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鬼の王子の異世界留学物語  作者: 田ノ島夜
第4章 リックス 大森林探検編
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またもチートパーティ快進撃

まさかの反則的行為で97階までエレベーターで登って行った俺たちは辺りを見回した。

そこには下りの階段と次の部屋に進む入り口があるだけでエレベーター装置はなかった。


「帰りはどうするんだろ、、、」


シェリルが言ってからこの状況の恐ろしさに全員が気づいた。

たしかに我々には96階分の迷宮探索をする備えが無いのだ。

しかし今日は輝いているゴーグル君が教えてくれる。


「魔力が強くてぼやっとしか分からないけど、最上階にもさっきのと同じような装置があるのだよ。」


俺たちはホッとすると入り口へと歩みを進めた。


そこは迷宮と聞いて想像していたような狭い通路が続く迷路ではなく、だだっ広い大きいフロアだった。

これを見て50階の覇者であるファルスが分析を始める。


「これは10階ごとにくるボスの部屋に似ているな。」


それを聞いてピーターが魔眼で確認してくれる。


「うーむ、、、最後の5階は全てワンフロアだからボス続きなのかもしれないのだよ。」


しかし見渡してもボスがいないので、みんな出口へ歩き出したが、シャナが手をかざして全員を静止する。


「部屋の一番奥の右の角から甘い匂いがする。」


するとピーターがゴーグルを外してよく確認する。


「魔力まで偽装する魔物なのだよ。

気づかないところだった。

熱感知に切り替えたら大きな蜂の巣があるのだよ。

幸いまだあちらは気づいてないのだよ。」


「ハチか。焼き払いたいな」


そう言ってファルスがシェリルを見ると彼女は得意げに腕を捲りながら言った。


「あと一発なら残ってるよ。

そのあとは休憩必要だけどね。」



こうして俺たちはまたシェリルの殺人魔法に頼る事になった。

念の為またルルの支援とソウの風魔法も使う。

ピーターが指で詳しい位置を教えた。


「炎よ、穿て!!」


炎の列車が見えない蜂の巣に直撃して大爆発した。

人間の身長ほどある巨大なハチが炎に焼かれながらボトボトと落ちていく。


「大成功だけど、なんかちょっと罪悪感が、、、」


シェリルは複雑な笑みを漏らしていた。


火が燃え尽きると黒焦げの地面の上に大量の魔石が姿を現わす。

これだけで大金になるし魔力の回復もできるので、近接戦に参加しないルルとシェリルとピーターに持てるだけ持ってもらう。

かなり重い筈なのに「いい研究材料なのだよ」とピーターは文句を言わなかった。




奥の扉から上階に上がるとやはりまた同じようにワンフロアになっていた。


しかし今度のフロアは地面に何百という大量の剣が刺さっていた。


意味が分からないので辺りを見渡すと、上階に続く出口には目で見えるほど分厚い魔力の壁が貼ってあり、その上にはまた読めない文字が書いてあった。

みんなシャナの方を向く。


「諦めぬ心を持つ者に宝剣を授けるって書いてあるね。」


何かしらのヒントのようだが何を諦めなければよたいのだろうか。

そんな事を考えていたらソウが無数の剣に近づいて行った。


「いやっ、どれもすごい剣だ。

剣の国でもここまでの物はなかなか、、、」


と言いながら剣の一つに手を掛ける。

すると黒い煙が立ち上がり、それは徐々に人型を作っていき鎧の騎士となった。

鎧から覗く目の部分を見ると中が空である事がわかる。


鎧の騎士はソウに斬りかかる。

が、ソウはそれを軽く刀で受ける。

ソウの剣の腕前はファルスの授業でいつも見ている。

彼のレベルからすれば今の斬撃は確かに物足りない威力だ。


ソウが攻撃を受けている間に俺とメレスが殴りかかる。

メレスは胴で俺は頭を殴りつけ、鎧の騎士はバラバラになった。

コトンッと魔石が一つ地面に落ちる。


もっとヤバいトラップだったら死んでいたかもしれない。

ここは少し強く言おう。


「ソウ、今のは不注意だぞ。」


「かたじけない。。。

ただ、この中から本物の宝剣を探すのを諦めるなという事なのだろうか。」


このフロアに何百と刺さっている剣をみて誰もが途方に暮れていた。




「たぶん、、、アレじゃないかな?」


声のする方向を見るとルルが指を指している。


「宝剣かは分からないけど、あれだけ邪悪な気配がしないよ。って妖精さんたちが言ってるんだけど。」



もうルルの言葉に頼るしかないので、ファルスが剣を抜く準備をして俺とメレス、シャナ、ソウが構える。


ファルスが一気に剣を引き抜く。


すると周りにあった無数の剣がチリとなり出口の魔力壁も無くなった。


「これは凄まじい剣だな。」


ファルスは宝剣と呼ばれていた物をじっくり眺めている。

確かに素人の俺でも凄い業物だと分かる。


「おお!この剣に埋め込まれているのは白色種の魔石なのだよ。

でもセーフティが掛かって取り外せないからリックス君にあげられないのだよ、、、」


ピーターは落胆しているが、ファルスは喜んでいる。


「これは俺が貰っていいか?」


みんな顔を見合わせるが、剣を使うのはソウだけだ。


「俺は刀しか使わないから問題ないですよ」


そうして宝剣はファルスに引き取られた。



他のダミーの剣があったところには代わりに魔石が落ちていた。


もう魔石は持てないと思ったが、ルルが疲れるから嫌だと出し渋っていた一時的に物質を軽くする魔法でもっと持てるようになった。



そして99階に行こうとした時、それは聞こえた


「ガゴオォォォォ!!!!」


上階から鼓膜を破るような大きな威嚇の鳴き声が聞こえた。



「この感覚、、、

恐らく99階がこの塔の主だな。

みんな少し休憩してからいくぞ。

次が正念場だ。」



俺たちは緊張の面持ちで次の戦いに備えた。

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