キスの重さ
掲載日:2018/07/18
「キスしていい」
涙を流してそう言った彼女に私はうなずくことができなかった。
同姓だということと,その瞬間まで親友だと思っていた人だということ。だから,言葉の音声と意味が一致するまで少し時間がかかった。
いっつも“寂しい”と言ってよってきた。ほっとけなくて近くにいた。ただそれだけだったはず。
三歳まで母親の愛情を十分もらった子供は,一人も楽しむことができる。でもその時期を逃して愛情が足らなかった子は寂しさを自分で埋めることが難しい。寂しさにとても弱い。でも,それはその子のせいではない。
今でも,私の記憶には彼女の静かな涙だけが残っている。




