4-2
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行儀作法に勉強に軍務にと慌ただしく過ごすうちに短い夏がやってきた。
そしてついに九公家の筆頭であるアドロフ公家へとサンドラとイーゴルはやってきていた。
「大きいわ……」
丘の上にあるどっしりとした赤茶色の石造りの城が見えてきて、サンドラは感嘆する。要塞都市の中枢とあって見るからに頑健な城だ。
一度馬車が止まり、門扉が開かれて一行は城内へ通される。建家の入り口までの道の両脇には白く細い柱が林立していて、冬に咲くという珍しい薔薇の蔦が絡みついている。
あまりきょろきょろしないように気をつけながら要塞の中に入ると、エントランスで大勢の使用人達がかしずいていてサンドラは気圧される。
王宮とはまた違った緊張感がある。
そうして地響き似た足音に隣にいたイーゴルが、一歩前に出る。
「イーゴル!! お前は一体何を考えている!」
耳の奥が痛むほどの声が轟いて、この城を思わせるがっちりとした体格の大柄な男が肩を怒らせてやってくる。年の頃は皇帝より少し上に見える銀髪の男がどうやらアドロフ公家嫡男のマラット、つまるところイーゴルの伯父らしい。
(似てるわー)
リリアや皇后からイーゴルの外見はアドロフ公家の血が濃いとは聞いていたが、皇帝とよりもマラットとの並びの方が親子らしさがあるぐらいだ。
「どこぞの片田舎から連れてきたというのはその娘か! 勝手なことをしおって!」
不意に視線が向けられて、サンドラは慌てて挨拶をする。
見た目こそマラットとイーゴルは似ているが、雰囲気はまるで正反対である。
「伯父上! 客人に挨拶もしないとは無礼ではありませんか!」
「俺はそこの娘をお前の結婚を認めておらん! 迎える気はないぞ!」
「伯父上に結婚の許諾を頂きに来たわけではありません!! 俺はサンドラをお爺様に紹介にきたのです!」
大音声の怒鳴り合いが始まったのを、サンドラはなすすべもなく見ているしかなかった。
(ううん。想像以上にすごい)
リリアと皇后はふたりが喧嘩になるかもしてないと心配はしていた。出立前に皇后が先に穏便に迎えてくれと書簡を出してくれたそうだが、効果はなかったようだ。
「お前達、いい加減にせんか!!」
そして後からやってきたアドロフ公に一喝されてぴたりと怒鳴り合いはおさまった。
「不肖の息子が申し訳ない。私が当主のパーヴェルだ。我がアドロフ家は皇太子殿下とニキフォロフ令嬢を歓迎する」
まだ何か言いたげだったマラットだったが、アドロフ公の鋭い眼光に押し黙る。老齢であるもの背筋は伸び、体格こそマラットよりも一回りは小さくとも威厳は格段に上だった。
「旦那様、御館様より先に行かれるならそれらしい態度でお客様を迎えて下さいね。初めまして、マラットの妻のダリヤと申します。主人が失礼いたしました」
サンドラがアドロフ公に挨拶を返すと、ふんわりとした雰囲気のダリヤが謝罪してサンドラはいえいえと恐縮する。
父親と妻に窘められてマラットは静かになったが、不機嫌なのはあからさまである。
「サンドラ、大丈夫か?」
応接室へと案内されている途中、口数の少ないサンドラをイーゴルが気づかう。
「うん、大丈夫」
そうは答えたもののサンドラの声は固かった。
王宮での暮らしはリリアやイーゴルと過ごす時間が長く、三月ほど経っているので慣れてきた。だがやはりはるかに実家よりも家格が上の貴族の城となると雰囲気にのまれてしまって緊張する。
「サンドラ様は御領地で森番をなさっていたのでしょう。たまたま狩にやってこられた皇太子殿下が一目惚れなさったなんて、すてきですわ」
「……熊を狩りに行って熊のような娘を見つけてきたと聞いたが、背丈があるだけで話ほどのものではないではないか」
マラットはこの婚姻になにもかも不満らしく、さすがにサンドラもどうしたらいいのか困ってしまう。
「伯父上! サンドラは帝都にに来てから剣も槍も斧も使いこなせるように鍛錬に勤しんでいるのです。弓術は指南役できるほどの腕前なのですよ。見目で侮るのは失礼というもの!」
イーゴルが反論してくれるのは嬉しいのだけれど、マラットが気に食わないのはそこではないような気はする。
「そこまで言うなら実力を見せて貰うぞ!」
「サンドラ、よいか」
「うん、軍服は持ってきてるからやるわ」
断る術も理由もないサンドラがうなずくと、ダリヤが困った顔でこちらに視線を向けてくる。
「旦那様も皇太子殿下も、サンドラ様に無理を仰らないで。お断りしてもかまいませんよ」
「あ、無理じゃないので大丈夫です。ずっと馬車だったので、体を思いっきり動かせたら嬉しいです」
正直なところ、応接室で会話をするよりもそちらの方が気が楽ではあるのだ。
ダリヤが本当に大丈夫かと心配するのにサンドラは平気だと笑顔で答えて、さっそく軍服に着替えることになったのだった。
***
「そうですのよ。私ったら余計な心配をしてしまいましたわ」
夜、イーゴルの従兄達も集まって晩餐会となって、ダリヤがそう微笑んで、サンドラは縮こまる。
昼間マラットに言われるまま斧と槍を振り回してアドロフ家の私兵達と互角とは難しくとも戦い、長弓を引ききり遠眼鏡でやっと確認できる的の中央に当てた。
最初はとても心配げに見ていたダリヤも、弓を引く頃にはしきりに感心して夕餉の席でこのことを話題に上げたのだ。
「その細腕でよく斧を持ち上げられたものだな」
「武勇に優れたよい方を迎えられたのだな」
イーゴルの従兄達がさらに褒めそやして、サンドラは面はゆくなりまだまだですと小さく答える。
私兵団の練兵場に行ってからどこぞの田舎娘から、武勇の見込みがある皇太子妃という評価に変わってマラットの態度は幾分か軟化した。ダリヤがことさらにそれを褒めてくれるので、従兄達もしきりに感心するばかりだった。
とはいえ、屈強な男達と渡り合えるにはまだほど遠い腕前でこんなに褒められるのはかえって身の置き所がない。
(……細腕)
丸太のような男達に比べれば細腕なのだが、皇都に来る前に寸法を測って仕立てたドレスの肩と上腕がきつくなってしまって侍女達の顔を青ざめさせてしまっている。
力がつくのは嬉しいのだけれど、大急ぎでドレスを直すことになってしまったことへの申し訳なさを思い出してサンドラはうなだれる。
「いいか。気を抜かずに鍛錬にはげむのだぞ。武勇に優れてこそのディシベリアの皇帝だ。皇帝皇后共に屈強ならばことさらよい。フィグネリアにはけして隙を見せるな。いつ帝位を狙ってくるやもわからんからな」
マラットにそんなことを言われて、サンドラは九つの子供に対してそんなことを言われて返答に困ってしまう。
「フィグネリアが帝位を欲しいというなら、俺は父上ときちんと話し合うつもりです! 伯父上はいらぬ心配ばかりせず、フィグネリアをもうっと可愛がっていただけませんか!」
「そうやって、お前が甘やかすからあの娘が図に乗るのだ! だいたい皇帝も皇帝だ。側室のまだ九つの子供を朝議の場に置いているなど正気の沙汰とは思えん」
「フィグネリアは賢い子です。それを父上をお認めになっているからこそ朝議の場にいるのです。伯父上の仰ることは皇帝陛下への侮辱というもの!」
「お前はもう少し自分の立場というのをもっと深く考えろ! そこにいるべきは皇太子であるお前でなくてはならんのだ」
ともすればイーゴルとマラットの諍いが再び始まるのだが、おろおろするのはサンドラばかりで他は慣れた様子でスグリのパイをつまみながら酒を呑んでいる。
「私はもう下がる。ニキフォロフ令嬢、少々騒がしいがごゆるりとお過ごしになるといい」
そして当主のアドロフ公がふたりを諫めることもなく退出していくのに、サンドラは慌てて立ち上がって食事の礼を述べる。
酒が入っているせいか城主が下がってもイーゴルとマラットの勢いは止まらない。
「さあ、ここは騒がしいから別のお部屋でお話ししましょうか」
「え、ダリヤ様、ほっといていいんですか!?」
「ええ。息子達に任せてわたくしたちは美味しいお酒でもいただきましょう。いつものことだから気になさらないで」
そうは言われても気になってしまうが、確かにこれは好きなだけ怒鳴らせておかなければおさまりそうになかった。
サンドラは仕方なくダリヤについて行き、夜風が心地いいテラスへと案内される。そこにある机の上にはすでに燭台と酒杯に幾種類かのチーズが置かれていた。
「いつものことだからですのよ」
サンドラが準備が早いことに驚いているのを見て、ダリヤが苦笑する。
「イーゴルとマラット様、あまり仲がよくないんですか?」
「見たとおり似たもの同士、あれでも主人はイーゴル殿下を可愛がってはいるのですけれどね、フィグネリア様のこととなるとどうしてもあんな調子で」
確かにマラットの言動はイーゴルの立場を重んじる発言ではある。
(フィグは自分のせいで喧嘩になるのわかってたんだろうな)
出立前にフィグネリアの不安そうというより申し訳なさそうな顔を思い出して、サンドラは顔を曇らせる。
「まだ子供なのに」
そしてサンドラが幼いながら思慮深いフィグネリアを思い、こぼした言葉にダリヤが子供、と反芻する。
「フィグネリア様がただの子供というには、賢すぎるから夫もことさら気にするのでしょうね。そもそもイーゴル殿下という後継がいるにもかかわらず、皇帝陛下が側室を迎えられたのは、アドロフ公家に対しても、皇后陛下に対しても無礼だと怒り心頭でしたもの。マラットにとって、皇后陛下はとても可愛い妹でしょう」
「すごく、複雑なんですね。でも、イーゴルとフィグは仲はいいし、二人で上手くやっていけそうなのに」
マラットの心情も分からないでもないが、兄妹仲はいいのだ。なにもそこに水を差すことはないのではと思ってしまう。
「サンドラ様は万が一、フィグネリア様がイーゴル殿下の代わりに跡を継いでもかまわないと思ってらっしゃる?」
「え、あたしは難しいことは全然分からないんですけど、家族みんな仲良くできるならいいかなって思ってます」
イーゴルが次期皇帝だから結婚するわけでもないし、義妹達は可愛い。みんなで力を合わせて幸せな家族でいられるなら、フィグネリアが次の皇帝でもかまわないのだ・
「……イーゴル殿下があなたを選んだ理由がよくわかりましたわ。ただ、アドロフ公家としてはそうはいかなものですわ。だから、フィグネリア様の事に関しては御館様は静観してらっしゃるの」
「ううん、難しい、です」
やはり政治的な話というのは、頭で理解するのは難しく心で受け止めるのはなおさら無理である。
「ごめんなさい。少し、堅苦しいお話でしたわね。フィグネリア様とは仲良くしておいでなの?」
「それもちょっと、上手くいってないんです。歳も離れてるし、フィグの方が近づいてくれないっていうか、遠慮があるっていうか.。」
「年に一度は皇后陛下がフィグネリア様も一緒にこちらにつれてくるのですけれど、そうですわね。いつもあの方はかしこまっておいでだわ。皇后陛下がイーゴル殿下やリリア様と同じように可愛がって欲しいとは仰っても、夫があの調子でしょう。あの方はことさら自分を下に置くばかりですのよね。サンドラ様が皇太子妃となる以上、フィグネリア様も親しく接するのは難しいのでしょうね」
「……仲良くしようとすると、かえって困らせてしまうんでしょうか」
フィグネリアと話していて一番よく見る表情は、戸惑いだ。
「仲良く、というのはリリア様とみたいにかしら。あの方はとても可愛らしくて人懐こいわ」
言われてみれば確かに、リリアのように懐いて欲しいとは思っている。
「そう、ですね。それに兄弟が多くて賑やかだったから、フィグともそういう風に何でも話せるようになれたらなあって」
「私は、仲良くなるということとたくさんお話しができることは同じではないと思っていますわ。お喋りが好きな方もそうでない方もいるでしょう」
「はい。そっかあ、そうですよねえ」
自分にとって兄弟というのは遠慮なく何でも言い合いながら、森番という一家の仕事を一緒にやっていくものだった。
リリアはそんな自分の兄弟と似たものがあって、だからこそフィグネリアとも同じようになれるはずだと思い込みで行動していたのだ。
サンドラは自分の行動を振り返って情けなくなる。
のんびりと距離を縮めようと思っていたが、根本からずれていた。
「あら。そんなに落ち込まないで。あなたはちゃんとフィグネリア様を気にかけているでしょう。たくさんお話しすることよりも、相手が困っているときや落ち込んでいるときを見逃さないことを大事になさって、何かできることがあるか声をかけてあげて。断られるかもしれないし、出来ることはなくても気持ちは伝わるものだと思いますわ」
ダリヤの言葉に、サンドラは顔を上げる。
「はい。それはもちろんです。家族は助け合うものですから。……頼ってもらえたらいいな」
いつも難しいことを考えていそうなフィグネリアの困りごとに上手く対応できる自信はないけれど、少しでも力になれることがあればいい。
「サンドラ様、お酒はお好き?」
唐突にいたずっらぽい顔で、ダリヤにそう言われてサンドラはきょとんとする。
「えっと……人並み以上には飲みます」
実のところ父も兄達も含め大酒飲みの一家である。
「だったらたくさんお付き合いしていただけそうですわね」
そしてその夜は女二人で酒宴と相成ったのだった。
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「サンドラ! すまなかった!!」
翌朝、顔を合せるなりイーゴルが平身低頭で謝罪してサンドラはきょとんとする。
「え、なんかあったっけ?」
「……伯父上と諍いになって晩餐でひとりにしてしまっただろう」
「あ、それは気にしないで大丈夫よ。ひとりじゃなくてダリヤ様と呑んでたから。そっか。イーゴルにおやすみも言ってなかったわ」
昨夜あれからダリヤと遅くまで酒宴をして、そのまま来賓のための別館へと戻ってきたら着替えてすぐに寝てしまった。まだ婚約中ともあってイーゴルとは別々の離れた部屋に宿泊しているので、昨夜から一度も顔を合せていなかった。
「本当はすぐにサンドラに詫びるつもりだったが、もう休んでいると聞いてな。慣れない場所でひとりで心許なくなっていないだろうかと思ったが、伯母上がいてくださってよかった。しかし、やはり俺は側におらねばならなかったな」
大きな体を縮ませていつになくイーゴルは落ち込んでいて、サンドラは苦笑する。
「喧嘩の原因はフィグのことだったでしょう。あたしはね、イーゴルのそういう優しいところが好きだから気にしてないわ。あたしは困ってばかりでなんにも言い返せなかったし」
正直、マラットのフィグネリアへの言い様はあんまりだとも思ったのだが、イーゴルが先に爆発してしまってうろたえるばかりだった。
「俺は本当に素晴らしい人を妻にするのだな」
つぶらな瞳をうるませたイーゴルがサンドラを抱きしめて感極まる。
「やだ、もう。おおげさよ。ダリヤ様とお話しできてよかったわ。あたしも、今度からはあたふたしないようにするから」
「うむ。しかし伯父上も祖先の血を誇りに思うのはよいが、それを理由に他者を貶めるのはいかんしたがたいものだな。俺はすぐに頭に血が昇ってしまうからサンドラは、伯父上を相手にするよりも俺を落ち着かせてくれた方がよいな」
「それもそうね。いつか、マラット様とも仲良くなれたらいいんだけどな」
家族は仲良く平和が一番なのだが、こればかりはなかなか上手く行きそうにない。
「あの、朝食をお出ししてもよろしいでしょうか」
そこへ、おずおずと侍女が声を掛けてきて、抱き合ったままだったサンドラとイーゴルは慌てて離れる。
ここは食堂室の入り口で、さっきから侍女達も困っていたようだった。
サンドラとイーゴルはふたりとも顔を赤らめて、お願いしますと返すしかなかった。
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一方その頃、ダリヤは朝食前にパーヴェルの執務室を訪れていた。
「それで、あの娘はどうだ」
「毒にも薬にもならないとても素敵なお方でした。あれでは私が皇太子妃候補に挙げていた方々などとても太刀打ち出来ませんわ」
サンドラには政治的な才覚が一切なければ、生家に他の貴族との人脈などもなかった。加えて本人に皇太子妃という地位への執着や欲は一切ない。性格は素直で穏やか。
アドロフ公家が探していた貴族令嬢とはまったくの真逆である。
「やはり使えそうにないか。しかし、よくあんな都合のいい娘がいたものだな」
苦々しく言うパーヴェルに、ダリヤもまったくだとうなずく。
皇太子妃として相応しい要素はないが、皇太子に政を任せる気がなさそうな皇帝にとっては理想の相手である。
酒の席でサンドラからそれとなく聞き出したこの頃の皇帝とフィグネリアの様子からすると、大きな問題がひとつ片付いて順調に政の中心からイーゴルを遠ざけているようである。
「少しばかり、フィグネリア様の教育に打ち込みすぎではとも思いますが。十にもならない子供に期待しすぎではと」
「イーゴルがあれでは政を仕込めるのはあれしかおらん。重圧に潰れるならそれまでの器だ」
フィグネリアが皇帝の期待通りに育たない方が都合はいいというのに、パーヴェルはどこかつまらなさそうだった。
「フィグネリア様が今のまま皇太子殿下の後ろで影のように付き従っていればよいのですけれど、皇帝陛下の才覚を受け継いで野心を持たれると困りますわね。旦那様でお相手できるかどうか」
マラットは何事においても冷静さに欠ける。今でこそパーヴェルがそれを押さえているものの、歳と共に落ち着くということももうないだろう。
「そのためにお前がいるのだ。……皇帝ならば難しいが、フィグネリアを多少は手こずらせることはできるだろう」
「あら。御館様は私にそれができるとお考えですか?」
「それぐらいしてもらわねば、お前をマラットの妻に迎えた意味がない。イーゴルにも、よい相手を見つけねばならなかったがな」
「フィグネリア様に野心を抱かせないためには、サンドラ様のような方がよいかもしれませんわ。下手に賢いよりも、フィグネリア様を懐柔しやすいのでは」
はたしてそれが『薬』と呼べるほどの効果があるか未知数である。
「……そうだとよいのだがな」
答えるパーヴェルは不服そうである。
皇帝はまだ若い。パーヴェルが先に身罷り跡を継いだ夫は、皇帝とフィグネリア二代続けて対峙せねばならないだろう。なかなかに骨が折れる仕事ではあるが、その分やりがいがありそうだ、
朝食の時間を知らせが扉の奥から聞こえ、ダリヤはそのまま話を切り上げた。