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魔王デルガ


翌朝、ジーノは無一文のテツに金を出す。


「とりあえず手付金だ魔術師様よ。このマウリスのギルドで取り合えず用意できるのはこれで精一杯だ」


布袋には金貨が50枚入っていた。


「これで一体どのくらいの価値があるんで?あっ、俺は物々交換しかしないような自給自足の村から来たもんで金の価値が分からないです」


「おいおい嘘だろ?それなら金貨50枚なんて出すんじゃなかった。まぁいい、金貨50枚あれば五人家族が2ヶ月は普通に暮らせる程度だ。十分過ぎるだろ?

まだクエストを達成してないお前に手付金として払ったんだ。信用しているから必ずお前が達成してくれ。

万が一クエストを他所のギルドに達成された場合は今後一年はマウリスギルドの冒険者として働くことだ。いいな」


「ええ、俺には得しかない話ですね。分かりましたやりましょう」


「ならこの契約書にサインしてくれ」


「わかりました」


「もしこの契約を破ることがあれば罪人として裁かれるか、奴隷に堕ちることもある。それでもいいな」


「問題ないです」



こうしてジーノはテツがクエスト達成すればセンターギルドで仕返しができるし、もし失敗してもテツというバケモノじみた魔術師を一年抱えることが出来る。


我ながら上手く考えたものだ。


ジーノは己の算段で悦に浸った。



テツはジーノからグリーンドラゴンの特徴や生体について詳しく聞き出し、食事を馳走になってから森へ出発した。



「あのジーノとかいうオッサンには助けられたし恩返しをしないとな」



テツは森に入ると土魔法で自分の通る前を整地しグリーンドラゴン対策と帰りの目印としてどんどん深い所まで入っていく。


たまにゴブリンやウルフがテツを襲うが、テツの強力な魔法で粉砕する。


しかし、不意打ちのように襲われるとテツもケガをする。ケガをすれば回復魔法で元通りなのだが、やはり痛いのは嫌だ。


そこでテツは考えた。なにか敵を感知できる魔法はないのかと。そこでテツは身体中の魔力を自分を中心にどこまでも広げていく。

すると魔力に触れるものがなんなのか感覚的に分かった気がする。これだ!


本気を出せばどこまでも広がりそうで、そんなに広大な範囲では処理が追い付かない。


なので半径15m程魔力を展開してそれを持続して進むことにした。




テツが一瞬魔力を本気で展開した時、じつはその魔力の範囲は一瞬で半径200kmに達していた。

そんな常識はずれの魔力を偶然ガルネリ森林で感知した者がいた。


近年誕生した魔王の一人である『デルガ』


デルガは進化を重ねた最上位の悪魔であり見た目は翼も角もあるが、妖艶な女性型である。

普段はガルネリ森林中央より西の魔領域から近隣の人間の街へ大勢の命を奪うちょっかいを出したり、他の魔王と争ってみたり暇をもてあましていた。


そんな彼女は昨日人間の街の一つが燃えた気配を感じて人間同士の戦争でも起こったのだろう。ひとつ観戦してみようとガルネリ森林の上空をヒルバニア目指してのんびり飛行していた。


そこで突然とんでもない濃密な魔力が爆発的に森林のどこからか発せられ森を覆い尽くしてしまった。その魔力は直ぐに収縮してしまったが、あまりに桁外れの魔力を目の当たりにしたデルガは怖れながらもその発信源を探した。



「グリーンドラゴンが簡単に見つからないんだわ」


もう太陽は頭のてっぺんをとおに過ぎていた。


「ここらで一休憩するか」


とジーノからもらった金で街から買ってきた保存食を食べる。肉の塩漬け、干物だ。


臭いがまぁ悪くはない、こんなもんだろう。


一人地面に座り飯を食っていると空からデルガがテツの前に降り立った。



「お前、何者?人間じゃないわよね?」


テツは突然空から表れた美女に驚いた。

そして美女は人間じゃなく魔族か悪魔なんだろうと思った。


「俺はテツだ。人間。お前は?」


テツは堂々と答えられて良かったと内心安心した。


「嘘ね。そんな魔力を持った人間なんているはずないもの。あなたは神の使いかなにか?」


「だから俺は人間だ。お前はなんなんだ?」



「あくまでしらを切るつもりね。いいわ、私はデルガ。この世界では魔王なんて呼ばれているわ」


魔王だって!?いきなりクライマックスじゃないっすか!多分ホンモノだよな。

ここは魔王とくっつくパターンもあるが、この魔王は俺のタイプではないしなぁ……


「そうか。魔王か。それで俺になんの用だ?」


なんとかニヒルっぽく返せた。舐められてはいけないしな。


「やっぱり人間じゃないわよね。魔王を目の前にしてそんな余裕かます人間いるわけないもの。あなたも新しい魔王みたいね。あなたと争うのは止めとくわ」


新しい魔王?この世界は複数の魔王と複数の勇者がいる世界ということか。


「俺と争うつもりはないのか。なら俺の手下になるか?」


結構攻めたことを言えた!


「嫌よ。めんどくさいし命令されるのは嫌いなの。適当に人間を狩って遊んであげるのが私の楽しみだから、あなたにはノータッチよ」


「人間で遊ぶ?」


「そーよ。人間の残留思念が美味しいことに気付いたから如何にして強い感情を引き出して殺せるか試行錯誤してるの」


「そうか」


話す分にはいい女感が出てるがやはり魔王は人間の敵なんだな。どの位の強さかは分からんが、多分俺のが上なんだろう。グリーンドラゴン見つからねぇし、魔王を仕留めてやればそのクエストの替わりになってもお釣りが来るだろ。

話をできる相手を殺すのは罪悪感がスゴいがこの世界では常だ。心を鬼にしろ!!


全力で殺す!!



じゃあね!と飛び立とうとするデルガ。テツは元の世界の工場で見たウォーターカッターのイメージで極限まで魔力を圧縮し、


「ウォーター!!!」


デルガの背中の右肩から左脇にかけて袈裟斬りにした。


スッパリと切断されたデルガはそのまま地面に墜ちた。

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