『落城』
『落城』
㈠
この意思を、自己の世界が落城されんがために、不動の意思で、世界を生き抜く立場へと、身を映しながら、意味を超えた超現実に存在を置くことを、まずは原初として、ここに明記しておく。が、しかし、様々なる問題が、俺の意思を撃破するだろうから、してくるだろうから、俺は、俺の世界を守るのに必死ではある。
㈡
なんとしても、落城されたくない俺は、命を放棄したくない、死にたくない、と言っているのと、ほぼ同義だろう。そうであるだろうから、俺は俺なりに、物事を考えてみることにした。日が明けるのもそうそうに、始発のバスに乗って、遥か彼方へと、足を延ばす。日中を、駅前で過ごす。落城されんがための、俺の方法論なのであるが、そもそも、俺はいつの間にか、自己世界の城を立てていたのだ。
㈢
気が付いた時には、城は出来上がっていたのだ。すると、俺に向かって、落城させてやる、という空耳が、聞こえてくる。幻聴の様だが、精神に刺さる。どうにもこうにも、俺はその空耳に刃向かって、意地でも、落城されまい、とする意思が芽生えたのだから、仕方がない。落城されてたまるか、といった、一種の対峙精神である。