01
途中、クルマのネタが出てきます。 R32、R33、R34←これらが何を意味するのかが解れば問題ないかと。解らなくても楽しめますが、知っていた方が得です。
清々しい朝、これが平和なのだと言わんばかりの透き通った空。
実際に平和なら最高の朝だ。
だけど、俺、西条大我の周りにはその平和をかき乱す変人、もといアホどもがいる。
それに…
…今日もテンションがあがらない日が始まるのだった。
「元気か、大我!」
「ぐほぉっ」
俺は背中を殴られた。
その影響で、かけているメガネがズレる。
平手で叩くならまだしも拳で殴ることもないだろ。
「あいっかわらずテンション低いなぁメガネ!」
「メガネは余計だ」
この朝からテンションが高いのは毛利統也。
女好きの下ネタ大好き変態野郎だが、顔が良いので結構モテる。
なんか統也がついてくると、女子が顔を赤くしてこっちを見ている。
あんまり目立ちたくない俺にとっては迷惑だ。
髪を金髪に染めているのに一度も指導を受けていない不思議な奴でもある。
「昨日の夜さーノゾミがさぁ」
また、昨日の夜の話を始める。
毎朝の恒例行事だ。
しかも、出てくるのは毎度違う名前。
呆れるしかない。
「でさぁ…ってうわぁっ」
統也が前方に飛んで行き、俺の横に一人の女子が転んでいた。
「あたたた…」
そういって起きあがったのは、小田真美。
容姿は悪くないのだが、男勝りで負けず嫌いなので姉御と後輩から慕われている。
「あっ…」
「どうした?」
真美は俺の視線に気付くと急いで立ち上がり、制服に付いた塵を払った。
「見た?」
「見てねぇ」
「見せたくて見せた訳じゃないから…」
そう言うと、真美は走り去ってしまった。
倒れている統也をしっかりと踏んづけて。
「ったく。見てねぇっての」
俺は統也に歩み寄った。
「おい、大丈夫か?」
「フッフッフッ…ツンデレ真美のスカートの中、見えたぜ…」
天国にいるような顔をしているので、本当に天国に送ってやろうかと思った。
その後、統也を天国に送っとけば良かったと後悔しながら学校に着いた。
教室にはいるときも統也はついてきた。
「おまえ隣だろ、教室」
「いいじゃないか。大我きゅんのクラスにはさぁ、かーいー女の子がいっぱい居るんだもぉん」
こればっかりは死なないと直らないらしい。
仕方がないので無視して席に着く。
二年生になってからクラス替えをし、積極的に友達作りをしている。
「大我くん、おはよー」
笑顔で挨拶してきたのは朝倉美里。
この学校の生徒では珍しいマトモな人間の一人だ。
「ああ」
でも正直、彼女とは話したくない。
なぜかというと、彼女と話しているときにでる周りからの強大な殺気が原因である。
彼女の容姿は、異性だけでなく、同姓まで近づけてしまう。
間違いなく萌えの部類に入るのだが、流石変態に浸食された高校と呼ばれるだけあって、美里タン親衛隊と言うのが女子の中で密かに出来ているらしい。
お前らいいのか、こんなんで。
かく言う俺も何人かの男子生徒に目を付けられているしな。
どうしてこんな高校に入ったんだろ。
常々そう思う。