。君は俺と共に在るには値しない。この場で婚約を破棄させてもらう。」
と虫やゴミでも見るよう軽蔑した目で見られました。
流石にこの時は素で言い返してやろうかと思いましたがシナリオを思い出して我慢しました。
いやもう本当に
「なんだとこの腐れ―の―野郎が!
テメーの頭は―で―の―だろうが、舐めた口きいてんじゃねーぞこの―。」
と言う心の声が喉元まででかかっていました。
最初からこうなる事を知ってなかったら不味かったです。
とまぁこんな感じで私達は予定通りにそれぞれの婚約者達から一方的な婚約破棄を頂きました。
晴れて私達は自由の身をゲットです。
まぁ、顔だけのナヨっとした細身のガキンチョなんてこっちから願い下げです。
私の好みはもっとガッシリとしたダンディな殿方ですから。
王子達はこちらが黙っている事をいいことに言いたい放題言った挙句、しまいには衛兵をもって取り押さえなさろうとされました。
流石にコレはいただけませんので控えている侍女が止めに入ろうとしました。
その時です、憧れのあの方が颯爽とホールに来られ元婚約者のカナックを殴り飛ばし、王子達が行ったありえない行動を周囲につまびらかになさいました。
おまけに私にも優しいお言葉をいただきましてそれは天に昇る気持ちでした。
あまりの事で誰も声を上げれないなか、
「えっ、なにこれきいてない、こんなのなかった!」
と固まった令息達の後ろに隠れていた男爵令嬢がいたようですがしりません。
そんなこんなでお祝いと言う雰囲気でもなくなったホールを辞して王都の私邸に帰った私ですが、侍女から既に連絡を受けていたお父様が玄関でお待ちになっていらっしゃり、凄く心配されました。
元よりこうなると分かっていましたのでいかほどの衝撃もないことを伝え、ザム家に向かうと言うお父様に1つお願いごとをしました。
ちょっと渋い顔をなされましたけれども"分かった"と頷かれましたので、とても期待してしまいます。
「お嬢様、つい今し方親方様より万事うまく行ったとのご連絡がありました。」
「本当‼︎嘘じゃない⁉︎」
「ダン殿と共に今から帰られるとの事でしたので間違いないかと。」
「やったー!」
婚約破棄をされたけどその日のうちに理想の旦那様を手にいれました。