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プロローグ

俺は鎌倉かまくら てつ今年26になる肉体労働者だ。

大学を中退してから色んな職を転々としてようやくこの仕事に落ち着いた。家族はいるが大学を中退してからもう何年も顔を合わせていない。まぁ、家庭内では素行の良くない俺は鼻つまみものだったんだ。


近頃の俺は暑い中、現場作業に勤しんでいる。

俺はそこそこ肥満なので、普段は狭いところや高いところでの作業はしないのだが、今日はこの暑さにやられて同僚が仕事を休んでいる。

親方に仕方ないからお前が鉄塔を登ってくれと頼まれたので、嫌々ながらも鉄塔の梯子を上っていく。今日はこの鉄塔の解体に伴う準備段階なんだが、普段は登らない梯子で手足が震える。汗で皮手袋がグズグズだ。


20mほど登った所でフッと手が梯子から離れた。いや、梯子は握っていたんだが錆びていたのか折れてしまった。安全帯はしていなかった。


意識が眠る時のように無くなる。




「おい!生きてるか?」


声が聞こえる。直前梯子から落ちたのを思い出し肝を冷し体が反応する。あんなとこから落ちたら死ぬだろうと。


「おい!大丈夫なのか?」


あれ?体はなんともない。声に答える。


「はい。大丈夫みたいです」


と答えた相手は見たことないオッサンで自分が今どこにいるのかも把握出来ない。周りはなんというか森の中のようなんだが。


「大丈夫ならいいんだ。お前がこんな所で倒れているから魔物か何かに襲われて死んでいるのかと思ったんだが、それにしては身なりが綺麗で気になったんだ。どうしてこんな所で倒れていたんだ?」


?魔物に襲われるどういうことだ?そもそもここはどこだ?オッサンは誰だ?なぜ自分の体はなんともないのか?


色々ショックがありすぎて閉口してしまう。思考が追い付かない。


「どうしたんだ?黙りこんでしまって。まぁ無事なら構わないが、もう夕暮れだ。さっさとこの森から帰らないと魔物に喰われてしまうぞ。早く村に帰るんだな!」


そう言ってオッサンは去っていこうとした。


「まって下さい!」


ここで置いていかれては何も分からないし、死にかねないと本能が叫んだ。


「なんだ?どうしたんだ?」


「ここはどこですか?魔物ってなんですか?あなたは誰なんですか?」


「突然変なことを聞くやつだな。頭でも打って記憶を無くしたのか?ここはガルネリ森林だ。魔物ってこの辺りじゃウルフやゴブリンに近頃はグリーンドラゴンが出たと聞く。それでこの辺を調査しているのが俺、B級冒険者のデンシュウだ。」


あぁ俺はやっぱり死んだのか?それとも夢を見ているのか。昔から物分かりは良かった方だがまさか異世界転移?ってやつなんてあるわけないと受け入れられずなにかのドッキリかと疑った。


「お前は本当になにも思い出せないのか?」


「はい、、、全くなにも、、、」


「はぁ、仕方ないな。みたところ村人かと思ったんだがその格好は商人か?うーん、街の人間かもしれないな。夜が来る前に街まで送ってやる。歩けるならついてこい」



こうして俺の異世界ライフは始まった。



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