保護
「モンスターだ!殺せ!」
「囲め、囲め!」
「血祭りに上げろ!」
相変わらず祭りが好きだな彼は。エンジョイ勢でも大分毛色の違うタイプで接しづらいな。
「この子達、連れて来ましたけど、どうするんだ」
「へぼ!へぼしゃないか!」
「ヘボッサね」
「教会連れていけば良いでしょ、NPCの保護くらいしてくれるはず。というわけですよストックさん」
「え!回収して研究しちゃダメなのかい?」
「ダメです。マッドかよアンタ」
「当時の生活の話を聞くだけさ。きっとメカニカルなはずだよ」
「地下施設に軟禁、みたいな感じだったよな」
「そうだな、最後の映像はあまり楽しくなさそうだったな」
「分からないじゃないか!生存区画って言うのがあったんだろう?なら保存されていない生存者達が文化を継続しているかもしれない!」
昔の近未来世紀末ゲーで見たけど大抵ヤバいことになってるヤツだソレ。
戦闘は先頭好きに丸投げして進み、何事もなく始まりの街について教会に大勢で押しかける。
いつものシスターさんは俺を見るなり頭を抑えてため息吐いた。NPCにこんな反応されるって酷くない?流石に不本意だよ?
「語られ続けた亜人ですか。まさか実在するとは驚きました。それ以上に、貴方ですか」
「問題事ばかり持ち込み誠に申し訳御座らん」
「いえ、構いません。力の無い者達を護るのも教会の役割ですから」
「ではこちら、前時代の設備にて守られていた幼子達の保護を」
「ええ、宜しくお願い申す」
おい、おい。話してるの俺だけじゃねぇか!え、なに?「俺達が話しかけてもほぼ反応無しだからいいかなって?」ふざけんな!
「ひ、一人くらいこちらで預かっても」
「なりません」
「研究の為に!」
「こちらの顔を出すのであれば構いません」
ストックさんは交渉し始めているが、教会の奥の扉から真っ黒の修道服を着た人々が子供達を預かって行く。無理だな、諦めろ研究馬鹿。
ってか反応してんじゃねーか!予想外みたいな反応してんじゃねぇぞ!
[全体へ、システム通知を行います]
[プレイヤーキャラクター制作で、[亜人]が選択可能になりました]
[特殊なキャラクターですので、是非ご自身で触れてみてください]
[以上、この世界を更に体験してください]
ほほう、やっぱり教会に届けるのが正解のルートだったか。他にもあるのかな、魔術師の総本山とか、戦闘系の集まりとか。
もしかしたら組織によって使える亜人種が変わるとかあったのかもしれない。やばい、やらかした?バラバラに分けて方が良かった?
いや、ストックに預けるよりはマシだ、そう考えよう。
「総員スレ確認!」
「亜人種複数確認!」
「獣人!ケモミミ!トカゲ!確認!」
「鳥人!翼人!確認!」
「ログアウトしたギルメンからの連絡!現在開放されている種族は五種!どれも割り振れないステータスが存在する模様!」
「亜人をプロフェッショナルとして導入したのか。極振りはこっちでする方が良かったかもね互助会の諸君?」
「いや技量系の亜人ってなんだよ」
「信仰系の亜人ってなんや」
「魔法系の亜人って、エルフか」
「魔力系の亜人は、エルフだよねぇ」
「筋力系の亜人は獣人だな!獅子だとなお良しってな!」
「体力系の亜人は、あれかな、さっき居たサイ」
「シノビ系の亜人など居ないではないか」
「侍系の亜人とは是如何に」
「後ろの二人はなんなんだい?」
「さあ?ロールプレイと極振りが一緒になってる馬鹿二人じゃない」
誰も彼も人の事酷い言い方するよね。
ちょっと信仰極振りしてて侍っぽいロールプレイに憧れてるだけなのに。
外見か?バケツヘッドに手甲脚甲袴姿が駄目なの?イケてると思うんだけどな。
「どうする、キャラクリし直すかぁ?」
「いやない、拙者は特に無い」
「互助会の中でも唯一のユニーク装備持ちだからな」
「え、唯一なの?拙者よりも長く遊んでおきながらユニーク持ってないの?誰も?うっそでしょ、何やってたの?」
「テメェ!ユニーク持ってるからって煽ってくるんじゃねぇよ!」
ナカヤーマンに怒鳴られながら胸倉掴まれて息が苦しい。
ごめん、マジごめん、煽ったつもりはないんだ。ごめん。純粋な疑問なんだ、ごめん。声出ねぇんだけど?
「一応王手かかってるのがベルッサさんだけ。お前は本当に運が良かっただけだからな!いいな!」
「了承。この件に関しては口を閉ざす方向で」
「ノーマル、気にすんな。ただ自分がユニークにギルド一番乗り出来なかったんが悔しいだけや」
「解説しないでくれないかなぁ!恥ずかしいんだけど!」
「こんな反応するくらいや。許したって?」
「いや、地雷踏んだのは俺だし、マジごめん」
「妙なロールプレイする割には真面目やな自分」
誰も彼も本当に失礼だな!見た目と言動で人を判断するんじゃねぇ!あっこれブーメラン?
「いつの間にか他ギルドは撤退してるし、いやストックはいるけど関係ないな」
「アタシ達も撤収しよか」
「解散!」
「いや解散すんなやノーマル」
え、違うの?じゃあなに?なんか怒られる様な事したかな。どれだ?アレか?違うか。
「自分にはダブルワークの件を聞かなあかんねん」
「えっ、そこ言わなきゃダメ?」
「ダブルは別にええねん、どんなギルドか聞きたいだけや」
「いや、四人の新興弱小よ?気にするまでもないよ?」
「どんな奴がおるんや?」
「え、怖い怖い、なにマジで怖いよベルッサさんどうしたの?」
「いや、ギルド戦に役立つかどうかをな」
「役立たないんじゃない?まだ40前くらいよ?」
「将来性の話や」
「安定性はあると思うよ。回復役で肉盾の俺と、前線で盾役も出来るギルマス。中距離からヘイト集めながら逃げれる弓、火力要員の魔法使いで」
「バランスええやん。強いていうなら、あと一人前線が欲しいくらいやな」
「火力要員が魔法使いくらいしか居ないのがな、長期戦になりがち」
「ならしっかり育てなあかんな」
「え、何?何企んでるのベルッサさん」
「人聞き悪い事言うなや、アタシと自分の仲やろ?」
「え、いや、どんな仲?」
「ドアホウ、そこはせやな、って返す場面やろ」
「せやろか?」
「せやろ、が!」
溜めに溜めた拳が腹へと突き刺さる。酷い、この人酷い人だ。
「って事があってな」
「もしかしたら互助会から増援が来たりして?」
「さあ、スパルタレベリングの可能性もあると思う」
「うへぇ、弱小ギルドの事なんて放っておいてくれよ」
「あっ、ノーマルさん蜜柑食べますか?」
「食べる食べるー」
今俺は気楽な中級者のホームでこたつに入って蜜柑を食べている。うん、平和平和。
「ナマルさんは?居ないけど」
「アイツは今なんか知り合いとレベリングらしい」
「え、お前、それでいいの?」
「は?それでいいって、何がだよ」
「ギルメンがレベリングしてるの知ってて、こたつでのんびりしてて」
「ノルマはやった。それでいいだろ」
思わずノルーさんの方を見る。なんか苦笑い浮かべてる。
そうかそうか、じゃあこうしよう。
「ノルーさん、拙者とデートと洒落込むってのは如何で御座る?」
「はい!喜んで!」
「と言う訳でいざ出立。アイナス、ギルド番よろしく」
「行ってきます!」
「は?え、おいお前等?」
ノルーさんレベリングしようぜー。アイナスの事は放っておいてな!
「で、どうする?ナマルさんの方に合流する?」
「え?デートじゃないんですか?」
ホームから出ていつもの酒場、レベリングどこでやるー?と聞いたらこの返事。
え、この子、え?マジかよ。
「良し、じゃあウィンドウショッピングと洒落込もう」
「こうやって男の人とお買い物なんて初めてです!」
「そう?頑張ってエスコートしないといけないなぁ」
デートの経験なんてないけど、それっぽく振る舞ってあげようではないか!お財布の中身確認しなくちゃ。




