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鬼の王子の異世界留学物語  作者: 田ノ島夜
第2章 リックス 学園生活編
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狂気の街

上級集団戦術を履修しているカイルが立てた作戦はこうだ。

足が速くて戦闘力も高いソウとシャナが2人で学校まで走り、ジャン先生に助けを求める。

シャナには自慢の鼻で敵のいないルートを選択してもらい、ソウはそのルートがわかるように少しずつテーブルの上にあった唐辛子を落として貰う。


それを本隊で追いかける作戦だ。

ユーラルがタンク。その後ろのピーターが魔眼で罠の警戒。その後ろにカイル。カイルはその後ろのルルに隠蔽魔法で隠して貰う。後衛がシェリル。俺は遊撃を務める。


俯瞰で外を見れるピーターの合図でシャナとソウが窓から飛び出る。


それに続いて全員が出たところで、ピーターが叫ぶ


「みんな走るのだよ!

罠だ!後方からすごい数の敵が湧き出てるのだよ。」


全員が一斉に走り出す。


走りながら後ろを見ると鎧を着た骸骨が群れをなして走っていた。この上なく恐ろしい光景だ。


俺の前を走っているシェリルが少し速度を落とし俺の横に並び話しかけてくる。


「私が足止めする!」


すると彼女は俺の肩に飛び乗るような形でジャンプしてきた。

突然で驚いたが、俺は彼女のお腹のあたりをキャッチして抱えて走る。


「水よ!唸り狂え!」


彼女のかざした手から恐ろしい量の鉄砲水が噴射して骸骨の大半がバラバラになった。


「リックス君。ありがとう、もう大丈夫。

これ以上撃つと走れなくなるわ」


そういうと俺から飛び降りてまたシェリルは走り出した。


「しかし今ので大分足止めになりましたな」


ユーラルが後ろを向きながら安堵した表情を浮かべた時だった。


「ユーラルさん止まって!上なのだよ!!」


ユーラルの目の前に骸骨の戦士が上から降ってきて地面を砕きながら着地した。

後ろにいる骸骨より一回り大きく、両の手にはサーベルのような剣が握られていた。


「くそ!出たか!クイーン!カイル様、お逃げ下さいっ!!」


そう叫ぶユーラルに向かい、クイーン種は剣を交差させるように斬りかかる。


そこに隠蔽で姿が見えないカイルの絶叫がこだまする。


「リィーックスッ!!」


その声が響き終わると同時にユーラルの頭上を跳び越えていき、クイーン種に蹴りかかる。


クイーン種はたまらずその巨体を仰け反らせてバランスを崩す。

それを逃さず俺は一気に踏み込んで初撃の反動で開いていた距離を潰し、その勢いのまま顔面に摑みかかる。


馬乗りの状態で倒れこむと同時に掌に闇魔力を最大限に流し込み、頭と首を引きちぎった。


「なっ!なんとこんな、、、」


「止まらないで先を急ぐぞ!」


カイルの声で我に返ったユーラルは再び走り出す。


が、俺は走れなかった。

クイーンの亡骸に無数の黒い煙が集まっている。

そしてこれは背を向けていられるほど優しいものではないと本能が伝える。


煙は徐々に大きくなり扉となった。その観音扉が開くとそいつは出てきた。


クイーン種と大きさは変わらないが、顔には腐った皮がついている。

他の種のように鎧をただ着せられているのでなく、歴戦の戦士の物だと感じさせる。

そして左手に持っている大剣がその禍々しさを増長する。


「キング種だと?こんなもの国の一つの派閥が用意できる代物じゃない。一体どこが手を貸したのだ!!」


絶望を前に全員が動かないでいる。


しかし誰かがやらなくてはいけない。


、、、俺だ。


俺がやるしかない。そして静かに闇を纏った。

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