Life is Good ?
「もみくん、私のこと好き?」
目の前のともこちゃんがもみくんにたずねてきます。
ともこちゃんは今日もかわいいです。
「ともこちゃん大好き!」
もみくんはそう答えます。
そして1年の月日が流れました。
「もみくん、私のこと好き?」
ともこちゃんがまたもみくんにたずねてきます。
「ともこちゃん大好き!」
もみくんはそう答えます。
そしてそして更に1年の月日が流れました。
「もみくん、私のこと好き?」
ともこちゃんがまたまたもみくんにたずねてきます。
「…ともこちゃん大好き!」
もみくんはいつもそう答えます。
しかしある日からともこちゃんがこんなことを言い始めました。
「わたし、もみくんの××なところが嫌い!」
もみくんは悲しくなりました。
そしてまた1年、また1年と月日が流れてゆきました。
ある日、久々にともこちゃんに会いました。
「もみくん、私のこと好き?」
ともこちゃんがまたもみくんにたずねてきます。
「…ともこちゃん大好き!」
でも、目の前のともこちゃんは嬉しくなさそうでした。
まるで、あんたに言われたくないわよ!みたいな空気を漂わせました。
ともこちゃんはあまりもみくんと関わらなくなっていきました。
それから3年くらい経ちました。
16歳のともこちゃんと駅前で会いました。
「もみくん、私のこと嫌い?」
もみくんは何と答えたらいいのかわからなかったけど、ともこちゃんのことが好きだったのでこういいました。
「…。ともこちゃん大好き!」
ともこちゃんは泣きながらもみくんの胸をポコポコと叩き始めました。
「嘘だ嘘だ嘘だ…もみくんそうやって私を馬鹿にして!」
そしてまた3年経ちました。
19歳のともこちゃんと近所の本屋で会いました。
ともこちゃんはもみくんに気づいたのに無視して店を出ようとしました。
もみくんは店を出ようと歩いてゆくともこちゃんにこう言いました。
「ともこちゃん、ともこちゃん大好き!!」
するとともこちゃんは後ろを振り向いて怖い顔をして言いました。
「うるせー、死ね!」
もみくんはポロポロと泣き始めました。
それからまたまた3年経ちました。
22歳のともこちゃんとともこちゃんの勤める会社で再び会いました。
窓口に居たともこちゃんに挨拶すると、ともこちゃんは事務所に戻っていきました。
すると別の女性がやってきました。
「いらっしゃいませ」
ともこちゃんはもう戻ってきませんでした。
それから10年の月日が流れました。
33歳のともこちゃんとボーリング場で会いました。
ともこちゃんはもみくんに微笑んでいました。
でもよく見ると苦しそうに微笑んでいました。
そしてたずねてきました。
「もみくん、いまは何しているの?」
もみくんは言いました。
「ボーリングをしているの」
ともこちゃんは横を向いてもみくんの方は見ずにまたこう言いました。
「お父さんお母さんは元気?」
もみくんは言いました。
「うん元気だよ」
ともこちゃんはちょっと飲み物を買ってくると言って席を立ちました。
しかしふと見ると別の男性と話をしてボーリングを楽しんでいました。
そしてまた20年の歳月が経ちました。
53歳のともこちゃんともみくんはある文化センターの催しで偶然となりの席になりました。
ともこちゃんはもみくんに会釈をしてこう言いました。
「もみくん、いまは何をしているの?」
もみくんは言いました。
「ともこちゃんと一緒にいるの」
ともこちゃんは微笑んでこう言いました。
「あら、嬉しいですね。今日は一緒に講演を観れますね」
もみくんはともこちゃんと最後まで一緒に講演を観ました。
そしてそれから30年の歳月が経ちました。
ある日、ともこちゃんの元に連絡が来ました。
その連絡を聞いてともこちゃんはそうか…と思いました。
次の日、もみくんのお葬式が行われました。
もみくんの柩の前に座り、ともこちゃんは心の中でこう言いました。
『もみくん、私のこと嫌い?』
それでも、ともこちゃんはもみくんの死があまり悔しくありませんでした。
葬儀に来ていた人で怒りや悲しみに悶えている人は一人も居らず、不思議なお葬式でした。
皺だらけで老いた顔のともこちゃんは、遺影の中のもみくんの顔が昔と変わらぬ美少年のままだということに気づきました。
そしてそれから3年後、ともこちゃんも亡くなりました。
葬儀に来られた数百名の方々は声を荒げ、涙が枯れるまで悔しそうに嘆き続けました。
もう、もみくんもともこちゃんもこの世界には居ません。
明日からまた、この二人の居ない世界が毎日毎日動き続けるのです。
おしまい




