貧乏だけど、幸せ家族!
長尾優磨
県立清明高校に通う男子高校生。
身長/160cm 体重/54kg
血液型/B型
視力/両目2.0
趣味/節約
性格/温和、優柔不断、マイペース
特徴/黒髪短髪、細面、左腕上部に紫色のアザがある。
口癖/なんとかなる!
俺の家には、昔から“父親”というのは存在しない。
いや、いたにはいたのだが、妹の花梨が産まれてからひょっこりと居なくなってしまった。
「あの人もいろいろとあるからね」と母さんはそう言いながら、まだ言葉すら喋れない花梨にミルクを飲ませながら寂しそうに言ったのをまだ覚えていた。
この世の中には、生活に困難する人を助けてくれる“生活保護”という制度があるのを知ったのは、近所に住むおせっかいババーの谷口さんが教えてくれたが、あれは税金から支払われるからと言って母さんは拒み、俺の達は母さんの職場から出る給料と児童扶養手当、近所の何かしらの差し入れで生きてきた。
「今日ね、あやちゃんお休みしたからプリント渡しに行ったら、あやちゃんのママがお菓子くれたの! だから、みんなで食べようね!」
花梨が、嬉しそうにポテチの袋を差し出してきた。
「お礼言ったか?」
俺が毎度それを聞かなくても、花梨はちゃんとお礼を言う。
「うん。ちゃんとママとのお約束守ってるもん。あとね、今日おっきなうさぎさんいてね···」
花梨が楽しく話すのを聞きながら、俺はこの間バイト先で貰ったキャベツを細く刻み皿に盛り、揚げたてのメンチカツを四個皿に盛った。
「いい匂いだね。ママ、早く帰って来ないかな」
花梨は、俺にくっつきながら嬉しそうに言う。
そんな話をしてる内に、母さんが職場から帰宅し、夕飯となる。
「優磨、あなた料理の腕あがったわね」
「そう?」
「先生、褒めてたよ。今日のお弁当、お兄ちゃんが作ったって教えたら」
花梨が通う小学校は、今年から毎週水曜日にお弁当を持っていく事になり、俺は出勤が早い母さんの代わりに花梨の弁当を作ったり、宿題をみてやったりしている。
「ほんと助かるわ。優磨様様よ」
俺は、貧乏なのに高校まで行かせてくれた母さんには感謝してる。友達の伝を辿ってスーパーでアルバイトをし、そこでもいろんな部門で1日数時間働かせて貰っては、些細な恩恵を受けていた。
「あ、あとこれ。少ないけど···」
まだ開けていない茶封筒には、スーパーでのバイト代が入っている。
「もぉ! 開けても良かったのに!」と母さんはその封筒を受け取ると、小さな仏壇の前に置いた。
「花梨も大っきくなったら、アルバイトするー」
「の前に、お前は早く···ってもう食ったのか? まだ、メンチカツ残ってるぞ」
「だって、みんなでポテトチップス食べるから! 御飯いらない···食べる」
俺の睨みが聞いたのか、花梨は渋々残っていたメンチカツを平らげた。
ふた部屋しかないアパート。俺と花梨は同じ部屋で生活しているし、風呂も一緒に入ってるが、別段苦痛とも思わない。
「おうちは貧乏だけど、しあわせぽかぽか···」
花梨が、いつも言うセリフだが、俺もそうだと思う。きっと、母さんも思ってると思う。
幸せにも色んな形がある。
「母さんや花梨の笑顔の中で生活するのが、俺の幸せだな!うん。」
初めての異世界ものになります。
誤字脱字などありましたら、なんなりとお願いします。