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初めて観た仮面ライダーが「仮面ライダークウガ」だった場合に起きるいくつかの困ったこと(1)

 今のご時世では時代錯誤な言い方だが、子供の頃は男の子らしく特撮ヒーローに夢中だった。保育園に行けばウルトラマンごっこに興じ、話すことと言えばウルトラマンのことばかり。頭の中にウルトラマンしかないのかというレベルだったらしく、親が保育園の先生に苦言を呈されたということを聞いたのはずいぶん後のことである。

 ヒーローは巨大でなければならないというのが当時の私の価値観だった。大きいものは強く、強いものはカッコいいという単純な図式に忠実に従っていたと言えよう。

 〇〇レンジャーという、いわゆるスーパー戦隊シリーズ(当時はそんな呼称は認識していなかったが)も好きだったが、これは最後に巨大ロボット戦があったからだ。ロボットのおもちゃは好きでも、変身玩具には魅力を感じない子供だった。

 等身大のヒーローというものが眼中になかったので、仮面ライダーという存在は知っていたが食指は動かず、なんか緑色の地味な格好のやつがいるな、くらいの認識である。

 巨大化することのできる仮面ライダーがいることは後年知ることになるが、だいぶマイナーな作品だったので当時は知りようがなかった。


 さて、小学校に上がると特撮ヒーローから距離を置くようになる。ごっこ遊びよりもテレビゲームやカードゲームの方が楽しくなっていたのだ。テレビで放映している特撮番組も気が向いたら観るくらいの熱量に落ち着き、半年あるいは1年間通しで、テレビに齧り付くように一つの番組を追うということもなくなった。

 日曜朝8時の新番組として「仮面ライダークウガ」が登場したのはそんなタイミングだった。前番組のロボコンを楽しく観ていたところ、おどろおどろしい絵面の新番組予告が流れてきたのである。子供ながらに思った。なんか凄い番組が始まりそうだと。

 1話をリアルタイムで観た時の衝撃は忘れられない。明らかにこれまで自分が観てきた特撮番組と空気感が違うと感じた。戦いと無縁だった青年が偶然に力を手にして怪人に立ち向かうという話の流れは何も珍しいものではないし、クウガのデザインも非常にオーソドックスなものだ(完成されているとも言えるが)。

 レイアウトだとか、カメラワークだとかいうことを当時の自分が意識していたとは思えないし(後年見返した時には撮影の拘りに驚くことになるが)、ストーリーに盛り込まれた社会性や登場人物の葛藤を十分に理解できていたとも言えないだろう。

 しかし、何か強烈に惹きつけられるものがそこにはあった。

 それからの1年間はひたすら「クウガ」に熱中することになるが、不思議なことに玩具を買いたいという気持ちは少しも起きなかった。

 決して、おもちゃの出来が悪いとか、劇中であまり活躍しなかったということではない。逆におもちゃの宣伝としてもかなり気合が入っていたように思うし、素直に格好良いと感じたことは覚えている。

 誤解を恐れずに言えば、自分が「クウガ」という作品に惹きつけられたのは特撮ヒーローとしての描写ではなかったということである。

 特撮ヒーローとしての「クウガ」も十分魅力的であることは間違いないが、その点だけを見れば他にも同じくらいに魅力的な作品はある。

「クウガ」が特異だったのは、その作品に漂う「本物感」ではないかと今は考えている。


 言うまでもなく特撮ヒーローは架空の存在であり、現実に同じような格好をした存在が現れた滑稽なものとして人々の目に映るはずだ。その外見がヒロイックであればあるほど、現実の風景に身を置いた時の間の抜けた感じは強くなってしまうように思える。

 滑稽なものを作っていることを自覚し、開き直ることも出来るし、それによって生まれる面白さもあるのは事実である。

 しかし、「クウガ」という作品は、その現実には存在し得ないものを、如何に現実にありそうなものとしてみせるかと言うことに心血を注いでいたように感じる。

 街中に怪人が現れた時に警察がどのように対処するか、怪人による脅威に人々はどのように反応するのか、ヒーローが怪人を倒すとはどう言うことなのかといったことに正面から向き合い、画面作りに落とし込んでいく拘り、信念とも言うべきものがそこにあるのだと思う。

 その信念に自分は強く惹かれたのだ。


 「クウガ」から仮面ライダーシリーズは再開し、今もなお日曜日の朝に放映されている。当然自分も「クウガ」からの流れでその後の作品を観ていくことになったのだが、そこで困ったことが起こるのである。 続く

 

 

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