09
今回の体育はいつもより疲れた気がする。
と、いうか体のあちこちが痛い。
内容はバレーボールであったのだが、親衛隊の連中が俺に集中攻撃してきたのだ。
もう、敵味方関係なく。
試合でなくとも不意にボールをぶつけられ、合計は28回に及ぶ。
保健室に行くほどでもないのでここにいるのだが…。
今、帰りのホームルームが行われているが、担任の薄い…いや碓氷先生の話はまったく聞いていない。
どうせ聞かずとも困らない話だ。
明日以降も大変だな。
っと、明日は土曜で休みだった。
「大我君、今日もお姉ちゃんが来るから一緒に帰る?」
カバンに道具を詰め終えた玲香が言った。
「そうだな、行くか」
その時だった。背中に衝撃が襲ったのは。
俺はその反動でメガネを机の上に落とした。
「よう大我!羨ましいぞっ!」
やはり統也だった。
お得意の背中をグーで殴る行為は直る気配がない。
「だ、大丈夫?」
玲香はむせる俺を心配してくれているらしい。
「大丈夫だ…」
「くぅ〜羨ましいぜ西条大我ぁ!もう噂の編入生と仲良くなっちゃったのかよぉ」
相変わらずテンション高い奴だ。
俺はメガネを掛け直した。
「コイツは毛利統也。俺のストーカー兼金魚の糞」
「ひどっ!つか糞呼ばわり?」
「しるか。とっとと離れやがれ」
「フフフッ。仲がいいのね」
玲香が間に入った。
すごく自然に。
「いやぁどー…」
「コイツなんかと一緒にしないでくれ」
俺はカバンを肩に掛け、教室を出た。
「あっ待って!」
玲香がその後を追ってきた。
結果、統也は教室にポツンと残されたのだった。