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原初の錬金術師 ~最強の魔術師は斯くして現代魔法を蹂躙する~  作者: 結城 からく


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第73話 錬金術師は格の違いを見せる

 頭部の残骸が弾け飛ぶ。

 私は手探りで眼球を掴み取ると、首の断面に載せた。

 視神経を再生させて繋げれば、視界が復帰する。


 怒る教皇がよく見えた。

 息を荒くしており、冷静さを欠いている。

 私の挑発がよほど効いたらしい。


(短気な面が弱点だな)


 そう評しながら、床から体積を拝借して鼻から下を再生させる。

 元通りに復元した唇を動かして、私は言葉を発した。


「いきなり顔を破壊するのは良くないな。相手の反応を確かめられなく――」


 軽口を叩く間に、再び頭部が爆散した。

 続けて四肢が粉砕する。

 直立できなくなった私の肉体は床に転がった。

 すぐに再生して起き上がろうとするも、その前に視線の爆破に見舞われる。

 私は再生したそばから破壊されていった。


(このまま押し切るつもりだろうか?)


 連続で肉体を爆破されながら、私は思考に没する。


 教皇の戦闘スタイルは万能型らしい。

 こちらを圧倒する剣技も悪くなかったが、中距離での攻撃も上々であった。

 端末爆破による暗殺を考えると、超遠距離での戦闘もこなせるはずだ。

 どの間合いでもバランスよく戦えるのは器用と言う他ない。


 教皇はまだ様々な能力を隠しているだろう。

 どこまで追い詰めれば、それらを引き出せるのか。

 興味と期待は少なからず膨らんでいた。

 神格を相手にここまで心を動かされるのは久しかった。


(底力を見せてもらおうか)


 様子見のため、私は再生速度を三倍に引き上げる。

 一気に全身を復元したところで、立ち上がった私は手を振った。


「……ッ!」


 教皇が憤怒に駆られて目を見開く。

 今度は私の頭部と四肢がまとめて爆発した。

 さらに断面に時空の裂け目が生まれて、端から蒸発していく。


 教皇は必死だった。

 まだ全力を出しているわけではない。

 明らかにパワーを温存している。

 ここぞというタイミングを待っているのだろう。

 温存を意識しながらも、可能な範囲で攻撃を続けていた。

 一切の反撃を許さないとでも言いたげに、執拗な爆破が私を襲う。


 その後もしばらくは同じ展開が繰り返された。

 私が高速で再生しては、教皇の視線に晒されて爆発する。

 床が少し脆くなっているのは、体積を奪いすぎたせいだろう。

 幾度も破壊される中、私は一つの思考に辿り着く。


(……退屈だな)


 ワンパターンな攻撃ばかりで飽きてきた。

 特に変化もない。

 私が止めない限り、教皇はこのまま爆破を続けるつもりなのか。

 それはあまりにもナンセンスだろう。

 さすがに付き合っていられない。


 爆破が千発を超えたあたりで、ついに私は追加の能力を発動した。

 視線を経由して送り込まれる破壊エネルギーを残らず反射する。


「な……ッ!?」


 瞬時に察知した教皇は、光剣を駆使してエネルギーを切断してみせた。

 反射した爆破で自滅しないように彼は対処する。

 その際も見事な剣の腕前だった。


 しかし、指摘すべき点はしっかりと告げた方がいいだろう。

 そう考えた私は、嘆息混じりに意見を述べる。


「君の攻撃にはユーモアが足りないな。単調すぎて飽きてしまったよ」


 言い終えた私は、軽く指を振る。

 圧縮した空気を改竄し、性質を変えてから撃ち出した。

 教皇が咄嗟に剣を振るうも、それこそが狙いだ。

 切り裂かれた空気の弾は破裂し、教皇の身体を吹っ飛ばした。

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