信長続生記 端書き 3 (閲覧注意)
今回も懲りもせず馬鹿な端書きをお送りします。
人によっては分かり難いネタも多数含んでおりますため、尚更興味が湧かない方は今回の更新を飛ばされる事をお勧めします。
信長続生記 端書き 3 「本能寺で変」
カポーンッという音が響く、ある温泉街のとある宿、その露天風呂にて
秀満「くはぁぁぁ……いい湯だなぁ…極楽極楽」
蘭丸「うむ、こういう楽しみがあるから地方ロケというのは有難い。 昔は多かったのだが最近ではずいぶん減ったからな…」
秀満「え、そうなの? 昔ってそんなにいろんな所で撮影してたの?」
蘭丸「少なくとも私の子役時代の時は、だな。 日本各地にその作品内で様々な理由を作っては撮影に行き、その地域での撮影さえ終われば後は経費で、温泉とどんちゃん騒ぎまでがワンセットだった」
秀満「うわ、何ソレいいなあ! メシ食って温泉入って支払いは会社持ちとか! すげえじゃん!」
蘭丸「なので大抵は、撮影スケジュールの最後の方にその予定が組まれている。 まあ言ってみればスタッフの慰労を兼ねて、という暗黙の了解だな」
秀満「なるほどねぇ、イイ時代だ…あ、ってことは俺が昔見てた刑事ドラマで、最終回になると前後編になっててさ、やたら規模が大きくて地方の警察と合同捜査になってたりするものがあったんだよ、あれですごくドキドキしてさ、やっぱ最終回は力の入れようが違う! って思ってたんだけど…」
蘭丸「確かに力の入れようは違っただろうな、主に撮影が終わった後の方で」
秀満「えぇー…つまりアレ? 地方ロケのシーンは実は最後に撮って、その場でクランクアップ祝いを兼ねてその後どんちゃん騒ぎだった、ってこと?」
蘭丸「十中八九それで間違いないだろうな…」
秀満「マジかー! あーもーいい! この話止めよう! なんか違うこと話そう、違うこと!」
蘭丸「静かに温泉を堪能する、という選択肢はないのかお前は」
秀満「文字しかない所で静かにしてたら放送事故じゃん? なあ、ジ○リ作品でどれが好き?」
蘭丸「いきなり何を聞いてくるかと思えば…変えた話題がいきなり危険な話題じゃないか」
秀満「俺はやっぱアレだな、天空○城ラピ○タ」
蘭丸「聞いてない。 というか温泉に入ってる今ならむしろ、千○千尋の」
秀満「ハゲ隠し?」
蘭丸「二度と言い間違うなよ、刺されるぞ? じゃなくて、この話題続けるのか?」
秀満「いやぁ、ラピ○タのあのラストシーン見るとさ、どうしても泣けてくるんだよね」
蘭丸「それは、まぁ…いやそうじゃなくて! 何故いきなりラピ○タなのだ?」
秀満「あれ、泣けない? あのシーンだよホラ」
蘭丸「ん……やはりアレか、滅びの呪文唱える所か?」
秀満「違う違う、その後だって」
蘭丸「では、海賊のド○ラ一家と空中で別れてエンディングにつながる所の…」
秀満「行き過ぎ行き過ぎ! その前その前」
蘭丸「うん? その間に? ああ、二人が天○の城から飛び立って城と鳥たちに別れを告げる…」
秀満「いやいや、全然! そうじゃないんだよ分かんないかなー?」
蘭丸「分からんわ! 一体どのシーンの話をしている!?」
秀満「滅びの呪文でビカーって光るじゃん? その後で敵役の人が『目がぁー、目がぁー…』ってふらついてるシーンとか分かる?」
蘭丸「あぁ…」
秀満「で、その後に城がどんどん崩壊していって、瓦礫が海に落ちていくだろ?」
蘭丸「うむ…」
秀満「その瓦礫に交じって、その敵役の人も一緒に落ちていってるのを見ると、もう涙が…」
蘭丸「そこぉッ!? お前の泣くツボが分からん!」
秀満「だってさ、あの人あれじゃ三日天下ならぬ三分天下よ? あんまりじゃね?」
蘭丸「知らん、というかあの瓦礫と一緒に落ちていることすら、今初めて知った」
秀満「うっそ、よく見れば画面下半分の真ん中から右にかけての間に落ちてるの見えるって!」
蘭丸「すまんが心底どうでもいい! 温泉に来てまでする会話か! 私は先に上がるぞ」
秀満「はっはっは、どこへ行こうというのかね?」(ムス○調)
蘭丸「なんだそのセリフ?」
秀満「逃げるヒロインを追っかけてる敵役の人のセリフ。 最初は余裕ぶっこいて歩いて追ってたくせに、ヒロインが主人公にキーアイテム託した途端にダッシュしてたのには笑ったわ」
蘭丸「へぇ……」(呆れた眼差し)
秀満「しかもその直後に主人公を拳銃で撃ってさ、一命取り留めてたから良いようなものの『石は大事に持っていろ、小娘の命と交換だ』とか言ってて、じゃあいきなり撃つなよって話で」
蘭丸「うるさいバーカ!」
秀満「あれ、あんまりウケないな? 蘭ちゃんジ○リより実写派か、ハリウ○ドとかの方が好きだったかな?」
秀吉「ならば完全に失敗じゃのぅ、カワイ子ちゃんを怒らせおってからに」
秀満「あ、秀吉サンお疲れさまッス」
秀吉「うむ、あぁぁぁ……いい湯じゃのぉ…」
秀満「そッスねー…そういえば秀吉サンって、相当温泉好きだったみたいですもんねー」
秀吉「そりゃあそうじゃろぅ。 風呂は命の洗濯、ましてやそれが温泉となれば嫌う理由はあるまいて! 入れる機会さえあれば、それこそどこの温泉でも入っておったもんじゃ!」
秀満「あー、それで日本各地に「太閤の湯」とか書かれてる温泉があるんスね。 そういや温泉ってその場所によって色々効能が書かれてたりしますけど、やっぱ温泉って効きます?」
秀吉「効く場合も多いぞ、あくまで個人的な感想じゃがな。 疲労回復なんぞは言うまでもない、腰痛やリュウマチ、冷え性とかは温泉としては基本的な効能じゃがのぅ」
秀満「なんでも、小田原で北条サンとドンパチ中にも温泉入ったとか聞きましたけど?」
秀吉「うむ、あそこは箱根も近いしの、入らぬ手はあるまい! 有馬の湯などはしょっちゅう行ったが、さすがに箱根まではそうそう行けんのでな! 入れる機会があれば、という奴じゃ!」
秀満「ホント好きッスねー。 まあでも気持ちは分かるッスよ、生きたまま『極楽極楽』なんて言葉を吐く機会、それこそ温泉でも入ってないと自然には出てこないッスもん」
秀吉「おお、気が合うのぅ! じゃがわしはもう一つの極楽を知っておるぞ! なんだか知りたいか?」
秀満「それが女関係じゃなけりゃ是非とも」
秀吉「女関係に決まっておろうが!」
秀満「…どこまでもお約束ッスね。 温泉に浸かっている時くらい、女のこと忘れたらどうッスか?」
秀吉「はぁぁぁ……お主とは気が合うと思ったが、ありゃ間違いじゃ。 お主は全然分かっておらぬ、というか若いのぅ! まだまだじゃなぁ……」
秀満「あの、秀吉サン? 現在まで残ってる資料を見るとッスね、俺の方が年上って説があるんスけど?」
秀吉「…………」
秀満「……なんで黙ってるんスか?」
秀吉「なんでチャラ男なんじゃお主は!?」
秀満「知らねえッスよ! 気が付いたらこの役もらってたんスから!」
秀吉「ちなみに本能寺の変の時、お主何歳じゃった?」
秀満「確認兼ねて見てみたらウィキペディア調べで47って説があるッス」
秀吉「え、わしウィキペディアで何歳って書いてあったかのぅ?」
秀満「45ッスね、やっぱ俺の方が年上っぽいッス」
秀吉「………」
秀満「だからなんで黙ってるんスか?」
秀吉「よし、ここは一つ女湯でも覗きに行こう! バレた時は秀満先輩の責任で!」
秀満「脈絡がねぇッスよ! というかなんで俺の責任!? あ、ちょ、引っ張るのは」
秀吉「温泉の楽しみと言えばこれじゃろうが! 女湯を覗かんで温泉を堪能したと言えるかッ!?」
秀満「言えるでしょ、充分に! というか女湯覗くのに命なんて賭けたくないッスよ!」
秀吉「何を言う! わしが温泉行きまくったのは何のためじゃと思っとるんじゃ!」
秀満「え、まさか…?」
秀吉「うむ」
秀満「女湯を覗くために、わざわざ?」
秀吉「そんな訳なかろう!」
秀満「で、ですよねー! あービビった、まさか天下人まで上り詰めた人がそんな下らない理由で」
秀吉「わしほど偉くなると強制的に混浴にするから、わざわざ覗く必要なんてないわい!」
秀満「もっとくだらねぇぇぇぇぇッ! ダメだこの天下人、早く何とかしないと!」
秀吉「コラコラ、わしの品性が疑われるような発言は止めぃ。 わしを神様として崇める『豊国神社』の参拝客が減ったらどうする?」
秀満「すでに色々手遅れじゃないッスか? 自爆込みで」
秀吉「いやいや、純粋に湯治の意味合いの方が強かったんじゃよ、最初はな。 じゃが現地でよい女子を見つけたり、その時お気に入りの側室を連れていったりすると、こう…な!」
秀満「な! じゃなくて……そりゃ奥さん怒ったでしょうよ」
秀吉「ふん、寧々は出来た嫁じゃからそんなに怒ったりはせんわい! せいぜい他の女子と温泉行って、その時の土産を忘れて帰った時に、信長様よりも怖い気配を放っておった位じゃ!」
秀満「第六天魔王、とか言われてる人より怖いとか…それ絶対ブチギレてましたよ」
秀吉「うむ、さすがにこりゃヤバいと思って逃げたが捕まってな、マウント取られてボコボコにされた。 その時の寧々の顔は無表情での、何も言ってこんかったからそこまで怒ってはおらんのじゃろ?」
秀満「いや、完全に怒りのメーターが振り切れてたんじゃ…無言・無表情でフルボッコとか、それもうちょっとしたホラーッスよ…」
秀吉「あの時だけは秀長も助けてくれんでのぅ。 秀長助けてくれ、と言ったら寧々の奴が秀長を見て、秀長が寧々と目を合わすなりダッシュで逃げて行きよった……アレは辛かった」
秀満「秀長サン……それ生命の危機を感じ取ってたんですよ、多分…」
秀吉「母や姉からも随分責められての、ひたすら謝り倒して何とか許してもらったわい この辺りは正則の奴と同じじゃな」
秀満「正則? 正則ってもしかして福島正則ッスか? あの賤ヶ岳七本槍の?」
秀吉「そうそう、そやつじゃそやつ。 あやつもな、かつて浮気して屋敷帰ったら、怒った女房が槍持って追いかけ回したそうじゃ! 『賤ヶ岳七本槍』などと言われた奴が、槍持った女房に追いかけ回されとるんじゃからわっはっはっは! 大笑いじゃろ?」
秀満「あんま人の事言えないんじゃないスかね、アンタの場合…」
秀吉「何を言う! わしは槍振り回されて追いかけられた、などということは無いぞ! 一か月間くらい口きいてくれんかったから毎日贈り物と謝罪をくり返しただけじゃ!」
秀満「なんだかなぁ…」
秀吉「さすがに見るに見かねて母ちゃんが取り成してくれたがな、それでようやく機嫌直してもろうた」
秀満「そういや秀吉サンも母親には頭が上がらなかった、とか何とか聞いた事ありますね」
秀吉「まあ、産んで育ててもらったしのぅ。 さすがに母ちゃん相手には強く出れんわ」
秀満「で、小田原に行った時はちゃんと奥さん連れて行きました?」
秀吉「うむ、一緒に富士山も見たぞ! あの時の寧々は機嫌が良くてな、退屈せんように京や大阪などにおった芸人一座から能楽の名人まで、色々呼び寄せた甲斐があったわ!」
秀満「そこまで気配りできるんスから、浮気しなきゃいいのに…」
秀吉「浮気するから気配りが必要なんじゃろが! 分かっとらんのぅ」
秀満「分かりたくもねぇッスよ。 というか、なんで温泉から秀吉さんの浮気談義に?」
秀吉「そりゃあもちろん、今から女湯を覗くために」
秀満「させねえッスよ、ここで見過ごすと俺のせいにされかねませんから!」
秀吉「チッ、チャラ男のくせに真面目な奴め」
秀満「褒め言葉どーも。 じゃ俺はここらで上がります、これ以上アンタと一緒にいると変な事に巻き込まれそうですし!」
秀吉「お、なんじゃ行くのか? ならば最後に聞いておきたいんじゃが」
秀満「なんスか? 段々のぼせて来てるんで、手短にお願いしますよ?」
秀吉「お主本編でもう死んでおるのに、何でここにおるんじゃ?」
秀満「余計なお世話ッスよ!」
蘭丸「こっちはこっちでうるさいな…静かに温泉を堪能しようという者はいないのか?」
秀満「あ、スイマセン…ってあれ、どしたの? 上がったはずじゃ?」
秀吉「よぉ蘭丸! どうじゃこれから一緒に女湯覗かんか!?」
蘭丸「通報しますよ? いや、脱衣所で揉めてて出るに出られず、身体も冷えてしまったので…」
秀満「脱衣所で揉めてる? 一体誰が?」
??「兄より優れた弟なぞ存在しねぇぇぇッ!」
??「フン、天才の俺から見れば貴様なぞデク人形同然だ!」
秀吉「あ、洗い場に入ってきよった…ありゃあ信雄と信孝じゃないかの?」
秀満「ガチで仲悪いのか、あの二人」
蘭丸「正直、巻き込まれるの嫌なんで出るに出られず…事あるごとにどっちが先か、どっちが多いかとかで揉めるんですよ」
秀満「メンドクサ、ケンカするんならなんで一緒に風呂入りに来たんだか」
秀吉「おそらくどっちが先に入るかで揉めたんじゃろな、そんで同着でまた揉める、と」
秀満「確かに関わりたくねぇな、こっそり脱衣所に逃げようぜ」
秀吉「そうじゃの、それが無難じゃの」
蘭丸「じゃあこっそり露天風呂を出て、そのまま洗い場の端から脱衣所に…」
信雄「そこの三人もそう思うよな! 『超YOのジョー』っての大事だよな?」
秀満「うわ見つかった!」
蘭丸「なんか変な言葉混じってませんでした?」
秀吉「漢字変換ミスかの? もしかして『長幼の序』と言いたかったんかのぅ?」
信孝「ハッ、そんな言葉もまともに話せないのか、さては意味も分からんのに言っていたなバカ兄貴が! いや、兄貴じゃないなぁこの天才の俺の方が先に生まれていたのだから! 大体なんだ『超YOのジョー』とは! YO!ばっか言ってるジョーって名前のラッパーかYO!」
秀満「性格悪ぅ……こりゃ織田家の将来不安視すんの分かるわー…」
蘭丸「言っておくが、織田家の将来を不安視する原因作った内の一人だからな、お前」
秀吉「馬鹿と性格ブス、どっちが良いかって結構究極の選択じゃのぅ」
信雄「うるせえ勝てばいいんだ勝てば! どんな手使おうが勝てばいいんだよぉ!」(ボコボコ)
信孝「ぐッ! き、貴様! この俺の、この天才の顔にぃぃッ!」(ボコボコ)
秀満「なんなんだ、アイツら」
蘭丸「あたりの桶とかシャンプーとかで殴り合って、完全に子供のケンカですね」
信雄「オイそこのお前らぁ! 俺の名を言ってみろぉ、俺様は一体誰だ!?」
蘭丸「北畠信雄殿」
秀満「北斗○拳のジ○ギ」
秀吉「所詮は三介殿のやる事よ」
信孝「ハハハハハッ! 聞いたか、誰も貴様を『織田信雄』などと呼びはしない! なら今度は俺だ! 三人とも、俺が望む答えは分かるよな? さあ天才である俺の名を呼べー!」
蘭丸「神戸信孝殿」
秀満「北斗○拳のア○バ」
秀吉「三月七日生まれだから三七で、って信長様が言っておったぞ」
信孝「て、天才の俺がなぜぇぇぇぇッ!?」
秀満「よし、なんかショックを受けている今がチャンスだ! 脱衣所へ離脱するぞ!」
蘭丸「お二方には悪いが、これ以上関わるのは嫌だしな!」
秀吉「お主ら二人は先に行け、わしはあの二人の勝負を見届けなければならん!」
秀満「え、秀吉サン?」
秀吉「この二人に決着を付けさせる、それが清州会議に参加したわしの、せめてもの責任の取り方じゃ」
蘭丸「わ、分かりました…私たちは先に!」
秀吉「うむ、あとの事は任せぃ!」
こうして、秀満と蘭丸は世紀末風なヒャッハー兄弟、もとい信雄と信孝によるお互いへの罵詈雑言、暴力と騒乱の兄弟喧嘩が繰り広げられる風呂場から脱出した。
あとに残された秀吉、信雄、信孝の三人がその後、どのような会話をしたのか分からない。
ただ次の日、ビデオカメラ片手に女湯に突撃した罪で、信雄と信孝が廊下で晒し者になっている姿を目撃した秀満と蘭丸は、とりあえず二人から事情を訊こうとした。
何も喋ろうとはしない二人であったが、信孝の漏らした一言「報いを待てや、羽柴筑前」という言葉に、二人はこの一件の真犯人を割り出すことに成功した。
どういう手を使ったのか、壊れたビデオカメラからメモリー部分だけを回収し終えていた秀吉は、旅館を出る直前で秀満と蘭丸に捕縛された。
「真の男なら女湯の一つにでも突撃して、その様子を証拠としてこのビデオカメラに録画して来い、その内容によって勝敗を決める。 ちなみにこれを他言した者はその時点で負けとなる」
2人から力ずくで吐かされた秀吉は、全ての事情を話した。
その上で二人に土下座をしながらこう懇願した。
「わしは全てを話す、あの二人の身柄も好きにしてくれて良い! じゃからわしの身とそのメモリーの安全だけは約束してくれ!」
涙ながらの必死の懇願。
地面に額を付けて、上げた顔には悲壮な決意を秘めている。
その眼には嘘偽りのない気持ちも宿っている。
そんな状態の秀吉の目の前に、笑みを浮かべたままの蘭丸はそっとビデオカメラのメモリーを置いた。
「おお、分かってく」
「ふんッ!!」
パキャッという軽い音を立てて、蘭丸の靴底の下でメモリーが粉々になった。
全身を硬直させて固まる秀吉。
そんな二人を見ながら、秀満の呟いた言葉がそっと風に流れていった。
「まあ、自分の心に正直になって発言すれば何でも許される、って訳じゃないわな」
呆然としたままの秀吉、汚物を見るような目で秀吉を見ている蘭丸、疲れた顔でため息を吐いた秀満。
そんな三人の所に、目だけ笑っていない笑顔の帰蝶が、ゆっくりと近づいてきていた。
気が付けば1話あたりの文字数だけなら、本編含めても過去最長クラスとなりました。
本編で壁に当たっている時ほど、息抜きをしてみたらかえってノッてしまったという、困った現象が如実に表れてしまったようです。
信雄と信孝の今後については本編でもいずれ…何事もなければ明日の24日に巻の四「躍進」その1を更新予定です。




