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開花


グリーンドラゴンは討伐難易度B級に位置する魔物で、体長5mを超える。

翼の生えた空を飛ぶようなドラゴンではなく、見た目は巨大なサンショウウオのようであり平生は土の中に体を埋め隠れて、近くや真上を通りかかると馬車をも一飲みする大口で獲物を捕食する。


一見すると隠れて待っているだけのノロマな魔物に取れるが実際は大変獰猛であり、一度地上に上がるとその俊敏さたるや驚異的であり、スタミナはないがその尾や爪、巨大な顎の攻撃に一流と呼ばれるD級程度の冒険者ではひとたまりもないのだ。





デンシュウは下半身をグリーンドラゴンに丸呑みにされその衝撃で吹き飛ばされ、木に体が引っ掛かった。

暫くは意識があったものの程なくして事切れた。あっけない英雄の幕切れである。


もし一対一でグリーンドラゴンとデンシュウが対峙していたならば、デンシュウは負けることは無かったであろう。それだけの実力を持っていたデンシュウであるが所詮は人間である。徹夜での宴の疲れ、退治した筈のテツの出現による緊張、緩和。

これらの要素が絡み合い、デンシュウはグリーンドラゴンに気付くことなく地雷を踏み抜いたのだった。


グリーンドラゴンはデンシュウの下半身を飲み込んだあと上半身を食べんと探していたが、木の上にあることに気付かず諦め移動し始めた。新たな待ち伏せをする為に。


幸いテツが倒れている方角とは反対にグリーンドラゴンが移動したためテツが食われることはなかった。



日が傾きかけた頃。


「うぅ、、、」


テツの意識が回復する。


「あれ?どうしてこんな所で寝てるんだ?」


おかしいぞ。たしか魔法の属性を調べるとかなんとかで水晶に手を翳したら強烈に輝きだした所までは覚えてるんだが、、、


やっぱり全て夢?

、、、、いや、この森の中は間違いない。異世界のはずだ。あの時はデンシュウさんに起こして貰ったはずなんだけど今は俺一人だ。もしかして転移魔法でも発動した??


やべっ!夕暮れじゃねーか!確か夜は魔物が出てくるんだよな?早くヒルバニアに向かわないと!!


テツは今置かれた状況に痛く混乱していたが、とにかく夜が来る前にヒルバニアへ向かわなければならないと判断し歩きだした。

しかし夜になった。テツは一向に街には辿り着けずすっかり迷子になってしまった。


「くっそー!やっぱり道なんてわかんねぇよ!!デンシュウさんに着いていくのに必死だったしよぉ、、、」


月明かりが木の葉を避けてほんのり周囲を照らす。それをたよりに歩いていたが、大きな雲が月を覆いまったく何も見えなくなった。

まさに闇夜である。


「めちゃくちゃ怖い」


テツは昨日の魔力の感覚を思い出していた。

あれだけ水晶が輝いたんだ。きっと何かしらの属性があって魔力も十分あるに違いない。

このまま魔物に襲われて死ぬより出来ることをしなければ。


なんとなしに自分の体を流れる魔力を頭の中でイメージして右手に集める。ほんのり右手が温かい気がする。


「ファイヤー!」


なんとなく火の玉が出るのではないかと適当に声に出し、真剣に手から火の玉がでるイメージをした。


グゥオオオォォォォォォ!!!!


まるで火炎放射の様に真っ直ぐ火柱が飛び出し、一気に周囲を照らしながら数十メートル先の大木に直撃し、空高く火柱は昇り一瞬曇り空を赤く染めた。

大木はそのまま激しく燃え上がり倒れる。道中の木々にも燃え移り軽く山火事の様に見える。テツは腰を抜かし座り込む。そして歓喜する。


「やったぞ!これは間違いなくチートって奴だろ。ただのファイヤーじゃないことは分かる。おれは察しの悪い主人公じゃねぇんだ!このチートを上手く使って存分に贅沢に楽しく生きてやるんだ!」


己の運命の幸福さを感謝をした後、この火柱で魔物が寄ってくるのでは?とあてもなく移動する。魔物が出てきたらファイヤーすればいいんだもの。



同じ頃


ヒルバニアの西門にはD級以上の冒険者は全員集められ魔王テツからのヒルバニアの守護と、戻らない勇者デンシュウの救出のために朝を待たず出撃する所であった。


その時一筋の火柱が空を赤く染めたのを皆目撃した。

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