物資
「はぁはぁ」
「ねぇ、新時大丈夫?」
「あぁ、それよりも下へ行って荷物を回収してきてくれ」
「わかったわ」
〈戦ってたときはアドレナリンがドバドバ出てたからそうでもなかったが落ち着いてくると、ナイフがめっちゃいてぇ〉
「それじゃ、止血するからナイフ抜くね」
「えっ、まじ?」
「まじ、てゆうか抜かないと止血できないし」
「わかった、1.2.3で抜こう」
「オッケー、1.2ね」
「えっちょ、まっ…」
「1.2っ」
「あぁぁぁいってえええええ」
「ほら、叫ばない」
「んな、事言ってもよー」
「…きつく締めて…止血完了」
「あぁ、サンキュー」
「あと、はいこれ」
「これはナイフか」
「うん、ほんとはあと二本あったんだけど折れてた」
「成る程ね、とりあえずありがとう、ところで今何時くらいだ?」
「ちょっとまってね、8:30よ」
「んじゃぁ昼までナイフの練習でも…」
[大河 不知火が死亡しました残りサバイバーは七人です]
突然島に鳴り響く
〈誰だろうか、あの場にいたのは俺、京子、芳樹、おばさん、女性、男、そしてガタイの良い男〉
「そろそろか、ちょっと行ってくる」
「わかった」
俺は考え事をしながら歩く
〈まず大河 不知火がだれかだ、そして誰にころされたか…〉
そんなことを考えながら歩いていると
「おっ、もうついたのか」
警戒しながら物資が無いか探していると真上からヘリの飛ぶ音が
「ん、なんだヘリから何かが…うおっと」
落ちてきたのは銀色のアタッシュケース
「これが物資か」
拾って帰ろうとしたとき
「悪いがそれを置いていってもらおう」
ガチッ
〈ハンマーを倒した音…〉
後ろを向くとピースメーカーを持った男が立っていた
が…持っていたのはガタイの良い男ではなく
もう一人の男だった
「これではっきりしたな、大河ってのがもともとピースメーカーを持った男でそいつを殺したのはあんたか」
「ご明察、まぁでも私が殺す前に君が殺してるんだよね
あの芳樹って子を」
「何故そう思う」
「理由は簡単だ君たちが出ていったあと直ぐにあの子も出ていったからさ」
「なるほど、それで俺達以外には殺しようが無いと」
「そういうことだ」
〈一筋縄ではいかなそうか〉
「じゃあ物資を渡してもらおう、渡してくれたら見逃してやろう」
「その話し本当だろうな」
「渡す気になったかね?」
「どうだろうな」
〈どこか遮蔽物はあのコンクリ壁しかないか
あれくらいじゃあ壁抜きされそうだがあれしかない〉
俺は全力で走り壁の裏に飛び込んだ
チュン
俺の立っていた場所に弾痕が残る
「さあ、どうする?」
暫く静寂が続く
「そうか、渡してくれないのか」
コツコツ
奴が歩いてくる
〈クソっ〉
「ほらよ」
俺はアタッシュケースを壁の裏へ投げる
「渡したんだから見逃してくれるよな」
「ああ」
「さあおまちかねの物資だ」
私はアタッシュケースをあける
「ははは、なかなか頭の回る子だ」
中には水の入ったボトル二本と包帯しか入っていなかった
「なるほど、試合には勝ったが勝負には負けたか」
〈今頃あいつは試合に勝って勝負に負けたとか思ってんだろな〉
そんなことを考えながら俺は洞窟へと戻る