邪神として召喚されたのは・・・ドSの魔人ッ!?
―――――リディア・サイド――――――――――
オルブライト・・・肥沃で広大な国土を有する美しい国は、その国土を狙った周辺国に一斉に襲い掛かられて滅亡の危機に瀕していた。
父親の急死で女王となった幼い少女リディアは最後の手段に打って出る・・・王家に代々伝わっていた秘術❝邪神召喚❞である!
広間には床全体に描かれた魔法陣、その前で女王と近衛騎士たちが抱き合って泣いている。
「私達が不甲斐無いばかりに・・・申し訳ありません陛下っ!」
騎士達は女王に使える近衛兵・・・まだ幼い女王に仕える彼女等は腕利きなだけで無く、全員が美少女だったが・・・別に近衛騎士の採用基準に見た目は含まれてなく偶然である。
「貴女達は良く戦いました・・・その貴女達までも巻き込んで・・・国を守る為と言え、不甲斐無いのは女王たる私です!」
「「「「「陛下っ!」」」」」
少女達は一様に涙を流して跪く。
「私を生け贄に邪神を召喚します・・・私では満足しなかった場合は貴女達も、でもそれ以上を・・・国民迄も生け贄に望むなら召喚は撤回します。無駄死にさせて仕舞うかも知れないけど・・・・・」
「我ら姫様と共に地獄の底まで御供させて頂きます」
騎士達は彼女が王女だった頃からの忠臣なのだ。
彼女達の前で頷いた女王は立ち上がり、
「儀式を始めます」
と高らかに宣言する。
そして・・・・・
「つまりオマエの召喚の所為でココに・・・ボクは折角の作った御馳走を食べる直前に、無理矢理に拐されたって事なんだ!しかもオマエの願いをかなえたら正式のコチラの世界に呼ばれ、ボクは元の世界には帰る事は出来ないと!?」
黒髪に黒い瞳・・・実際は黒く見得るほど濃い鳶色の眼をした、見た目麗しい美少年が怒りを隠さずに言った。
御馳走を前に呼び出されたのが面白くないと有々と見て取れ・・・いや口では御馳走と言っているが、食べ様としてたのは食事で無く女体だったのかも知れない!
「申し訳ありません!しかし私達にはもはや縋る当ても無く、私も魔力を全て注ぎ込んでも❝私達を救う力を持っており、使い方を知って要る存在❞しか召喚出来なかったのです!」
美しい少年は面白く無さそうに足を組んで座っていた玉座から立ち上がり、平伏するリディアの前まで降りて来ると顎を掴んで上向かせる。
リディアより歳上だろうが豪く色気のある少年である。
「で・・・報酬がオマエだと?」
「私の貧相な躰で御不満でしたら背後に控えてる者共も・・・しかし国民だけは何卒・・・・・・」
「犠牲は自分達だけで良いと言うのか?」
「それが王族の務め!」
悲壮な覚悟を決めるリディア・・・・・
「良いよ♪」
途端に少年の色が濃くなり、滲んでいた輪郭もハッキリした。
今までは薄っすら背後が透けて見えてたのだ・・・召喚が正式に成立した証である。
「これでオマエは・・・リディアはボクの所有物になった、さて先ずは邪魔な侵略者達を片付けて仕舞おうか?」
少年は無邪気に笑いながら言った。
―――――舞人・サイド――――――――――
行き成り誘拐されたうえに助けろなんて最初は何ふざけてると思ったが、この子は本気で自分を犠牲にする気で・・・それも出来る事なら自分の身を、出来なくても最初に自分が犠牲に成る覚悟で召喚した訳だ♪
好感度修正+1
考えてみれば元の世界は超不景気だったし左程未練はない、むしろ此方の世界の方が楽しそうと言えば楽しそうだ♪
妥協 修正+5
この子・・・リディアは女王と言うが十・・・12~13歳くらいかな?
ボクより5つほど歳下だそうだけど中々の美少女♪
好感度修正+5
しかも偉ぶった様子は無い。
好感度修正+3
更に良い娘で本気で自己犠牲しちゃう積りだ!
好感度修正+10
仕方ない・・・リディアを気に入ったから助けてやるとしよう♪
でも覚悟しとけよ・・・ボクは凄いドSなんだ!
―――――後の史家が記す――――――――――
オルブライト防衛戦役は魔神(当時は邪神と名乗っている)マイト・タカミザワの召喚で始まった。
魔神タカミザワは創造の力を持っており、後に戦闘機と呼ばれる空を飛ぶ乗り物❝〇神❞を創り出し、一日でオルブライトの周辺海域に展開してた敵性艦隊を壊滅させる。
更に巨大な金属製のゴーレム❝モビ・・・・❞を創り出して兵士を訓練すると、オルブライトを防衛すると同時に攻め込んで来た敵国を全て滅ぼし吸収した。
こうして魔神タカミザワは世界を征服し、オルブライト女王リディアはタカミザワに王位を禅譲、そして自らを報酬として契約通り魔神タカミザワの奴隷となった。
が・・・・・・
―――――舞人・サイド――――――――――
「マイト様に如何しても御聞届け頂きたい御願いが御座います!」
ボクの前で片膝を突き首を垂れてるのはリディアの近衛騎士長メアリ、セミロングの赤毛をしたお姉さんだ。
彼女もボクの生け贄の一人・・・だがボクはリディアが気に入ってて手を出す積りは無い。
「申してみよ・・・」
この世界の王・・・いやオルブライトに世界を征服させた後、リディアに禅譲されたから一応王様だが、実際には魔神タカミザワと呼ばれ神様扱いされている。
マアあんな力を持ってちゃね・・・世界は急速にボクが元の世界から持ち込んだ技術で、環境破壊には気を付けながら進歩させている。
技術の特許等に関しては・・・異世界だし眼を瞑って貰おう♪
「如何か・・・如何か弄ぶなら我らの躰で我慢して下さい!幼いリディア様に無体な事は・・・我らなら幾らでも御相手させて頂きますから・・・・・」
ボクは盛大に飲み掛けてた葡萄ジュースを噴出した。
ガキで悪かったね・・・まだワインを美味しく感じないんだよ!
「ちょっと待て・・・何でそんな話に成ってる!」
確かにボクは世界を管理・運営しながら夜は毎晩リディアを呼び出していた。
でも一緒のベッドで寝てるけど指一本触れてない、そもそも一緒に寝てるのだってリディアの奴が寂しがってたから・・・・・
「姫様は毎朝顔を赤らめ死ぬほど恥ずかしい、端無い事をして仕舞ったと・・・それを最初は恥じてた様子なのに、最近はウットリした様子で夜を待ち詫びてるのです!いくら何でも早過ぎます!せめて後3年、姫様が成人するまで・・・それまでは私達が、粗末な躰で御不満でしょうが如何か・・・・・・神よ、如何されました?」
ああ、盛大にズッコケたよ!
なんでソウ言う話に成ってる?
『あんの世間知らずの箱入り娘が・・・今晩はオシオキだな!』
そう心に決める!
「メアリ・・・今晩はリディアの近衛騎士を全員、ボク達の居住区に集合させろ!お前ら全員見てる前でリディアに恥かしい思いをさせてやる!」
メアリが絶望に染まった顔をしてる・・・絶対勘違いしてるけど、ボクはイヤらしい事してないから絶対!
どSだけどね♪
―――――リディア・サイドで最終章――――――――――
「な・・・なんでメアリがココに?イヤです・・・イヤァ~~~~~ッ!」
リディアが泣き叫んだ。
「みんなの前であんな恥かしい姿を晒すなんて・・・マイト様お願いですから許し・・・キャンッ!」
ボクはリディアのオシリを一発引っ叩いた!
「オマエが思わせぶりな態度取ってるから・・・まあボクも悪いけどさ・・・リディアに指一本触れて無い一緒に食事してるだけなんて言っても今更信じられないだろうし、いっそ見せた方が早いんだから覚悟しなさい」
「マイト様、許して・・・みんなの前では食べられません!」
その言葉にメアリ達はポカンとしてる・・・恥ずかしいから食べられない?何を食べさせられてると言うのだろう?
そこでメアリ達はハッとする、もしやリディアに口で・・・・・
「違うからね!」
そう言うとタカミザワは、口では抵抗するリディアを無理矢理 椅子に座らせる。
その食卓にはメアリたち近衛騎士、抵抗されない様に縄でグルグル巻きにして猿轡をしている。
ちなみにボクの席はリディアの隣だ。
「すみませんねえ、ウチのボスは悪い人じゃ無いんだけどイジワル過ぎて・・・・・」
給仕のスケルトンが言った。
身の回りの世話をさせるのに何体か作ったのだ。
「本日は・・・お客様も多いので焼き肉パーティーにしてみました」
給仕長のスケルトン・・・スケさんが言うと4人に一つほどの割合で、四角い特製の大型七輪を並べてく。
それを見てるメアリ達はキョトンとしていた。
「みんなの前で食べられないって?本当かな~~~w」
ボクはリディアの手に大きなサンチュを乗せる。
「リディアの大好きな厚切りカルビだよ♪ほら丁度良い具合で焼きあがった、つけダレをタップリ絡めて・・・辛いのが苦手なリディアはキムチ控えめ、でも無いと物足りないんだよね♪」
「ああっ・・・」
「その分ナムルはタップリ、ついでに味付け海苔も一緒に包んで・・・更にチョットだけコチュジャン着けて最後に追いつけダレ・・・さあ召し上がれ」
焼き肉をサンチュで蒔いた大きな塊肉とメアリ達の顔を見比べるリディア・・・
「この誘惑に勝てるかい?我慢出来るの?食べないならボクが貰っちゃうよ?」
「ああっ!」
リディアは我慢し切れずに、大きく口を開けるとかぶり付く。
途端にボクの背後でスケルトン達が歓声を上げた!
「か・・・可愛い!」
「これ見たくてマイト様の召喚獣やってる様なモンだもんな♪」
「この世界で一番かわいいっすよ♡」
涙ぐみながら焼肉に何度も噛み付いて、咀嚼し、飲み込んで、漸く食べ終わったリディアが涙目で言った。
「ああっ、堕ちたと言え元は王族なのに・・・こんなに大口を開けてお肉を頬張る何て恥ずかしい!」
途端にメアリ達が盛大にズッコケる!
ウン他の反応のし様が無いよね・・・スケルトン達に拘束を解くように命じた。
「と・・・こんな感じで毎日一緒に夜食を共にしてるだけ♪リディアは気に入ってるから、いずれは手を付けちゃうけど成人後にする予定・・・ナンだけど何か文句ある?」
「「「「「ありません・・・・・」」」」」
メアリ達は自分達の勘違いに恥かしそうだった。
「じゃあ騒がせてくれたオシオキとして、君達も大口開けて焼き肉を頬張って貰おうか!それと今日からボク達と一緒に食事をして貰う、拒否は許さないからね♪」
メアリ達も顔を紅潮させた。
―――――エッピロ~グ♪――――――――――
リディアや父親の先王は出自より実力重視の人で、それを面白く思わない貴族の離反もあり先の戦役を招いて仕舞ったようだ。
それでも近衛騎士には貴族出身で容姿端麗な娘が多い・・・のは幼い頃から英才教育を受けてるのと貴族には美男美女を選べる余裕が有るから、美男美女がくっ付けば遺伝子的に子供も美人に成る確率が増えるのだ。
同時に彼女等は貴族の娘として恥ずかしくないマナーも教え込まれており、中でも大口を開けて食べ物にかぶり付くのは・・・いや大口を開ける事自体が貴族の子女として恥ずかしい行為なのだ!
その彼女等に大口を開けて焼き肉を頬張らせるのは少々処かかなり意地が悪い行為、彼女達は半泣きに成りながら焼肉を頬張るが一口食べて虜に成って・・・止められなく成って仕舞う。
その点・・・近衛の中にも若干名居る下級貴族や騎士爵そして平民出身の娘達は、何が泣くほどイヤな理由が解らず更にイヤなら食べなければ良いのにと思いながら・・・自分達も異世界の味にハマって楽しんでいるのだ!
「さあ今日は・・・お寿司だぞ~~~っ♪」
「そ・・・そんなっ!食器を使わず手掴みで食べるなんて!」
「焼肉だった掴んでたじゃ無いか♪拒否は許さん!」
「今日はリディアの大好きなラーメンだ♪」
「ああっ・・・麺を音を立てて啜るなんて・・・・・」
「空気を一緒に吸い込んで咀嚼すれば、小麦の味が際立つ・・・科学的根拠は有るのだ!逆らったらHな❝お仕置き❞するぞ!」
「ヒィッ!お願いですから耳の中に息を吹き込むのだけは許して下さい!」
こんな二人を見ながら一緒に食事する内に、メアリ達は呆れた感じで二人を見守る様に為った。
後にメアリ達 近衛騎士団の隊員から、王城・市中に一つの言葉が広がった・・・❝バカップル❞と言う言葉である♪