告白したらフラれた話
落とし噺が好きなんです。
「なあ。オメェ、なんだってあの娘に告白するのに動物園なんて連れてったんだよ?」
「だって兄ぃ前に言ってたじゃねえか。告白とかプロポーズするのに映画とか芝居に行くのだけはやめておけって」
「ああ。そんなこと言ったこともあったな。役者俳優なんてのは大抵ツラの良いのがそろってんだ。そんな連中見たあとに並の男に告白なんかされて見ろ。『あ。こんなもんかな?』ってなっちまってまとまるモンもまとまらなくなっちまう」
「だろ?だからオレぁ考えたんだ。動物園連れてってサルとかゴリラとか見たあとでなら、オレ見てぇな並の奴でも『あ。人間!』てなるだろうから上手くいくんじゃかねえかってさ」
「そりゃ並の奴ならそれで上手くいくこともあるかもしれねぇが……」
「なんだよ兄ぃ?」
「……こう言っちゃ悪ぃと思ったから今まで言ってなかったが……おめぇは並程度どころじゃね。どっちかってぇとシケたツラなんだよ」
「え?……なんだよやめてくれよ急に。照れるじゃねぇか」
「は?」
「オレぁそんなにイケてるツラかい?」
「バカ。イケてるじゃねぇ。シケてるだ。テメェのツラははっきり言ってかなりマズいんだよ」
「え?そうなの?」
「ああ。だからオメェと一緒に動物園なんか行ってみねぇな。サルとかゴリラとか見たあとで横向いてオメエがいたら『あ。脱走?』ってなるのが落ちなんだよ」
「そんなあ……じゃあオレぁどうすれば良かったんで?」
「そうだな……」
「――よし。サルとかゴリラ相手ならオメェもイケてる方に入るかも知れねえ。今度動物園行った時はそん中から選べばいいんじゃねえかな」
終劇