07
翌朝。
俺はいつも通り学校へ向かったは良かった。
「西条!貴様ぁ!!」
大体予想はついていた。
美里タンファンクラブの面々が俺が登校するところを待っていたのだ。
親衛隊があればファンクラブもあっても不思議ではない。
「美里様とクルマで隣同士に座って帰りやがってぇ…羨ましいぞ!」
馬鹿げている。
こんなのは無視に限る。
「待て!逃げるつもりかっ!?」
こいつら知らないのか、逃げるのも戦略の一つだと。
変に関わると面倒だ。
その時、ファンクラブのメンバーが校門の方へ戻っていった。
やっと諦めたのか?
俺が振り返るとファンクラブの面々は一人の女子に絡んでいた。
俺と同じ態度で迫っている。
あれは…玲香じゃないか!
俺は急いで引き返した。
「バカか?おまえ等」
玲香の前に立った。
「バカだとぅ?」
ファンクラブの面々は全員俺を睨みつけていた。
「おまえ等は美里の何だ?美里に近づいた奴に脅しをかける集団か?そんなもん、バカ以外の何でもねぇだろ」
「た、大我君…」
「それに工藤はまだこの学校に慣れてないんだ。脅えることだってある。なんで進んで脅えさせようとするんだ」
ファンクラブの面々は黙ってしまった。
「あっ大我くん」
と、美里が現れた。
その瞬間にファンクラブ全員が顔を赤くしてしまった。
「美里か」
「えっと…何?この状況」
俺は要約して美里に状況を説明した。
「…ということだ」
「うわっサイテーだね」
その瞬間、ファンクラブの周りの空気が百倍くらい重くなった。
「それより玲香ちゃん、お姉ちゃんのことをもっと教えて♪」
「い、いいケド」
玲香はチラッとファンクラブの方をみた。
「大丈夫。時間がたてば治る」
少し困惑しているようだが、美里に手を引かれて歩き始めた。
俺はファンクラブの方をチラッと見てから二人の後ろを歩いた。
校舎に入った後も親衛隊が縄を張っていたが、美里が居るので手を出してこなかった。
そして一番恐れていた時間は過ぎた。
だが、それはすでに過去形。
同じくらい恐れなければならない時間が出来たのだ。