涙の宝石
昔、魔女がいました。森の奥に一人で住んでいる魔女の家には溢れるばかりの宝石があるという噂でした。
貧しい村に住む娘は魔女のもとを訪れました。どうか宝石を分けてくださいと頼むと、魔女は言いました。
「私のために毎日パンを焼き、水を汲んで、暖炉の灰をかいておくれ。全てきちんとしたら宝石を分けてあげよう」
娘は働き者だったので、毎日パンを焼き、水を汲んで、暖炉の灰をかきました。すっかり隠れたお月様が再び丸くなる頃に魔女は言いました。
「おまえは毎日、パンを焼き、水を汲んで、暖炉の灰をかいたね。約束通り宝石を分けてあげよう」
魔女は歌いました。
カラコロ コロリ、ほと ほとり
魔女は宝石の涙を流します。キラキラ輝く宝石を袋いっぱいに詰めて、魔女は娘に渡しました。
「宝石は一つだけがお前のものだよ」
娘は宝石の詰まった袋を持って帰ります。そして、袋の中で一番小さな宝石を自分のものにすると、他の宝石は村に分け与えました。
これには村も大喜び。貧しい村は冬を越すことができました。
ある日、村に王子様がやってきました。王子様は小さいけれど、とても美しい宝石を持つ娘を見て、聞きました。
「その宝石は星のように美しいけれど、他の欠片はどこにある?」
娘は答えました。
「全て村に」
心の清らかな娘をすっかり気に入った王子様は、娘をお城に連れて帰りました。
お城には沢山の宝石がありました。ですが、娘のもつ宝石より美しいものはありません。娘の宝石はいつもキラキラと輝いていました。
王妃様が尋ねました。
「その宝石は星のように美しいけれど、他の欠片はどこにある?」
娘は答えました。
「森の魔女に」
娘の宝石が羨ましくなった王妃様は、森の魔女のもとを訪れました。どうか宝石を分けてくださいと頼むと、魔女は言いました。
「私のために毎日パンを焼き、水を汲んで、暖炉の灰をかいておくれ。全てきちんとしたら宝石を分けてあげよう」
しかし、王妃様は怠け者で働きません。パンを焼くこともなく、水を汲むこともなく、暖炉の灰をかくこともありませんでした。
まん丸のお月様が再び隠れる頃に魔女は言いました。
「おまえは毎日、パンを焼くことも、水を汲むことも、暖炉の灰をかくこともなかったね。約束を破るとはなにごとか」
魔女は歌いました。
カラコロ コロリ、ほと ほとり
魔女は宝石の涙を流しました。キラキラ輝く宝石を袋いっぱいに詰めて、魔女は王妃様に渡しました。
「宝石は一つだけがお前のものだよ」
王妃様は言いました。
「これは全て私のものだ!」
宝石は全て泥になりました。泥を浴びた王妃様の顔は二度と戻ることはありませんでした。




