表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

第1話

 アーツィー=ツイーツィーベルの人生を語る上で、多くの者達はこう口にする。






『彼の人生は本当に不幸だった』


『彼ほど可哀想な子はいない』








 だが。






 


 本当に、彼は不幸だったのだろうか?





 


 それを決めるのは、残念ながら貴方ではない。







 何故なら。






 彼の人生が本当に不幸だったか、そうでないかは。







 彼自身にしか、分からないからだ。







 何故、皆が彼の人生をそう語るようになったのか。




 彼には、両親の記憶がない。




 これまでの生活においても、所々記憶が抜け落ちている部分がある。




 そして、彼は国を1つ滅ぼした。




 その記憶も、抜け落ちている。




 そんな彼を愛し、慈しみ、育ててくれた祖父と兄は…実の祖父と兄ではなかった。




 その2人も謎の死を遂げ、彼は1人になった。










 彼は不幸か、そうではないか。




 人間は、どちらか二極に判断したがる生き物だ。




 その立場になった事も無いくせに、他人の事をとやかく言うのだけは一丁前。




 だがそれが人間と言うものであり、この世で1番憎らしくも愛おしい生き物なのかもしれない。








「君が、アーツィー=ツイーツィーベルくんだね?」




 そんな彼の許に、3人の旅人が現れた。




「僕はワック=ダール、宜しくね」


 柔和な顔の丸眼鏡をかけた男、終始笑顔だが果たして。




「俺は、ガルバンデス=サリウだ」


 背が高く屈強な兵士風情の体格の男、色の濃いサングラスをかけている為、表情は良く分からない。




「シャイナタイア=ラジエーカーよ…」


 魔法使い風の妖艶な女で、愛想はあまり良くはない。




「僕達と、旅に出ないか?」


 ワックの言葉に、アーツィーは目を丸くした。


「俺がアンタ達と、旅?」


「君の、出生の秘密に関わる旅だよ」


 ワックは、笑顔でさらりとそう言った。


 ガルバンデスは腕を組んだままアーツィーを見下ろし、シャイナタイアは自分の髪の毛先を指に絡めて窓の外を眺めている。


 アーツィーは、今…決断の時を、迫られていた…。




                                    ー つづく ー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ