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鬼の王子の異世界留学物語  作者: 田ノ島夜
第4章 リックス 大森林探検編
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絶対なる力

俺、メレス、シャナはファルス先生の指示をしっかりと頭に入れる為、真剣に話を聞く。


「ここから戦場には分かれて行こう。

俺が南、シャナは北、メレスは西でリックスは東に展開する。

位置についたら俺の合図で3人が襲いかかり、その状況を見て俺が仕留める。」


ファルスは下に落ちている石を使って分かりやすく教えてくれた。

そして説明を続ける。


「しかしそれは戦闘が続いていればだ。

エルフ聖騎士のジェラードは女王の盾と呼ばれている最高ランクの騎士だ。

負ける事はないだろう。

だからもう決着をしていれば顔を出さずに退散。

ここにもう一度戻って来い。

じゃあ展開しろ!」


その合図で俺たちは戦場を取り囲むように展開した。

茂みの中を音をなるべく立てずに走り、戦いの場が見渡せる位置に着く。

そして物陰から覗き込む。


そこには10人ほどエルフの負傷者が倒れていて、5人くらいが魔法を駆使しながら戦っていた。

戦っているエルフ達は誰もが一級の戦士だと見て分かる。


しかしだ、敵の男の前ではその輝かしさも全く意味のないものだと感じてしまう。


その敵は俺の知っているそのどれとも違う雰囲気を纏っていた。

顔につけた顎だけ出ている面が特徴的な紫色の甲冑を身につけている。

ファルスを軽く超える長身。

見るからにしなやかそうな細身の体。

しかしただ細いだけでなく、盛り上がったふくらはぎはスピードを武器に戦えることを証明している。


この男は強敵だ。

作戦を中止するべきか、、、

しかしファルス先生以上の兵士などそうはいない。

俺が知っている中ではバルガンくらいだ。

ここは先生を信じて作戦通りいこう。


だがもし3人で突っ込んだ時にメレスとシャナに攻撃が向いた際は彼女達は俺が守ろう。



そうやって心の中で決意した時だった。


南側から突然、ファルスが出てきて敵に斬りかかった。


敵の大男はその斬撃を軽く手で受け止める。

あのファルスの驚異的な斬撃をだ。


「みんな出て来るな!逃げろ!!

敵は無傷、そしてジェラードがそこに倒れている。

こいつは異常だ!!」


そう言うとファルスは炎を体の周りに纏い、無数の太いムチで叩きつけた。


が、敵はそれを全て凄まじいスピードで避けながら近づいていき、最後の一撃を手のひらで払いのけて打ち消すと、その反対の手でファルスの首を掴んだ。


ファルスから離脱を指示されていたが、なぜか俺は大丈夫だと思った。

俺は自分の本能を信じて茂みから飛び出る。


気づかれないように、しかし最速で走っている最中、敵がファルスを見てボソッと一言喋った。


「ん?お前は、、、」


一瞬できたその隙をついて俺は拳を敵の顔面に叩きつけた。

当てる事はできたが、その勢いは体をいなす事で完全に殺され、交差する瞬間に掴んでいたファルスを投げつけられた。


俺とファルスは手足が絡まるようにして地面に転がった為、お互いが邪魔して受け身が取れなかった。


咳き込みながらすぐに立ち上がったファルスは敵に向き直る。

そして少し遅れて立ち上がった俺を怒鳴りつける。


「逃げろ馬鹿野郎!

授業じゃないんだ。本当に死ぬぞ!」


鎧の男はファルスに向かって言った。


「まさか、、、それは約束の子か?」


ファルスの表情が徐々に驚愕の色に染まっていく。


「なぜそれを知っている。

いやっ、違うな。約束の子とはなんなんだ。」


すると包囲しているエルフが叫ぶ。


「あの旗は女王の剣ガウエン様だ!」


茂みで全貌は見えないが、森の奥に赤と黒の家紋のような柄の旗が大量にたなびき、近づいて来ているのが見える。


鎧の男はその方向を見て少し考えた後、反応できないスピードで俺とファルスの間を走り抜けた。


俺たちの真横を通過する時に一瞬止まってこう語りかけた。


「迷宮へ行け。答えの半分はそこにある。」

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