信長続生記 端書き (閲覧注意)
巻の二に入る前の息抜き、というよりも完全に別物と思って頂いた方が良いシロモノです。
サブタイトルの方にも閲覧注意、という注意を入れた上で投稿させて頂きます。
本編の雰囲気を大事になさる方は、こちらの話を飛ばしてこの後すぐ投稿予定の本編「信長続生記巻の二『山崎に集う』その1」をご覧下さい。
これは本編の空気感がどうにも堅苦しい、と思う方向けのお話です。
むしろアレで良い、と思える方は読まない方が賢明だと思われます。
かなりのキャラクター崩壊現象が巻き起こっているため、読んでてご不快に思われた場合は、
即座にページを移動して下さい、そのまま読み進めてご不快に思われても一切責任は取れません。
その事をご了承の上で読まれる方のみ、お進み下さいませ。
信長続生記 端書き 「本能寺が変」
利三「んぐっ、んぐっ、んぐっ! ぶはぁー…ビールお代わり!」
光秀「飲み過ぎだ利三、明日も撮影だぞ」
利三「これくらいで酔うほど弱くはありませぬわい。 その気になれば、日本酒を一升瓶ごといって見せましょうぞ!」
秀満「相変わらずよく飲むッスねー、肝臓死にますよ?」
利三「お主こそ酒が進んでおらんのではないか? とりあえずで頼んだビールくらい、3杯連続で飲み干す位してみぬか、駆け付け3杯と言うぞ?」
秀満「それぜってービールで使う言葉じゃねぇッスよ…というかお義父さん、信長様たち遅いッスねー」
光秀「あの御方は主役だ、そうそう我らのように時間は空くまい」
利三「主役、と言うのは分かりますが…どうにもわしはこの役に納得がいきませぬ…」
秀満「なんでッスか、本能寺の変のもう一人の主役、明智光秀の家老役ッスよ? 普通に考えてオイシイ役じゃないッスか?」
利三「いや、まあそれはそうなのだが…どうにもこう、察しが悪いというか…なんか悪い部分を全部押し付けられているような…そんな役回りにされている気がしてならん…」
秀満「しょうがないんじゃないんですかねー、光秀が頭良くて、その家老も頭良くて、ツーカーだけで話し進んじゃったら分かり難いじゃないッスか」
利三「そこじゃ!」
秀満「どこッスか?」(キョロキョロ)
利三「いや、そういう意味の『そこじゃ』じゃなくて…そういう事なら、お主が察しも頭も悪い猪武者、というキャラ設定で行けば良かったんじゃなかろうか、とな」
秀満「えー、嫌ッスよぉ」
利三「わしとて嫌じゃ! 家老じゃぞ家老! つまりは織田家のナンバー2、明智家の実質そのまたナンバー2であるわしが、なんか無能みたいって、そんなの納得できるか!」
秀満「いや、俺は信長様と戦ったりとかお義父さん心配したりとか、俺にしかできない役割あるんですってー、そこに『実は無能』とかまで付け足されてもー…」
信長「遅れてすまんな、邪魔するぞ」
蘭丸「思ったより打ち合わせが長引いてしまいました、失礼します」
光秀「お役目、ご苦労様です」
秀満「あ、信長様。 しゃーっす」
蘭丸「しゃーっす、じゃないだろう無礼者! キャラ崩壊が激しすぎるだろ貴様!」
秀満「えー、俺は基本こんな感じよ蘭丸っち。 役の上では結構マジな役だからさ、それなりに気張るけど打ち上げン時までキャラ引きずる必要なくね?」
蘭丸「誰が蘭丸っちだ! だいたい気安く話しかけるな」
信長「お蘭、それまでにしておけ、注文を取りに来た娘が困っておる」
蘭丸「は、申し訳ありません信長様! ええと、信長様はいつものウーロン茶で?」
信長「うむ」
蘭丸「ではウーロン茶とカシスオレンジを、それとこの甘トロふんわり卵焼きを1つで」
利三「カシスオレンジ? ふん、若造が…」
蘭丸「…なんですか?」
利三「男とも女ともわからん顔立ちをした青二才には似合いのジュースよの、男なら最低限ビール、そして焼酎・日本酒・ウイスキーよ!」
蘭丸「ああ、それで普段から酒臭いんですね、あなたは…まったく加齢臭だけならまだしも、アルコールの臭いまで混ざってるから臭くて臭くて、同じ撮影場所にすら居たくないんですよ…」
秀満「蘭ちゃんきっつー…でも確かに利三さんそれは偏見ッスよ、別に飲みたいモン飲むんで良いじゃないッスか。 酒は楽しく飲むのが一番って、俺は思うんスけどねー」
蘭丸「ほう、話が分かるな。 だが蘭ちゃんはやめろ」
利三「な、貴様どっちの味方だ!?」
秀満「蘭丸っちが嫌だって言うから蘭ちゃんにしたのになー…あ、俺は楽しく飲む方の味方ッス」
利三「ぐぬぬぬぬぬ…」
店員「お待たせしましたー、お先にお飲み物、ウーロン茶とカシスオレンジになりまーす」
蘭丸「信長様、どうぞ」
信長「うむ」
光秀「では全員飲み物が来たという事で、乾杯と行きましょうか」
信長「うむ」
秀満「んじゃ、カンパーイ!」
蘭丸「貴様が仕切るのか……乾杯」
利三「ぐっぐっぐ……ぶはぁぁ……「八海山」を二合、ひやで頼む!」
秀満「本当に飛ばすッスねぇ…絶対この人肝硬変とかになるッスよ」
蘭丸「酒臭い息を振りまきながら生きていられるよりも、いっそとっとと」
秀満「蘭ちゃんストップ、それ以上はさすがに酷いゼ」
光秀「信長様、卵焼きが来るまでこちらの枝豆でも」
信長「うむ」
秀満「そういや俺のセリフの中にあった「ヒュウガノカミ」っての、アレ何?」
蘭丸「そんな事も知らんで演じていたのか貴様…日向守、とは現在の宮崎県の昔の地名「日向の国」を守護することを朝廷から公に認められた役職だ! つまり今の宮崎県知事に相当する」
秀満「へー、蘭ちゃん物知りー! んじゃ「サキノウフサマ」ってのは?」
蘭丸「だから蘭ちゃんはやめろ。 「前右府様」つまり右大臣という地位に就いていた人を表す言葉で、今でいう所の大臣経験者、だな…」
利三「太政大臣=総理大臣、と考えれば、左大臣、右大臣、内大臣という役職がそのまま今の内閣のナントカ大臣、だの官房長官に相当する、と考えれば良かろう」
秀満「うお、利三さんまで! ただの酒好きのオッサンじゃなかったんスね!」
利三「馬鹿にしておるのかお前は! そのくらい時代劇で役をもらって演ずる上では、学んでおいて当然の事じゃろうが! ベテラン役者舐めるなよ!」
秀満「サーセン、刀の持ち方とか、鎧の付け方とか教えてもらうのでタイムアップでした」
蘭丸「まったく……私なんか子役の頃から色々やってたから馬にだって乗れるぞ!」
秀満「へー凄いねー……アレ、ってことは…」
蘭丸「なんだ?」
利三「なんじゃ?」
秀満「つまりこれって、現役宮崎県知事が、大臣経験者を暗殺しようとしたのが『本能寺の変』って考えていいんスかね?」
蘭丸・利三「それはやめろぉぉぉぉぉッ!!」
光秀「色々とリアルに考え過ぎだ…秀満、一旦その考えから離れろ」
秀満「へーい、気を付けまーす」
利三「まったくなんという物騒な言い回しをするんじゃ、このご時世に!」
蘭丸「まったくですよ、変な誤解を招いたらどうするんですか!?」
利三「そうじゃそうじゃ、いくら宮崎県知事だからって「そのまんま」すぎるじゃろ、宮崎県知事だけに、な」(ドヤァ)
信長・光秀・蘭丸・秀満「……………」
蘭丸「秀満…」
秀満「ああ…」
利三「あれ、意味が分からんかったか? これはアレじゃ、元宮崎県知事をやっていたあの」
秀満「酔っぱらいすぎッスよー、利三のダンナー!」
蘭丸「これはもう飲ませない方が良さそうですねー、店の外に捨ててきましょー!」
利三「ちょ、ちょっと待て! 放せ、放さんか! 2人がかりとは卑怯千万! み、光秀様! 信長殿! お、お助けを! この二人にわしを放すようご命令をー!」
秀満「すいませんねー、この人医者から飲むの止められてたらしいんで、先に帰しまーす」
蘭丸「ハイちょっと失礼しますねー、店員さんタクシー呼んでくれます? 酔っ払い一人送迎お願いしまーす」
利三「は、放せー! わしはまだ酔ってなどおらん、酔ってなどうきゅッ!」(首をコキッと回される)
秀満「うるさいんで黙らせたけど、どうする?」
蘭丸「店先に転がしておきましょう…勝手に回収してもらえますよ」
秀満「だな……顔も程よく赤らんでるし、酔っ払いが寝てる、で納得されんだろ」
蘭丸と秀満がそんな物騒な事をしている間、信長と光秀はテーブルに突っ伏したまま身体をピクピクと痙攣させていた。
利三の放ったオヤジギャグは二人の笑いのツボのど真ん中を刺し、大声で笑うのを堪えるので精一杯だった二人は、自然と緩む口元を抑えながら、その場にうずくまる事しか出来なかったのである。
次の日、撮影所に来た利三を見た二人は、即座に昨日の親父ギャグを思い出し笑いして、その場で崩れ落ちてその日の撮影は中止された。
表向きは主演の役者二人の体調不良、とされた。
信長と光秀の二人は、お互いに全く同じ所に笑いのツボがある事を知り、以後の撮影に臨む際には非常に息の合った演技で、スタッフを驚かせるようになったという。
ここまで読んで頂いて有難うございます。
別に斉藤利三という武将が嫌いなわけではありません、ただ貧乏くじを引いているだけです。
本編の方では「本能寺」関連の様々な説がある中で、物語の都合上独自解釈の説を展開して進めておりますので、必ずしも皆様のご期待・支持する説には添えない場合がございます。
ただ、こちらの端書きに関しての批判・文句などは甘んじて受け止めさせていただきます。
こんなものを書くなら本編更新速度を上げろ、というご意見に関しても厳粛に受け止めさせていただきます、何卒これからもよろしくお願いいたします。




