チアガール スケッチ
9/22
白いスニーカーの上になまの足が延びている。真夏の太陽が足の表面だけでなく、その内部まで小麦色に染め上げている。地面から膝まで来ると少し赤い影を含んでいる。八の字に広がり自重を互いに支え合っている。石像が足先から這い上がって来ているみたいに固い印象を受ける。
けれども、膝の上に乗っかった太ももには、多少なりともそれらしい柔らかさは認められる。タイトなミニスカートに押されて若々しい張りを見せつけている。朱色の生地に引かれた白と金の縞は引っ張られて歪んでいる。皺の一本一本が自信ありげに片頬を釣り上げている。
細い胴体に、スカートと一つながりの朱色がまとわりついている。胸元には学校名がでかでかと恥ずかし気もなく掲げられている。金縁で刺繍された校名の肩から、右手がちょうど左足と一直線になるようにぴんと投げ出されている。指の先まで張り巡らされた神経は、ある者を感動させるにせよ、他の者にとっては威圧と映るだろう。
左手は大きなメガホンを口に添えている。ところが、このメガホンは大きすぎてその持ち主の顔をすっかり覆い隠してしまうほどである。正面から見た光景は、それを見た者に例外なく不気味さを感じさせるだろう。べたべたに塗られた髪から繋がった、朱色の大きな仮面はのっぺらぼうで、口だけがぽっかりと下品な歯並びを晒している。夏の黄昏時に見かけたら竦んでしまうに違いない。これは現代の妖怪である。