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ラーメン・チャーハンセット

作者: ミクマリ

「ねえ、お昼なににする?」


夫はこちらも振り帰らずに

「いつもの、ラーメンチャーハン」

抑揚のない声で返ってきます


夫にお昼を聞いた要望がこれです

私は心の中で

(はいはい、また、いつもの炭水化物攻撃ね、、)


朝から曇天

薄雲から覗く太陽の光も弱く

生命力の脆弱さを感じさせる空です

年明けてから毎日、曇り空

いつ雨が降ってくるかも分からない油断できない天気

外の寒気がより一層、鬱陶しさを際立たせます


夫は日曜日の朝は

いつもの様に

横になりながらモーツァルトを聴いて

読書をしながら寛いでいます


11時30分

私はそろそろお昼の用意をしようと思い

お米を研ぎ、炊飯器のスイッチを入れて

食材のカットを始めます

ご飯が炊きあがるのを見計らって

30分で料理を作ります


ラーメン具材の葱と叉焼、白菜人参シメジを切り

チャーハン具材は

同じ食材の葱・叉焼を小口カットして卵を液卵にします


私は夫の

この要望がとても不満です

(高カロリー、高糖質、高脂質、高塩分、絶対的に蛋白・野菜不足の組み合わせ、、)


私は夫に合わせず

ラーメン無しで

半チャーハンに昨夜の残りの筑前煮に若芽スープにします


夫はラーメン一玉、ご飯は一合半食べます

夫の昼食は約800kcal

私のは約400kcalで抑えています

ラーメン・チャーハンでは野菜不足になるので

トッピングに野菜たっぷり入れます

だけど、こういう組み合わせを好む人は野菜嫌いで

最初、食べさせるのに苦労しました


「ラーメン具材はシンプルなのがいい

こんなに野菜大盛りはいらない」

と宣うのです


成人男性の一日必要カロリーは

夫の年齢と活動強度から計算すれば

だいたい1800kcalに抑えていればベストなのです

夫の食べてる量を概算すれば

一日3000kcal近く摂っています


高カロリー、高脂質、高塩分の食事を続けていれば

何れはメタボ・糖尿・心疾患・高血圧に運動不足と

生活習慣病になっていくのが予想できます


夫の健康管理を司り

栄養バランスの整った料理を食べさせて

いつまでも健康でいて貰うのが妻の

私の仕事なのです


このラーメン・チャーハンセット

たまになら、いいのです

こんな寒い日には

時には

この組み合わせを食べたいと思うのは

自然なことですから、


ですが休日の度に

この組み合わせを要望して食べるのです


夫は朝はトーストと珈琲だけで済ませます

お昼はこの炭水化物攻撃メニューを食べます

夕食には必ずご飯を2合食べます


夫の体質は決して筋肉量が多い訳ではなく

メタボではありませんが仕事もデスクワーク

一日の運動量も中程度の活動量です

普通に食べ過ぎなのです


私は夫の休日毎の

この昼食が不満です

何度か私はこの要望を断りました

その度に夫は嬉々としてキッチンに立ち

料理を作り始めるのです


夫は料理の素は使いません

あれは主婦の手抜き料理だと宣うのです

私はチャーハンをテフロン加工のフライパンで少量の油を使い

決して鍋振りせずに均一に火が通るように仕上げます


夫は自分で鉄製の中華鍋を買ってきて

素焼きしてから油を馴染ませて

家庭の火力では弱いのにも関わらず何度も鍋振りします


意味なく何度も降ります

只、鍋振りしたかっただけのようにしか見えません


火力が弱いのだから

鍋振りしては火が均一に通らないと主張しましたが

食材は予め油通ししているし

後はご飯と溶き卵と具材を

手早く合わせ調味料に絡ませるだけと反論されました


確かに理屈は合っています

そしてパラパラのチャーハンを作り上げます


調味料は粉末中華とウエパー、塩胡椒、胡麻油だけで味付けし

そして美味しいのです

とてもコクがあります


夫はそれからラードを加えたり

焦がし醤油を隠し味に入れたりと

鬼気迫るが如くチャーハン作りに没頭しました


男の人の料理には珍しく

料理を作りながら同時進行で洗い物もします

なのでシンクには洗い物は溜まりません


私は主婦ですから効率第一です

当然の様にチャーハンの素を使います

作って食べた後、洗い物をすればいいと思っている主義なのです

シンクの中はいつも洗い物が溜まっています

ですが、後で洗うからいいのです


そして夫は

今度はラーメンのダシを手づくりで作ると云います

鶏ガラ、豚骨から作ると、、、

夫の料理は確かに美味しいですが

食材費が予算オーバーします

それに普段使わない調味料がいつのまにか

キッチンに増えていきます



なんでしょうか

もう、めんどくさくなりました


正直、女の城であるキッチンに

夫に入って欲しくない気持ちもあります


夫の(バカ飯)炭水化物攻撃昼食を

呆れながら今日も作っています

「あなた、お昼できましたよ」



裕一は薄々気づいていたが

ルームシェアしてる弟の態度が妙に気持ち悪い


「最近、弟が煩いな

なんか僕の嫁だと妄想してるみたいだけど」


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