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鬼の王子の異世界留学物語  作者: 田ノ島夜
第6章 リックス 再始動編
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打倒霊王、決戦準備

この世界に住んでいれば霊王、ケント=サルヴァンドンを知らない者はいない。

厄災の王とも呼ばれる彼は数十年に一度戦争を起こす最悪の王だ。


霊族は全員が無詠唱の放出型という特徴を持っていて額に魔石のような石が埋め込まれている。

謎が多い種属だが、噂では霊王は人を殺して寿命を延ばしているということだ。


そんな平和を脅かす霊王を獣王アルアが討伐しようと動いた事があった。

両者譲らぬ戦いの末に獣王対霊王の決闘が行われた。


二人の王は森が消滅するほどの激しいを行なったが、勝敗がつかなかった。

結果、お互いが歩み寄り霊王に30年戦争禁止を約束させて獣王は不可侵を約束して撤退した。



その伝説の王が今回の敵となる。

正直最悪の相手ではあるが、こういう敵を倒す為に俺たちは修行したんだ。

それにユーラルさんの家族を見殺しになどできない。

周りを見回しても霊王を敵に回す事に異論がある者はいなかった。


カイルがユーラルを椅子に座らせて落ち着かせてから語り出す。


「どうせなら監視されている事を利用しよう。

みんなの演技力が問われる。

まずシェリルは顔に出やすいから、衝突直前まで話さないでおこう。」


一番最初に確認する事がそれとは、シェリルが可哀想だが満場一致だった。


あまり結界を張り続けても怪しまれるので急ぎで大まかな打ち合わせをした。

一週間後全員が集まった時に霊族の王国に侵攻する偽の打ち合わせをする。

こちらは何度も霊族に襲われているのだから理由などいくらでもつくれる。

そしてユーラルさんのいないところで裏をかいた本当の打ち合わせをする。


念のため全員に白湯を配り、結界を張ったまま談笑をしていたように見せかける。

そして全員が帰る準備をするところで結界を解除した。


そして帰りの玄関で打ち合わせ通りの会話をする。


「そういえばこの結界にはジャミング機能も付いてるから僕が魔眼で覗きはできないのだよ。

安心して夜に営んでくれたまえ。」


まさかのアドリブにメレスが顔を真っ赤にして平手を掲げてピーターを追いかける。

そして打ち合わせ通りユーラルさんが口を開ける。


「ジャミング機能ですか、、、

そしたらもう一度、、、

いえっ。なんでもありません。」


ユーラルさんの渾身の演技が決まった。

これで結界の中でユーラルさんがSOSを出したとは思われないだろう。


彼らが帰った後で俺たちはファルス先生の家へ行き状況を報告した。

ちなみに今回のジャミング作戦はピーターがファルス先生に相談して決行された。

俺たちも夜中にピーターが訪れるまで知らなかったが、修行前からジャミングの開発が行われていたようだ。


ファルス先生は今回の話を聞いて悩んだ後で言った。


「念の為シェリルには言わないでおこう。」


俺は少しシェリルが愛しく感じられた。




戦闘までに2週間近くある。

だから俺たちはしっかりと準備を始めた。


まずは海神の迷宮で手に入れた素材を王立学園に運ぶ。

校長に迷宮のボスであるカルテラカルカの素材を渡す。

カルテラカルカは神話で海神が召喚したツノの生えた魚の魔獣だ。

校長はレア素材に目を輝かせて俺とメレスの鎧の製作を引き受けてくれた。

お金を払おうとしたが、卒業生からは受け取れないと断られた。


他のみんなも準備をしていた。

特にピーターは新開発の兵器があるらしい。

「当日のお楽しみなのだよ。」

と怪しい笑みで言っていた。



一週間前になり薔薇組のメンバーで会議を開いた。

カイルは険しい表情で話し出す。


「城内から2度も霊族に襲われているのに何も行動をしないのはタイガルドの名折れだという意見が出ている。

ましてや今回の襲撃では死人も出ているんだ。

僕も王として見過ごすことができない。

みんな力を貸してくれないか。」


「もちろんだよカイル。

戦わなければまた襲撃を受けるのが目に見えてる。

今、叩くべきだ。」


「僕もそう思うのだよ。」


みんな打ち合わせ通りに賛成する。

が、しかし我らの不確定要素が動く。


「まずは話し合いって訳にはいかないの?」


シェリル、、、。

まぁ説明してない俺たちが悪いんだが。

でもこういう議論が出た方が自然体でいいかもな。

アドリブでファルス先生が答えてくれる。


「話し合いでは意見が割れるのが明白だ。

向こうの要望は仲間になれってことだからな。

俺たちは仲間になるつもりはないだろ?」


シェリルは下を向いて、

「でも、、、」と言って黙ってしまった。

なんかごめんよシェリル。


その後は打ち合わせ通りの議論が進み各国の王達に書状を書いた。

カイルと俺たち王子と王女、英雄ファルスの連名で。


内容は、

霊族より攻撃を受けている。タイガルドはそれに対し報復の兵をあげる。救援の必要なし。


ヴァリス教から情報が漏れる事が怖いので各国の助けは受けないようにした。


カイルはこの書状をすぐ届けてもらうようにユーラルさんに手渡す。

ユーラルさんが部屋を出て行き、ピーターが監視が解けたことを確認してシェリルに説明。


「えっ!?なんでわたしだけ、、、

確かに嘘つくのは苦手だし、緊張してセリフとかいえないけど、、、

仕方がないか、、、」


シェリル本当にごめんね。

そのシェリルが続けて心配事を口にする。


「でも戦争になるんだよね?

人を殺さなきゃいけないんだよ?

みんな大丈夫なの?」


それに関してはみんな考えていた。

だから下を向いて暗くなる。

俺だって怖い。

だがヴァリス教と戦うには必ず通る道となるだろう。

その覚悟をしなくてはいけないと話そうと思ったらピーターが先に話し始める。


「その点は今回は心配ないのだよ。

実は…………」




決戦まであと1週間。

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