表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雷の勇者と鋼の英雄 〜世界を変えると誓った兄弟は、やがて敵対する〜  作者: ちぇ!
法国編 ーー勇者の誓いと黒雷の器

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/60

五十五、黒焔のカミナ

※カミナ視点です。

帝都グラン=ドラグナの闘技場は、今日も朝から大盛況だった。


 石造りの円形闘技場をぐるりと囲む客席は、上から下まで人で埋まり、酒臭い歓声と熱気で波打っている。

 貴族席からは香と高い酒の匂いが流れ、庶民席からは肉串と汗と賭け札の匂いが吹き上がる。全部が混ざって、鼻の奥がじりじりした。


「黒焔! 黒焔!」

「カミナァァ!」

「あの黒いのに炎みてぇに具現化する闘気、見たか!?」

「最後の一撃、あれ人間にできる腕力じゃねぇぞ!」


 名前が飛ぶ。


 昔みたいに、“勇者の弟”じゃない。

 “異例の新人”でもない。


 今、ここで飛んでくるのは、オレの名だ。


 ――《黒焔のカミナ》。


 闘技場の砂の上には、ついさっきまでオレとやり合っていた大男が転がっていた。

 鎧はひしゃげ、胸甲は内側へ食い込み、腕は変な方向へ曲がっている。死んではいない。闘技場に常駐している治療部隊は、この帝国でも選りすぐりの連中だ。治癒魔法をかければ、しばらく寝込むことにはなっても、そのうちまた歩けるようにはなるだろう。


 この一年で、オレはかなり変わった。

 七神将《翠察の蜂》セリーヌには闘気の扱いを叩き込まれ、《蒼断の狼》ヴォルグには、魔法を使う敵をどう潰すかを徹底的に教え込まれた。


 帝国最強格の二人に鍛えられたんだ。

 今のオレは、誰にも負ける気がしない。


 司会役の魔導拡声が、喉を潰す勢いで叫んだ。


「勝者ァァァァ!! 黒焔のカミナァァァ!!」


 どっと歓声が湧く。

 紙片が舞う。銅貨と銀貨が宙を飛ぶ。酒がこぼれ、誰かが肩を組み、誰かが負け札を破いている。


 ……相変わらず、よくもまあここまで騒げるもんだ。


 オレは、いつもの“決まった勝ち名乗り”をやる。


 ガイアブレードを頭上へ持ち上げ、そのまま手首と肩で強引に回す。

 一回。二回。三回。

 人ひとり斬れるどころか、身体ごと叩き潰せる大剣が、唸りを上げて空気を裂いた。


 鉄塊みたいな重厚な剣なのに、まるで木の枝でも弄ぶみたいに、くるくると軽々回してみせる――その瞬間が、客席の連中はたまらなく好きらしい。


「うおおおおおっ!!」

「来たぞ、来た!!」

「黒焔の勝ち名乗りだ!」


 歓声が、また一段大きくなる。


 最後にガイアブレードをひと振りして、刃についた血を払う。

 赤い筋が砂へ散り、そのまま肩へ担いだ。


 剣は相変わらず重い。

 けれど今のオレには、その重さがちょうどよかった。


 歓声は、まだ止まない。


「連勝記録更新だ!」

「次は誰を潰す!?」

「もう上位闘士でも相手にならねぇ!」

「当然だ! 七神将候補だろ、あいつは!」


 七神将候補。


 その言葉に、客席はまたひとつ沸いた。


 オレが第七軍に所属していることは、もう帝都じゃとっくに知れ渡っている。

 第七軍を預かる七神将――《黒導の羊》アルベリオ。あの爺さんも、いつまでもその席に座っている歳じゃない。


 だからだろう。

 こいつらはもう、ただの闘士としてじゃなく――“次の将軍”としてオレを見ている。


 闘技場で勝って。

 工房で黒鋼を打って。

 帝国の中で、オレはちゃんと“上”へ食い込んできた。


 ……その実感だけは、ある。


 けど。


 歓声の真ん中に立っていても、腹の底は妙に冷えたままだった。


 満たされない。

 勝っても勝っても、空っぽのままだ。


 足りねえ。


 こんな場所で何十人、何百人叩き潰したところで――あいつは死なない。


 《灼嵐の軍神》ダリウス・グレイヴ。


 その名前を胸の奥で転がした瞬間、脳裏に焼け跡が戻る。


 灰になった父さん。

 焼けた村。

 喉の奥にこびりついた、肉と鉄の匂い。


 歓声が、急に遠くなった。


 オレはもう客席を見なかった。

 司会が何か喚いていたが、手だけ上げて適当に流す。


 見せ物としてなら、それで十分だ。


 最初はあれほど胸が躍った闘技場も、もう熱が冷めてきていた。

 ここは確かに、オレを上へ押し上げた場所だ。名も金も、力もくれた。


 ……けど、本命はここじゃない。


 闘技場を出る。

 石の通路へ入ると、歓声は壁一枚ぶん遠くなる。代わりに足音と、血の匂いと、治癒室へ運ばれていく敗者の呻き声が近くなる。


通りすがるやつは、どいつもこいつも、オレを見た瞬間に道を空けた。


 怖れてるのか。

 呆れてるのか。

 それとも、尊敬してるのか。


 ……そんなもん、今はどうでもいい。


 今のオレに必要なのは、拍手でも歓声でもない。

 もっと別のものだ。


 もっと硬くて。

 もっと重くて。

 もっと、強い。


 ダリウスを確実に殺せる、都合のいい力。

 


 工房の作業音もうるさい。

それでも、闘技場の歓声に比べればずっと落ち着いていた。


帝都の外れ、黒鋼座の裏手に作られた鍛冶場。

炉はごうごう鳴き、ふいごの呼吸が壁を揺らし、鉄の匂いと煤が肌にまとわりつく。槌の音だけが妙に規則正しくて、その中にいると、自分の中の余計な声が少しずつ削れていく。


闘技場で削られた神経が、ようやく元の位置へ戻っていく。

ここは、そういう場所だった。


 それに、この工房は、前とは見違えるくらい、たくましく“生きて”いた。


 前掛け姿の職人たちが、組み台の前で声を掛け合いながら黒鋼の板をはめている。


 奴隷も何人もいるが、鎖で引っ張られているわけじゃない。揃いの作業着を着て、汗を拭いながら部材を運び、慣れた手つきで研磨や組み立てを手伝っていた。顔色も悪くない。


 飯も出てるし、親方に頭をはたかれながらも、どこか和気藹々としている。


 無理やり働かされているって空気じゃない。

 忙しい部活に放り込まれた連中が、なんだかんだで一緒にデカいものを作ってる――そんな感じだった。


 奥の方では、腕の太い年配の親方が怒鳴っている。


「おい、そっちの留め具が逆だ逆! 図面見ろ図面!」

「親方、これ穴の位置ずれてません?」

「ずれてねえ、てめえの目がずれてんだ。……いや待て、ちょっと貸せ。あー、半寸違うな。マーク呼んでこい!」


 ……うん。いい感じに騒がしい。


 で、そのマーク本人はというと、炉の脇で図面束を抱えて、おろおろしていた。


 煤だらけの革前掛け。髪にも頬にも黒い粉がついていて、手は真っ黒だ。

 けど、目だけは妙に生き生きしている。

 相変わらず、仕組みの前に立つと急に人が変わる――そんな、少年っぽさの抜けきらないやつだった。


「お、おかえりなさい」


「今日も――もちろん、勝ちましたよね?」


「見に来てくれてねぇのかよ」


「い、行くつもりだったんですけど……親方さんに組み立ての確認を頼まれてて」


 言いながら、抱えていた図面を少し持ち上げる。


「ぼく、こっちで寸法が違うと……全部やり直しになるので……」


「あー、確かに最近は組み立ての方で忙しいもんな」


「それに、その……」


 マークは少しだけ困ったように笑った。


「カミナさんが負けるはず、ないじゃないですか」


 ……まあ、そうだが。


 作業台の向こうでは、ゼクスが何枚も図面を広げていた。

 眼鏡の奥の目は落ち着いていて、紙の上の数字と線を追いながらも、こっちにだけ意識の一部を割いている。


「怪我は?」


「あっても治るの、知ってんだろ」


「相手はどうでした?」


「転がした」


「……ふふ、そうですか」


 相変わらず反応は薄い。

 最初の頃は、闘技場にもわざわざ応援に来て、勝つたびに自分のことみたいにほっとしていたくせに、いつの頃からか、そういう分かりやすい心配はしなくなった。


 もともと、オレが勝つたびに大騒ぎするような性格でもない。

 今じゃ「まあ勝つだろう」みたいな顔で、普通に図面へ戻っていく。


 だが、その薄い反応の奥に“それが当然”って空気が混じっているのが、今のオレには少しだけ気楽だった。


 作業台の上へ目をやる。


 布をかけられた大きな板。

 太い筒状の金属器。

 図面、留め具、試験片。


 この一年、闘技場で名を上げるのと同じくらい、こっちの開発も大きく前へ進んだ。

 アマーリエの後ろ盾とゼルファス家の資金。ゼクスとリリスの段取り。

 そこに、オレの発想とマークの知識が噛み合った成果だ。


 この一年、主に注ぎ込んできたもの。

 それは、打倒ダリウス――そして魔法を主軸とする栄皇騎士団を叩き潰すための切り札だった。


 開発してきたものは、二つ。


 魔法を弾く、黒鋼の大盾。

 魔法防御を貫通する、黒鋼の大砲。


 闘技場だけをやってきたわけじゃない。

 オレ――いや、オレたちはちゃんと、別の力を育ててきた。


「えっと……まず、こっちです」


 マークが布をめくる。


 現れたのは、黒鋼の大盾だった。


 でかい。

 普通の盾というより、もはや動く壁だ。だが、前に見た試作品より明らかに洗練されていた。無駄に厚いだけじゃない。

 角が削られ、持ち手の位置も変わっている。

 重心が内側に寄せられていて、“重そうに見えるが、持つと軽い”っていう改良が、ちゃんと入っていた。


「……前のより大分軽くなってるな」


「はい」


「そこ、一番詰めたところです。重すぎると、壁にはなっても……壁のまま前に出られないので」


 マークがぱっと顔を上げる。

 少し照れくさそうに、盾の縁を撫でた。


「前の試作、ほんとに動けなかったじゃないですか。あれだと、受けるだけで終わっちゃうので」


 オレは盾の面を軽く拳で叩いた。

 鈍く、腹に響く音が返る。


「まあな。壁が壁のまま止まってたら意味ねえ」


 この黒鋼盾の発想は、単純だった。


 この世界の戦場は、魔法を前提に組み立てられている。

 ならば術を持たない側は、“反魔法の黒鋼”でその理屈ごと覆せばいい。


 まずは黒鋼で壁を作る。

 魔法を受けても崩れねえ壁だ。

 その壁が、崩れねえまま前に出る。


 派手な魔法を撃ち合うだけじゃ意味がねえ。

 防いで終わりじゃない。

 防ぎながら、じりじり近づいて――最後は闘気を乗せた身体ごとぶつかる。


第七軍で今、何度も叩き込んでるのもそこだ。

 隊列を密着させ、前面を黒鋼で覆い、魔法を殺しながらじりじり押し上げる。

 ゼクスが軍の動きとしてまとめた反魔法陣形――ファランクス。


 そして、間合いに入った瞬間、隊列ごと闘気を乗せた盾で一気に突っ込み、体当たりで敵陣を叩き割る突破陣形 

――シールドチャージ。


 ゼクスが横から補足した。


「隊列の密度は、前回より詰めています。接触面も増やしたので、正面からの魔法圧には前より強いはずです」


「受けて終わりではなく、受けながら押し上げるための盾です」


 マークが図面を指でなぞる。


「面は広く取る。でも、持つ人の腕にだけ重さが集中しないよう、裏の骨組みと握りの位置は何度も調整しました」


「最初に作ったやつ……重すぎて、五歩も歩けなかったからな、あれ」


「三歩です」


「誤差だろ」


「持つ側からしたら大差ですよ……」


 ただの大盾じゃない。

 魔法を浴びながら前へ出て、最後は隊列ごとぶつけるための盾だ。


 最初にこういう形を思いついたのはオレでも、

 それを“軍としてどう使うか”まで詰めたのはゼクスで、

 さらに“実際に魔法を防ぎきる形にし、前に出られる重さ”にまで落とし込んだのはマークだ。


 オレ一人なら、たぶん「黒鋼の盾を作って突っ込もうぜ」で終わっていた。


「親方には、“こんな大盾を量産するなんて正気じゃない。そもそも、こんなもん本当に持つやつがいるのか”って言われたんですけど……」


「現にいるだろ」


 オレは盾の縁を軽く叩いた。


「今の第七軍だ。オレの話に乗ってくれて、アルベリオの爺さんと一緒に必死こいて鍛え直してる連中がな」


 マークは、ほっとしたように眉を下げた。


「……ですよね」


「でも、普通の職人さんには、あんまり思いつかない発想だとは思います」


「そりゃそうだ。盾ってのは普通、“防ぐこと”だけを考えて作るもんだ。わざわざ“受けながら前に出ること”まで想定した、壁みてえな盾なんて、普通は考えねえ」


そう言うと、マークは少しだけ面白そうに笑った。

それから、もう一枚の布に手をかける。


「それと……こっちが」


 現れたのは、黒鋼の大砲だった。


 筒は太く、台座は低い。

 いかにも“上品じゃない”兵器だ。

 けど、こっちも、もう試作品の段階じゃなかった。

 側面には補強帯が入り、照準のための簡易な刻みまでついている。後ろには交換式の部材箱が並び、すぐ撃てる形で十基近くが壁際に整列していた。


 準備は、もうほとんど終わっている。


「……もう十機まで来たのか」


「はい」


 今度はゼクスが答えた。


「移動用の車輪も改良済みです。砲架の強度も安定しました」


「第二軍での運用試験も、ほぼ想定通りに進んでいます」


 マークも、少しだけ胸を張る。


「発射時のブレも、前よりかなり抑えられました。あとは現場で何度か撃って、細かい修正を拾えば……」


 オレは砲身を軽く叩いた。


 鈍く、重い音が返る。

 嫌いじゃない。


 こいつの発想も、最初は単純だった。


 この世界の戦争は、結局のところ魔法と魔法のぶつけ合いだ。

 撃って、受けて、削って、押し切る。

 魔法障壁を張り、迎撃の術を飛ばし、どちらが先に崩れるかを競う。


 だったら逆に、その“前提”そのものをぶち壊せばいい。


 魔法をまともに食らっても、軌道がぶれない。

 迎撃を受けても、逸れない。

 障壁ごと、正面から貫いて届く。


 そんな兵器があれば、この世界の戦場の理屈はひっくり返る。


 普通は誰もそんなものを作ろうとしない。

 魔法があるなら、魔法で済ませるからだ。


 けど、黒鋼なら話は別だった。

 魔力を寄せつけず、干渉を受けにくいまま、まっすぐ飛ばせる。

 魔法障壁も、迎撃の魔法も、その“普通”の外側から叩き抜ける。


 しかも、これもただの思いつきじゃ終わらなかった。


 最初に「こんなのが欲しい」と言い出したのはオレだが、

 それを第二軍の戦術として形にしたのはゼクスで、

 さらに実際に撃てる構造まで落とし込んだのがマークだ。


 第七軍が黒鋼の壁で押し上げるなら、

 第二軍はその後ろから、この黒鋼砲で戦場を撃ち抜く。


 前で魔法を殺す鋼。

 後ろで魔法防御ごと穿つ鋼。


 そうやって、ようやく“軍”になる。


「ありがとな、マーク。お前がいたからここまでできた」


「いや、でも構想はカミナさんなので……」


 突然の礼に驚いたのか、それとも張りつめていたものが少し緩んだのか。

 マークの目が、わずかに潤んだ。


「発明家として……ようやく、ここまで形にできてよかったです」


 そう言ったあと、マークは一瞬だけ言葉を飲み込んだ。


「もちろん、これでたくさんの怪我人や死者が出るかもしれないってことは、分かっています」


 黒く汚れた自分の手を見下ろし、それから小さく笑う。


「でも……魔法が使えない人でも、考え方や工夫次第で強くなれる。戦える。役に立てる」


 声は弱い。

 けれど、その芯だけは、はっきりしていた。


「そういう可能性を、ただの綺麗事じゃなく形にできたなら――」


 指先で、図面の端をそっと押さえる。


「差別のない世界への足がかりになるなら、ぼくは……作った意味があったと思います」


 ゼクスが、横から静かに言葉を継いだ。


「今までにない発想ですからね。魔法を打倒するための兵器など、普通はなかなか辿り着けません」


「普通の砲なら魔法で逸らされる。普通の魔法なら魔法で受け止められる。ですが、これはその“普通”から外れている」


 それが、でかい。


 ゼクスは眼鏡の位置を押し上げ、少しだけ口元を緩めた。


「カミナのような人を、革命者と呼ぶのかもしれません」


 一拍置いて、さらりと続ける。


「少しどころか、だいぶネジが外れているので。気狂いと呼ばれても不思議ではありませんが」


「おい、言いすぎだろ」


 思わずツッコむと、工房のあちこちで笑いが起きた。


 ……いい空気だ。


 ドンッ!!


 その空気を破るように、工房の扉が乱暴に開いた。


「カミナ!!」


 リリスだ。


 息が上がっている。頬も少し赤い。

 この女が飾る余裕もなく飛び込んでくる時は、大抵ろくでもない。


「どうした」


「緊急招集ですわ!」


 言い方だけはいつも通り整っているのに、声の張りが違う。

 ゼクスが眼鏡を押し上げた。


「何がありました」


 リリスは息を整える暇も惜しんだみたいに、一気に告げた。


「南部前線の基地都市オルタが落ちましたわ」


 工房の空気が、一瞬だけ止まる。


 ゼクスの眉がぴくりと動いた。


「……王国ですね」


「ええ」


 さっきまで近かった炉の音が、そこで少し遠くなった。


 オルタ。

 もともとは帝国南部寄りにある、ただの地方都市だった。


 だが王国北部の城塞都市バストリアへ牙を立てるため、南方へ兵が常駐するようになり、補給庫が増え、兵舎が増え、鍛冶場が増え――気づけば街そのものが、前線基地へ変わっていた。


 今じゃ“街”というより、戦争を食わせるための巨大な胃袋だ。

 兵も、武具も、食料も、弾も、南へ出るものは一度あそこを通る。


 そんな場所が落ちた。


 それは前線の拠点をひとつ失った、なんて話じゃない。

 帝国が南で噛みつくための牙、その根元ごと抉られたってことだ。


 その意味を、頭より先に身体が理解した。


 リリスはさらに続ける。


「しかも、それだけではありませんわ」


 一拍。


「《灼嵐の軍神》ダリウスが、栄皇騎士団を率いて、そのまま北上する構えですの」


 その瞬間。


 手が止まった。


 黒鋼砲に置いていた指が、少しだけ強く食い込む。

 炉の火の音が遠くなる。槌の音も、職人たちの笑い声も、全部が薄くなる。


 脳裏に戻ってきたのは、あの時の光景だった。


 霧。

 橋。

 父さんの声。

 炎と風。

 灰。


 呼吸が浅く、鋭くなる。

 深く吸うんじゃない。肺の上だけが細く動いて、喉の奥だけがひりつく。


「……そうか」


 自分の声が、自分のものに聞こえなかった。


 リリスはまだ何か言っている。


「金装の間へ緊急招集ですわ。お父様やセリーヌ様も出席されます。おそらく南部戦線の――」


 その先は、もう半分しか入ってこなかった。


 ようやく、そこまで来たか。


 胸の奥で、何かが静かに立ち上がる。

 怒りが爆ぜるんじゃない。もっと冷たい。もっと深い。火傷の跡みたいな熱だ。


「……やっと対峙できるな」


 気づけば、そう呟いていた。


 皆が黙る。


 オレは視線を上げる。


「ダリウス……父さんと、みんなの仇だ」


 沈黙が落ちた。


 先に口を開いたのは、ゼクスだった。


「復讐心を否定するつもりはありません」


 いつもの静かな声。

 けれど今日は、その静けさが少しだけ硬い。


「ですが、カミナは猪突猛進すぎるところがあります」


 一歩、こちらへ近づく。


「帝国へ来た理由を、思い出してください」


 眼鏡の奥の目が、まっすぐこっちを見る。


「これは、あなた一人の戦ではない」


「みんながいます。一人では絶対に届かない。だからこそ、連携して敵を撃つことを忘れないでください」


 マークも、黙って頷いた。


 ……分かってる。


 そんなことは、最初から分かってる。


 一人で突っ込んでも届かないと知ってるから、ここまで来たんだ。


 リリスは逆に、ぱっと顔を上げた。

 こいつはこいつで、火を見たら油を持ってくる性格をしている。


「白羽の矢が立ちましたのよ、カミナ」


 目を輝かせる。


「ついに“本物の戦場”ですわ」


 本物の戦場。


 その言葉に、腹の底が少しだけ鳴った。


 闘技場は派手だ。歓声もある。名前も売れる。

 だが、あれは所詮、囲われた殺し合いだ。


 本物は違う。


 本物の戦場には、土と血と煙があって。

 取り返しがつかなくて。

 そして、その向こうにあいつがいる。


 オレは壁に立てかけていたガイアブレードを取った。


 重い。

 だが、今はその重さが妙に身体へ馴染む。


「マーク。出来た兵装は、後でまとめて取りに来る」


 マークが背筋を伸ばす。


「はい。準備しておきます」


 オレはゼクスとリリスを見る。


「行くぞ」


 それだけ言って歩き出す。


 炉の火が背中を照らす。

 黒鋼の匂いが、服に残る。


 闘技場の歓声は、もう通過点だった。

 黒鋼の切り札も、見世物の道具で終わるつもりはない。


 今度は本物の戦場で使う。

 本物の敵に向けて振るう。


 逃がさねえ。


 今度は、あの時みたいに。

 手が届かないまま終わらせない。


 復讐は――ようやく、戦場の形を取り始めた。



 グラン・ドラグナの闘技場の門をくぐり、金装の間へ続く長い回廊へ入る。

 石壁は白く磨かれ、燭台の光を冷たく跳ね返していた。足音がよく響く。嫌でも、自分が今どこへ向かっているのか分かる音だ。


 金装の間は、やっぱり目に痛かった。


 磨かれた金柱が灯りを跳ね返し、深紅の絨毯が玉座まで一直線に伸びている。壁を飾る軍旗は揺れない。空気まで磨かれているみたいに、埃ひとつ見えなかった。


 玉座には、この国の頂点――七神将《金威の鷹》、女帝アマーリエが座していた。


 細い指を肘掛に預け、こちらを見下ろしている。

 表情は穏やかだ。だが、その穏やかさが一番怖い。笑っていても、目の奥だけはずっと研ぎ澄まされている。


その左右に、七神将の席が並んでいた。


 ――まず、空いている席が目に刺さる。


 紅。

 白。


 一年前から埋まらないままの二つの座。

 誰も触れない傷口みたいに、そこだけが静かだった。


 だが、欠けているのはその二席だけじゃない。


 本来なら褐の席にいるはずの男――第五軍《褐陣の牛》ガルディオの姿もなかった。


 先代“褐”の重すぎる影を継承戦でねじ伏せ、その座を継いだ剛岩の将。今は南方守備の要として、オルタ方面へ張りついている。


 紅と白が“天災”みたいに消し飛んだあと、帝国は即座に全軍を動かせる状態ではなかった。

 戦線は裂け、兵站は乱れ、再編は急務。そこへ北ではエルフまで騒ぎ出し、大賢者リゼリアの所在も読めなくなった。


 大賢者が王国と正式に手を結んだのかどうか、そんなものは分からない。

 だが、分からないままでも十分すぎた。

 もしあの”天災”が王国に利する方向へもう一度だけ動けば、それだけで帝国の盤面はひっくり返る。


 つまり、最悪はこうだ。

 王国が南から噛みつき、リゼリアが横から盤を砕く。

 帝国は、その可能性を無視できなかった。


 そんな中で、最速で南へ差し向けられたのが、防衛と陣地維持を最も得意とする“褐”だった。

 五軍だけでオルタを支えていたのは、ガルディオの軍がそれだけ信頼されていたからでもある。


 そして同時に、他の七神将まで帝都を離れれば、女帝の側で全軍を見渡し、次の手を決められる手札がなくなる。


 だからガルディオは南へ出て、七神将は、ここに残った。


 蒼の席には、ヴォルグ。

 相変わらず、冷たい壁みたいな男だ。腕を組み、こちらを値踏みもせず、ただ“確認”している。南方へ赴かず帝都に残ったのも、あの男が蒼の軍だけでなく、今の帝国全体の支柱のひとつだからだろう。


 翠の席には、セリーヌ。

 足を組み、頬杖をついて、いかにも退屈そうな顔をしている。だが、目だけは笑っていない。あれは戦の前の目だ。


 黒の席には、アルベリオ。

 黒羊の紋を胸に、老いた羊みたいな目で場を見ている。喋らなくても分かる。あの老人は、黙って座っているだけで周囲の“隙”を数えている。


 紅と白の空席。

 褐の不在。

 そして、その穴を埋めるように座る蒼・翠・黒。


 それだけで、一年前のあの一撃が、まだ帝国の真ん中に刺さったままだと分かる。

 同時に、帝国はもう次の戦のただ中にいるのだとも。


 オレたち三人は、玉座の前まで進んで片膝をついた。


「リリス」

「ゼクス」

「カミナ」


 アマーリエが、ひとりずつ名前を呼ぶ。

 軽い。だが、その軽さで済ませる気がない声だった。


「急に呼びつけたのは、他でもない」


 細い指が、肘掛を一度だけ叩く。


「南部の基地都市オルタが落ちた」


 言葉が落ちる。

 それだけで、部屋の空気が一段重くなった。


「だが案ずるな。オルタを守っていたガルディオも第五軍も、健在じゃ」


 静かな声だ。

 だが、それで安心してよい話ではないのが、逆によく分かる。


「一年前、紅と白を失ってなお、ワシは耐えた。南を立て直そうとし、兵を補い、傷を隠して“新星”を育ててきた」


 穏やかな口調のまま、言葉の芯だけが熱を帯びる。

 その視線が、オレとゼクスとリリスを順に掠めた。


 ……言われるまでもない。

 その“新星”ってのが、オレたちのことなんだろう。


「だが、状況は刻一刻と変わってきた」


 アマーリエの目が、ほんの僅かに細くなる。


「リゼリアめ。あやつが暴れたせいで、北方の森にまで余計な火種を残していきおった。珍しく、エルフどもまで攻勢に出た」


 そこで初めて、アマーリエがわずかに顔を上げた。

 北の件は、本当にただ事ではないらしい。


「北のエルフどもの警戒は無論、大賢者が今どこにおるかも、まだ定かではない」


 一拍。


「一年が過ぎ、今のところ大賢者が帝国へ直接牙を剥く気配はない。オルタを落としたダリウス率いる栄皇騎士団とも、明確に手を結んでおる様子は見えぬ。理屈では、そう言える」


 さらに一拍。


「じゃが――理屈通りに動かぬからこそ厄介なのが、“大賢者”じゃ」


 部屋の誰も、その言葉に異を唱えなかった。

 紅と白の空席が、そのまま答えになっている。


 アマーリエは続けた。


「ゆえに、ワシはまだ動かぬ」


 その一言で、腹の奥にあった予感が形になる。


「蒼断の狼ヴォルグ」

「黒導の羊アルベリオ」


 玉座からの視線が、順番に流れる。


「おぬしらも待機じゃ。北を空にはせぬ。何が起きるか分からぬ以上、帝都と北方の要は残しておく」


 アルベリオが、薄く笑った。


「妥当じゃな」


 低い声だった。納得というより、“当然だ”に近い。


 ヴォルグは短く頷くだけ。

 重いものほど、返事が短い。


アマーリエの視線が、今度はセリーヌへ移る。


「翠察の蜂セリーヌ」


「はいはい。分かってるよ、婆ちゃん」


 セリーヌが肩をすくめる。


 ぞんざいな返事に見えるのに、部屋の空気はまるで乱れない。

 姉御はふざけてるようで、その実“外さない”と皆に分かっている顔だ。


「南方方面の反攻、おぬしに任せる」


「基地都市オルタを取り返し、そのままバストリア方面へ、もう一度牙を立てる」


 セリーヌの唇が、少しだけ歪んだ。


「ようやく本格的にやれるってわけだ」


「今回は、セリーヌ率いる第四軍だけではない」


 アマーリエが切る。


「アルベリオ配下の第七軍を借り、新たに編成した第二軍と第六軍もつける。全体指揮はセリーヌ。七軍と二軍には、戦場で試すべきものがある。そこにおる三人を連れていけ」


 視線が、オレたちへ落ちてくる。


「リリスは第六軍を」

「ゼクスは第二軍を」

「カミナは第七軍を率いよ」


 名前を呼ばれるたび、背筋が自然と伸びた。


「おぬしらには、此度の戦で存分に働いてもらう」


 リリスの肩がぴくりと震えた。

 この震えは喜びだ。分かりやすい。

 戦に出ると聞いて、心の底から嬉しそうにしてやがる。

 ……この女、やっぱりどこか狂ってる。


 アマーリエは、さらに言葉を積む。


「闘技場で積んだ名が、ただの見世物で終わるか。工房で鍛えた刃が、本当に戦の牙となるか。――ちょうどよい試し場じゃ」


 マークとこっちで積んできたものが、その一言で戦場へ繋がる。

 胸の奥が、じわりと熱くなった。


 ちゃんと見ていたんだ。

 オレたちがやってきたことを。

 闘技場も、工房も、全部。


 アマーリエの目が、空席へ一瞬だけ流れる。


「紅と白は、いずれ次へ渡す席」


 その言葉で、部屋の温度が少し変わる。


「そして黒もまた、遠からず継がせねばならん席だ」


 アルベリオが、喉の奥で低く笑った。


「耳が痛いのう」


「婆ちゃんも年だが、まだ引退できないから、その補助に回れってことだろ」


 セリーヌが平然と言い捨てる。

 黒の老人は機嫌を損ねるどころか、むしろ楽しそうに目を細めた。


 アマーリエは構わず続ける。


「リリス。ゼクス。カミナ」


「此度の戦で見せよ。おぬしらが、どこまで届くかを」


 査定。


 その言葉はなかった。

 けれど、言わなくても分かる。


 これはただの従軍じゃない。

 戦場で値踏みされる。

 次の席に届く器かどうかを。


 リリスが真っ先に顔を上げた。


「お任せくださいませ!」


 華やかな声が、金装の間にまっすぐ響く。


「華々しい戦果を持ち帰ってみせますわ!」


 ゼクスはその半歩後ろで、静かに頭を垂れた。


「承知しました。実戦でも結果で示します」


 淡々としている。

 だが、こいつはこういう時にぶれない。


 最後に、視線がこっちへ来た。


「カミナ」


 呼ばれた瞬間、腹の底がきしむ。


アマーリエは、少しだけ目を細めた。

 あの目は、たぶん知っている。オレの中に何があるか。


「おぬしが何を狙っておるか、余は分かっておる」


 言葉が、まっすぐ落ちてきた。


 隠していたつもりはない。

 だが、はっきり言われると、喉の奥がわずかに熱くなる。


「好きに燃えよ」


 静かな声だった。

 けれど、ここだけは絶対に譲らない声音だった。


「そして、復讐をするなら戦功に変えて見せよ」


 ……帝国らしい。


 止めない。

 説教もしない。

 ただ、“使える形にしろ”と言う。


 その言い方が、妙に腑に落ちた。


 オレは顔を上げる。


「承知した」


 短く返す。


「戦場でも、黒鋼でも――全部まとめて結果にして返す」


 それで十分だった。


 アマーリエの口元が、わずかに上がる。

 満足というより、“それでよい”と確認した顔だ。


 セリーヌが片肘をついて笑った。


「いい顔してんじゃん、カミナ」


 くそ。姉御に言われると、なんも言えない。


 その時、アマーリエが最後の指示を落とした。


「セリーヌ。南方への出立は早い。三日で整えよ」


「黒鋼兵装は試験ではなく、実戦投入として扱え」


「初の試みじゃ。失敗は許す。だが、失敗から何も持ち帰らぬのは許さん」


 部屋の全員が、それを聞いていた。


 言葉は簡単だ。

 だが、簡単だからこそ逃げ道がない。


 三日。

 その先は、もう本物の戦だ。


 アマーリエが、肘掛をもう一度だけ叩く。


「行け」


 たった一文字。

 それだけで、会議は終わった。



金装の間を出ると、ようやく肺がまともに動いた。


 回廊の空気は冷たい。

 なのに、胸の奥だけがじりじり熱い。


 リリスは、扉が閉まった瞬間にはもう嬉しそうだった。


「ついにですわね!」


 声を抑えているつもりなんだろうが、まるで抑えきれていない。


「基地都市奪還! 黒鋼実戦投入! そして華々しい初陣!」


「お前、本当に戦が好きなんだな」


「当然ですわ!」


 ……おかしなやつだ。本当に。


 ゼクスは横で、もう次のことを考えていた。


「黒鋼大盾は必要数を出せます。黒鋼砲も十機、最大限持ち出せるでしょう」


「ですが、予備部材と砲弾の数が限られる。整備兵と荷駄をどう組むか、すぐ詰めないと」


 頭が早い。

 こういう時、こいつが味方で本当に良かったと思う。


 オレは歩きながら、窓の外を見た。


 帝都の夜景。

 闘技場の灯り。

 工房の火。

 遠くまで続く屋根の海。


 ここで名を刻んだ。

 鋼を打った。

 帝都で居場所も得た。


 でも、本命はここからだ。


 今度こそ届く。


 灰の向こうへ消えた背中に。

 父さんを焼いた男の喉元に。


 意識を研ぐ。

 復讐を、腹の底でゆっくり巡らせる。

 熱はある。けど、前みたいにただ爆ぜるだけじゃない。


 ――その時だった。


 隣で、リリスが妙に明るい声を出した。


「そういえばカミナ」


「なんだ」


「三日ありますでしょう?」


「あるな」


「では、その間に行軍用の決めポーズを考えておくべきですわ!」


 ……は?


 足が止まる。


「なんでだよ」


「戦では見栄えも大事ですもの!」


 こいつは本気だった。

 ゼクスが、案の定、疲れた顔をした。


「姉さん。戦場は舞台ではありませんと、何度言えば……」


「舞台でもありますわ! 兵の士気、民への印象、敵への威圧! 全部“見え方”で変わりますのよ!」


 言ってることが全部間違いでもないのが腹立たしい。


「だからって決めポーズはいらねえだろ!」


「いりますわ!」


「いらねえだろ!」


 回廊に、オレとリリスの声が反響する。

 その横でゼクスが額を押さえていた。


 ついさっきまで、戦場だ、復讐だ、ダリウスだって、腹の底まで固まっていたはずなのに。


 なんなんだ、この女は。


 あ……そうか。


 思い返してみれば、最初からずっとそうだった。

 敵として出てきた時から、こいつは妙に“見せる”ことをやめなかった。

 わざわざ目立つ場所で名乗りを上げるし、ひとつひとつの仕草まで芝居がかっている。

 戦場だってのに、まるで客席があると信じてるみたいな振る舞いだった。


 敵も味方も、歓声も悲鳴も、全部ひっくるめて“見られる場所”だと思ってやがる。

 そこで人を魅了して、輝いて、目を奪うこと自体が、生き甲斐なんだ。


 そう思った瞬間――


 笑いが、込み上げてきた。


「……っ、は、ははっ」


 喉の奥から漏れた笑いは、すぐ止まらなくなった。


「はーっはっはっはっ!」


 ゼクスが本気で心配そうな顔をした。

 リリスはきょとんと目を丸くする。


「……カミナまでおかしくなりましたか?」


「戦場ですのよ。もう少し緊張感を持ってくださいな」


「誰のせいだと思ってんだよ……!」


 笑いながら返すと、余計におかしくなる。

 腹の底に沈んでいた鉛みたいな重さが、少しだけ浮いた気がした。


 復讐は消えない。

 腹の底の火は、そのままだ。


 それでも――


 新しい仲間ができた。

 仲間と一緒に考えて、仲間と一緒に作った装備を持って、仲間と一緒に戦う。


 オレはガイアブレードの柄を、親指で軽く叩いた。


 ……行くぞ、父さん。


 待ってろよ、ダリウス。


 終わらせる。

 この手で。

 ――必ず。



もっとも、この時のオレはまだ知らなかった。

ダリウスの横でオレを待っているのが、復讐相手でも、強敵でもない。


もっと面倒で、

オレが知る誰よりも強く

――何より、斬りにくい相手だってことを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ