旅立ち編_間章_1_二度寝
「ん……」
目を開くと、最初に目に入ったのは無機質な壁面だった。
培養液越しではない。
普通の人からすればそれが当然のことなのだろうが、セイカにとっては新鮮な光景だった。
ツチグモの培養槽部屋だ。無人兵器にとって重要なオペレーター室でもあるこの部屋に窓などあるはずもなく、視覚情報で時間は分からなかった
配線の繋がったコグモに脳内で時間を確認する。朝の4時だった。まだ日も出てないのではないだろうか。
警戒している無人兵器からアラートが届いた様子もない。なぜ目が覚めたのだろうか。
やはりシェラフでは安眠は難しいということか。
「んっ……ふ……」
寝ぼけた思考でそんな事を考えていると、胸もとがもぞもぞとしている気がした。
目を向けると、妹……ミヤビの頭が少し動いている。
「……ミヤビ?」
「っ!?」
何となしに声をかけてみると、ビクリとミヤビが肩を震わせた。
「おっ……おはよう……姉さん」
「……おはよう」
普通はこうして朝のあいさつを交わすのは当然で、煩わしいと思う人もいるらしい。
なんとも贅沢な考えだと思いながら、妹の頭を撫でる。
「早いわね。もう起きてるの」
「うん……目が、覚めて……」
会話をしていて、妹の息が少し荒いような気がした。
「ミヤビ……体調でも悪いの?」
「っ……大丈夫……」
ミヤビの反応に首を傾げるも、本人が大丈夫と言うなら大丈夫なのだろう。
「そう?……あ、暑いならもう一つのシェラフに移っていいから」
セイカは欠伸をしつつ、妹の自由意志に任せることにした。
セイカにとっては眠気を誘うちょうどいい温度だが、妹は自分より体温が高い気もする。触れると温かいのだ。
「本当に調子が悪いなら……言ってね。私はもう少し、寝るから……」
「……うん」
「あと、この臭い……何かしら」
うとうとしながら呟いた内容にミヤビが肩を震わせたが、睡魔に手を引かれているセイカは気付かなかった。
「これが、汗の臭い……?起きたら、身体、拭かない……と……」
セイカが寝息を立て始めるのを確認すると、ミヤビは安堵の息を吐いた。
姉の香りに包まれながら事を再開する。
再び起きる前に済ませて片付けるべきだ。
今のところ姉は、妹の奇行に気付きそうになかった。
オマケみたいな小話です。
本編に関わるように思えるし、関わらない内容かもしれません。
章ごとの間にちょこちょこ入れてイケれば。別に上手くはないですね。はい。
セイカ∶シスコン
ミヤビ∶マザコンでシスコン。そしてシスコンは悪化(?)していく予定
読んでくださったあなたへ感謝を。




