これからも、ずっと君の笑顔を僕は独り占めにしたいと思う(200文字小説)
横断歩道の向こう側で君は小さく手を振った。
信号が変わって、すれ違う僕に君が微笑んだ。
「今夜は時間ある?」
「はい!」
僕の問いかけに君は明るく答えた。
同じ職場、同じ部所。
君が仕事中に笑う事はない。
男女の噂は時として当事者に辛い思いをさせる。
彼女もその一人だった。
上司との不倫を疑われた。
それ以来、君は職場では笑わなくなった。
今、君の笑顔を僕は独り占めにしている。
これからも、ずっとそう出来たらいいと思う。