信長続生記 端書き 5 (閲覧注意)
最近段々と端書きの空気感が本編の方にまで漂い出してきている気がします。
ですがこちらは本編とはかけ離れたレベルのキャラクター崩壊現象が巻き起こっておりますので、その辺りを御了承の上で読み進めて下さい。
信長続生記 端書き5 「本能寺も変」
秀満「復・活!」
蘭丸「帰れ」
秀満「酷ッ! せっかく端書きだけの出番なら許可してもらえたのに!」
蘭丸「私が言うのもなんなんだが、よく許可が下りたな。 というかよく帰って来る気になったな」
秀満「いや、本編に全く出番が無いからサ。 せめてこっちだけでも出させてくんねーかなって交渉してたらOKもらえた」
蘭丸「そうか……考えてみれば、お前が一番ここでは馴染んでいたっけな……そういえば前回、光秀殿が来たぞ」
秀満「ああうん、知ってる。 というかそのお義父さんから俺にパスが来た。 それもあってOKもらえたみたいなんだよね」
蘭丸「ああ、つまり光秀殿はやはりここには馴染めなかった、と……それでお前にパスとはさり気に光秀殿ヒドイな、娘婿を身代りにしたか。 身代わりにされた本人にその自覚は無さそうだが…」
秀満「でもさでもさ、ここで俺が出るってことでもしかして本編でも俺が実は生きてました展開、とかになるかもしんねージャン!」
蘭丸「無いだろそれは。 完全に腹切ったじゃないかお前。 しかも回想シーンじゃなくて、丸々一話もらって散り際カッコ良くしてもらったろ? 今更生きてました、じゃかえってカッコ悪いぞ」
秀満「うッ……そっかー、『秀満続生記』は夢のまた夢、か」
蘭丸「何を狙ってたんだお前は」
秀満「いや逆にな、主役信長様だから『信長続生記』で良いけど、これって『光秀続生記』にもなってんだぜ! だったらいっそ俺も生きてて『秀満続生記』やってもいいかなってサ!」
蘭丸「主役やってから言え、そういう事は」
秀満「ちょっと会わない内に、より辛辣になってんな蘭ちゃん…」
蘭丸「次その名で呼んだら斬る、と言って置いたよな私は」
秀満「待った待ったストップストップ! 呼び名一つで死亡フラグとかマジ勘弁!」
秀吉「たかだかちゃん付けで斬りかかろうとするとは、相変わらず顔は可愛いけど怖い奴じゃのぅ」
秀満「あ、秀吉サンちーっす!」
蘭丸「帰れ好色ヒヒジジイ」
秀吉「なんじゃとぉぉぉぉぉッ!?」
秀満「オイオイ蘭ちゃ……蘭丸クンよ! さっきからなんだよ、今日はやたら攻撃的じゃん?」
蘭丸「最近本編で兄が出て来て以来、余計に私の影が薄くなる気がしてな……もうこうなったら端書きでの出番くらいしか確保できないと踏んだので、ここで私より目立とうとする者は排除する事にした。 という訳だ、悪く思うなよ」
秀満「うぉぉぉぉッ!? 抜身の刀振りかぶんな! 危ないってマジで、いやホント二重の意味で蘭丸クンがヤバい!」
秀吉「仮にも天下人たるわしに対して、好色ヒヒジジイとは言うてくれたな! その代償高くつくぞ!」
秀満「あれ、こっちまでなんだかヤル気? 待った待った、ここは斬り合う場じゃないでしょ! ここは『本当にあった歴史、逸話を砕けて語るバカな空間』が基本コンセプトだったんでしょうが!」
蘭丸「いや、初耳だが?」
秀吉「だからと言うて、わしばっかり標的にされとるのが納得いかんのじゃが?」
秀満「ああもう、とにかく禁止禁止! なんで俺がいつの間にか抑え役やってんだか! 俺ここじゃボケ担当じゃなかったのかよ、頼むぜ蘭丸クンよ」
蘭丸「なんだかその言い方だと私がツッコミ担当みたいだが」
秀吉「いや、そのままじゃろ。 ん、そうなるとわしは?」
秀満「逸話を利用したいじられ担当じゃないッスか?」
蘭丸「ついでに下ネタ担当ですね」
秀吉「わし、どこかで泣いてきてええかのぅ……」
蘭丸「女の人がいないところ限定で、なら構いませんよ?」
秀吉「チッ! そんならとっとと話を始めるぞい!」
秀満「ホントブレねえなぁ……ンで、結局何の話からすンのよ?」
蘭丸「せっかくだ、お前がまた来たのなら死亡フラグとかについてでも話すか?」
秀満「一回いなかっただけで、風当たりの強さがハンパなくなった件」
秀吉「どうせならこんな所で男三人で話さずとも、お姉ちゃんがいる店に行って話さんか?」
秀満「もう一人はどこまでもブレないでござるの巻」
蘭丸「どうにも話が進まんな……よし! たまには本編について話をするか」
秀満「え、いいの? ネタバレとかマズくね?」
蘭丸「さっきの死亡フラグ、で思い出した。 本編ではこれでもかって位に秀吉殿が死亡フラグを乱立させていたのでな」
秀吉「や め て く れ !」
秀吉「あー、そういえば……信長様死んでる前提で、相当いろんな事言っちゃってるもんなー、これ全部信長様が聞いたら、ガチで打ち首だわ。 ってことは、羽柴家終了のお知らせ?」
秀吉「いやいやだってわしの辺りだけ、史実そのままで進んでおるじゃろ? 巻の五でようやく史実とブレが生じて、少しだけ早く『小牧長久手の戦い』に相当するものが起こっとったくらいじゃし」
蘭丸「で、それに対する補足説明をすると…天正十二年に起こった『小牧長久手の戦い』時には、どうやら大坂城は完成していたようなんですが、本編の時はそれより少し早い時間軸で起こった為に、大坂城から出陣という訳にもいかず、また大坂城建設中のため黒田官兵衛不在のまま出立、と」
秀吉「しかも向こうに信長様と光秀がおって、家康殿の知恵袋やっておるんじゃろ? これで勝てと言うのはあまりにも酷じゃろ! 武田信玄と上杉謙信と毛利元就とかをまとめて相手にしているのに近いレベルじゃぞ! 某戦国シュミレーションゲームやってみぃ、能力的にも勝ち目なんぞあるか! 無理ゲーにも程があるわ!」
秀満「そんな分かる人しか分かんない例え挙げられても……ああ、でも性格的にこういう戦法取りそう、とかで行動読まれたのは痛かったッスよねー。 この戦秀吉サンにとってマジ鬼門じゃないスか」
秀吉「そうなんじゃよ、明らかにわしに負けフラグ立っておるではないか! 本編でも端書きでも両方で出番がある、という様に見えて一番ヒドイ目に遭ってるのって間違いなくわしじゃろ?」
蘭丸「そうですね、読んで下さっている方々からすれば『あー、またコイツこんな事言ってら』という印象でしょうからね」
秀満「んで、巻の六でついにネタばらし? 『ドッキリ大成功!』の看板とか用意した方が良い?」
蘭丸「いやドッキリじゃないんだが? というか2年近くも仕込み期間を置くドッキリって、一体どんなレベルのシロモノなんだ? ついでに言うとそのパターンだと仕掛け人が近衛様になるな」
秀吉「それもう、先の展開を言ったも同然て気付いておるか?」
秀満「そっかー、ついに秀吉サンも死んじゃうのかー。 今までご苦労様でした」
秀吉「いや死なんよ、わし死なんぞ! 『なにわのことも 夢のまた夢』 とか言う気ないぞ!」
蘭丸「そういえば秀吉殿は結構出番多いですし、死亡フラグに至ってはもうバブル期の公共事業並の建設ラッシュでしたが」
秀満「どういう例えだよ」
蘭丸「ついにそのバブルがはじける時が来た、という事ですね」
秀吉「ううぅぅぅぅ……なんか必要以上に嫌な例えじゃのぅ」
秀満「でも別に秀吉サン賤ヶ岳の合戦前に、『わし、この戦に勝ったら大坂城建てるんじゃ』とか言ってませんでしたよね?」
蘭丸「また妙なフラグの立て方を…」
秀吉「そうじゃそうじゃ! それにそういう言い回しなら『わし、柴田勝家に戦で勝ったら、お市様と結婚するんじゃ』とかを選ぶわい!」
秀満「うわ最低だ、この人」
蘭丸「重婚は犯罪ですよ! というかお寧々さんいるんでしょうが! 将来の北政所様を蔑ろにするの、いい加減止めたらどうですか!」
秀吉「い、いいじゃろうが別に! わしとお市様って実は年齢的にはナイスカップルじゃぞ、多分!」
秀満「お市様からすりゃ悪夢に等しいでしょうけどね」
蘭丸「そういう性格してるから、お寧々さんが信長様に直談判しちゃうんですよ!」
秀満「え、何ソレ? この人奥さんが旦那の職場の上司に相談しちゃうレベルの酷さだったってこと?」
秀吉「そ、それはいいじゃろ? そこは今掘り下げんでも…」
蘭丸「かつてあまりにも女癖が悪かった秀吉殿に呆れ果て、お寧々さんは信長様に『夫の浮気癖を信長様からも諌めて欲しい』と直談判されたのです! 実は信長様もそういう相談を受けたのは初めてだったようで、大変困惑しておりました! 普通ありませんよ、職場の上司に夫の浮気相談とか!」
秀満「うわー、本気でこの人アカン人や。 これはマジにアカン奴や」
秀吉「まあ、信長様に今まで見た事無い顔して『おいサル、お前もう少し女房の事を考えてやれ』と言われた時には、さすがに色々拙いとは思うた! しかしそれと同時に寧々の肝っ玉の太さに内心感心しとったんじゃぞ? 皆が恐れる信長様に、夫の浮気相談をする女房なんぞわしの所だけじゃからの!」
秀満「それはアンタがそれだけ酷い、って事の紛れもない証明でしょうが!」
蘭丸「何を威張ってるんですかまったく! 開き直りにも程があるでしょうが、この女性の敵!」
秀吉「い、言い過ぎじゃろうが! わしは手を付けた女にはそれなりにちゃんとした対価を……」
蘭丸「それで百人以上も手を付けた訳ですね……在原業平でも目指していたんですか?」
秀満「誰? その『ありわらのなりひら』って?」
蘭丸「私たちの時代よりも750年ほど昔にいた歌人だな。 古今和歌集や伊勢物語などにも歌が残っていて、『六歌仙』などとも言われる人の一人だ」
秀満「へー、文化人だなー! で、なんで秀吉サンがその人目指すの?」
蘭丸「確かに様々な歌を遺している事でも知られる在原業平なんだが……この人、千人を超える女性に手を付けたという説があるほど、ある意味で伝説の女たらしなんだ」
秀満「せッ!? 千人、てマジかよ……それはもう『人』じゃねえよ、『種馬』とかの方が正しい呼称だって」
秀吉「わしの下半身の、もとい心の師匠の名は固く心に刻んだ! 第二の在原業平に、わしはなる!」
秀満「海賊王とか目指しそうな言い回しで血迷った事言い始めたぞこのオッサン! 早目に息の根止めた方がいいんじゃね? いっそ巻の六で本当に打ち首にしてもらおうよ!」
秀吉「女を口説く歌を作りたい? なら伊勢物語や古今和歌集を読め、この世のたらし術の全てをそこに置いてきた、とか言ってそうじゃのぅ、在原業平師匠なら。 世はまさに『大肉食男子時代』!」
蘭丸「これ以上変な煽り入れて、各方面を冒涜するなら本当に信長様にチクりますよ? あと勝手な師匠認定するのは止めて下さい。 そういう方面の問題児なら、貴方が死んだ後に実際宮中の公家衆にいましたけどね。 猪熊教利、という公家が」
秀満「また聞き慣れない名前が出て来たけど、その人もやっぱり女癖悪いの? つーかその在原業平だっけ? その人そんだけ良い短歌作ったのって、単に女口説くのにちょうど良かったからじゃねえの?」
蘭丸「平安時代の人だから、そういう口説き方だったんだろうな、とは思う」
秀吉「つまりアレか、現代で言う所の『君のために歌を作ったよ』とか言って、女を口説こうとするバンドマンか、自称ミュージシャンのやり口と同じじゃな」
秀満「秀吉サン、そこは掘り下げなくていいって、いやマジで」
秀吉「わしだけこき下ろされるのは癪じゃからの、ついでに他の奴らの評判も貶めてやるわい! ホレ蘭丸よ、先程言うていた猪熊とやら、そやつがどういう奴か言うてくれ!」
蘭丸「あー…一言で言えば当代随一の美男子にしてスキャンダルメイカーです。 不倫は文化、とか素でほざきそうな慶長時代一の問題公家で、この男が好き放題やり過ぎて、後の徳川幕府による宮中公家諸法度、なんていう物を作られて朝廷が幕府の実質管理下に置かれる、という隙を作った阿呆という所です」
秀吉「そういう真似をする奴がおるから、わしまで誤解されるんじゃな、うんうん!」
蘭丸「先程も言いましたがこの人、『超絶美男子』ですからね? サル顔のハゲネズミさん?」
秀吉「お主本当に辛辣じゃのお……さすがに本気で泣くぞわしも」
秀満「まあまあ……にしても公家もすげえな、慶長時代ってことは俺らの時代のすぐ後ジャン」
蘭丸「ああ、ちなみに猪熊教利は天正十一年生まれだから、ちょうど本編の辺りで生まれた頃じゃないか? このタイミングでしっかり教育しておけば、後の惨事も回避出来たのかも知れないが…」
秀満「惨事って……でもそう言われても仕方ないか、やらかしちゃってるもんなぁコイツ」
蘭丸「なにせ女官や誰かの女房であろうと見境無し、天皇の寵愛を受けていた女性まで乱交の場に誘い、そこで複数の男女が…などという真似までしたため後陽成天皇の逆鱗に触れたらしい。 しかもバレるや否や九州まで逃げたというのだから、胆が据わってるのか臆病なのか分からない奴だ」
秀吉「さすがのわしもドン引きじゃ……」
秀満「そこまでやらかしてたのかよ……秀吉サンが最低だと思ってたが上には上が、いや下には下がいるもんだなぁホント…そういう意味では秀吉サン、まだマシなのか?」
秀吉「うーむ、そこまでヒドイ奴と比較せんと、わしの立場って回復しないのかの?」
蘭丸「詳しく知りたいあなたは、『猪熊事件』で検索!」
秀満「いや、しねえから! というか話がズレてきてんぞ、フラグとかそういう話だっただろ!」
秀吉「わし、関白になれたらお市様の娘を手籠めにするんだ……」
蘭丸「アウトー! 史実だから余計にアウトー! 女性関係の話題で、貴方は本当にアウトな話題に事欠きませんね?」
秀満「さすがはいじられ&下ネタ担当だな、他にもこの人いつの間にかフラグ立ててそうだもんよ」
秀吉「そ、そんなことは無いぞ! わしはそんなフラグ立てなんぞ……」
蘭丸「じゃあ聞きますが、朝鮮出兵前に『明国を攻め取って皇帝になったら、母ちゃんは皇帝の母じゃからな』とか言ってないでしょうね?」
秀吉「…………」
秀満「ついでに、小田原攻めの前に『日ノ本統一出来て、後継ぎが生まれたらその子に日ノ本全てを託すんだ』とかも言ってないッスよね?」
秀吉「…………」
蘭丸「秀吉殿?」
秀満「もしかして、アンタ……」
秀吉「すまんが……一人にしてくれるか…?」
蘭丸「……地雷だったらしい」
秀満「公式な記録に残っていた訳じゃなくとも、言っていた可能性はあるわな…」
秀吉「母ちゃんと鶴松が死んだのは、もしかしてわしのせいだったのかのぅ……」
秀満「なあ鶴松ってアレだろ? 後の秀頼様の前に生まれてた、って言われてる子供だろ?」
蘭丸「ああ、確かまだ幼い内に亡くなって、諸大名がお悔やみのために髷を切ったとか、色々な説がある子供だな」
秀吉「ふぅぅぅぅぅぅ……どうにも気が滅入ってしもうたのぅ、何か気晴らしになる事でもするか」
秀満「あー、そうね……うん、俺も付き合いますわ、どっか行きます?」
蘭丸「そ、そういえば今頃は桜がきれいに咲く時期でもありますし、花見でもしますか!」
『この収録は4月に行われました』
秀吉「そうじゃの、そうじゃのぅ……せっかくじゃから桜の木を植えよう。 日本各地から桜の木を移植して、数百年後まで桜の名所となるような場所でも作ろう。 見た者全てが元気になれるように、な」
秀満「今はアンタが一番元気がねえけどな」
蘭丸「シッ!」
秀吉「そうしてわしが病にでもなったら、そこに花見でも行って気晴らしをしよう……きっと桜の木から元気を分けてもらえる事じゃろう……」
蘭丸「ん? もしかしてこれは……」
秀満「どした、蘭丸クン?」
秀吉「わしの病気が落ち着いたら、みんなで醍醐の花見パーティーでもしようかと思うんじゃがのぅ」
蘭丸「それは止めた方が……」
秀満「あ、そっか! 秀吉サンが生前公式の場に出た最後の場所って……」
秀吉「女子もたんと呼んで、皆でパーッと……」
蘭丸「これ以上分かりやすい死亡フラグを立てないで下さい!!」
蘭丸の叫びに、ようやく我に返った秀吉だったが、やはり元気が無かった。
やむなく秀満と蘭丸は秀吉を連れ、最寄りのガールズバーへと向かった。
店内に入るや否や、秀吉は瞬時に活力を取り戻し、店員の女性に親しげに声をかけ始めた。
その様を見て、二人は安心と苛立ちを同時に味わうという、極めて複雑な感情に襲われた。
ちなみにそれから一時間後、酒も入って店員の女性にお触りを実行した秀吉が、出入り禁止を通達されて店外に放り出されたが、秀満と蘭丸は見て見ぬ振りを貫いたという。
本編の続き、巻の六「日ノ本鳴動」その1 は7月21日に更新予定です。
そして巻の六でこの『信長続生記』は一区切りにする予定です。
ストックの残りと執筆ペースを鑑みて、巻の六終了後には少し時間をかけて改めて話の構成を練り直してから、しっかりと更新ペースが守れるだけのストックを用意して、巻の七以降を更新する予定でおります。
巻の六を全何話にするかも決まっていない状況ですが、まずは目の前の話をしっかりと書き切ろうと思っております、今後も拙作『信長続生記』をよろしくお願いいたします。




