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鬼の王子の異世界留学物語  作者: 田ノ島夜
第4章 リックス 大森林探検編
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いざ森林へ

俺たち薔薇組は休憩を挟みながら2時間ほど歩いた。

自分の荷物のほかにキャンプ道具は男性陣が担いで、その他の荷物を女性陣が交代で持って歩いている。


最初は軽かった荷物も時間が経ってくると少し重く感じてきた。


「リックス様。私が代わりにお待ちしますよ。」


肩こりを気にした時にメレスが気を利かせてくれた。


「ありがとう。でも大丈夫だよ。

他の男子が頑張ってるのに俺だけってわけにはいかないからね。」


ソウなんて修行とか言いながら俺の倍は持ってるからね。


そんな話をしていたら出発から文句ばかりのゴーグル野郎が近寄ってきた。


「ぼっ、僕のを頼むのだよ。

もう限界なのだよ。」


ピーターは体力で劣るのでもう限界のようだ。

しかしメレスは冷たい目でピーターを見ながら静かな拒絶をする。


「ピーター様は見たところ体の線が細過ぎるのでもう少し鍛えるべきかと思います。

頑張ってください。」


「差別なのだよ!

自分の旦那ばかりでなく周りにも協力するのだよ。」


旦那と言われたからかメレスの顔が赤くなり、ピーターに近づく。


「蚊がいます。」


パンッと乾いた音がピーターの背中で爆発した。


「痛い!痛いのだよ!!

リックス君。この鬼嫁をどうにかするのだよ!」


「今度はハエです。」


パンッ!!


それ以降はピーターは文句を言わずに歩くようになった。

ピーターの首元が少し赤くなっているのを見て、メレスを怒らせてはいけないと全員が思って歩いた。


日が傾いてきた頃、耳のいいシャナが嬉しそうに話し出す。


「水の音がするよ。きっと川だ!」


そして少し歩いた後、雄大な流れが光る川と大小の丸い石が敷き詰めてある美しい河原が現れた。


少しだけ座って休憩をした後、女性陣は料理を作り、男性陣はキャンプを張った。



今日の夕飯は歩きながら採取した素材で作ったスープと持ってきたお米で作ったおにぎりだった。

はっきり言ってそんなに美味しくないが、外でみんなで食べるご飯は特別だった。


食べながらピーターが話を始める。


「今回の探索で『白色種』の魔物が出たら仕留めてほしいのだよ。」


「ごめん。『白色種』って何?」


シェリルの質問におにぎりを片手に持ったファルスが答える。


「『白色種』っていうのは魔物の突然変異種でソイツだけ体が白いんだ。

ほとんど数はいないな。

俺も本でしか聞いたことない。」


「ウチは大森林で見たことあるよ。

蛇型の魔物だった。

綺麗だと思って見とれてたらいなくなっちゃったけどね。」


「やっぱり大森林なのだよ。

白色種は貴重だから見つけたら捕まえられてしまうのだよ。

だから滅多にお目にかかれない。

だけど未開の地が多い大森林なら会えるかもしれないのだよ。」


「でもなんで必要なのですか?」


もう夕飯を食べ終えたメレスが質問する。夕飯少なかったかな?


「魔物を倒すと魔石が取れるのは知ってるのだろ?

そして白色種から取れる魔石は特別な効果を持っているのだよ。

それを是非リックス君にプレゼントしたいのだよ。」


「リックス様に?」


「安心してくれ。僕は男色ではない。

君の旦那に好意があるわけではないのだよ。」


「あっ!蚊が、、、」


「じょっ!冗談なのだよ!!」


俺がメレスを制止してなだめると一瞬で遠くまで逃げていたピーターが帰って来ながら話を続ける。


「普通の魔石は元から石の中に宿っている魔力を取り出すだけだが、白色種の魔石は魔力を注ぐこともできるし取り出すこともできる。

ある程度の大きさがあれば体に負担をかけずに鬼化ができるマジックアイテムを作れるのだよ。

理論上はだがね。」


こうして俺たちの大森林探索の理由が一つ増えた。



みんなで片付けをしようとした時にピーターの背中からパンッと乾いた音がした。


「すみません。本当に蚊がいました。」

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