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鬼の王子の異世界留学物語  作者: 田ノ島夜
第2章 リックス 学園生活編
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タイガルド騒乱

あの決戦から数ヶ月経った。

俺の学園生活は極めて順調だった。

大きな目標を掲げて共に戦った薔薇組のみんなは俺にとって大切な仲間となった。


闇属性の無詠唱と分かった俺は他の属性を習う意味が無くなってしまったので、鷲のジャン先生のユニークマジックの授業を受けている。

とりあえずの目標は、決戦の日にファルス先生が使っていたような体の周りに自由に魔法を展開させて戦えるようになることだ。

これがかなり難しく、ジャン先生の元で闇属性の研究と実践をして理想を目指している。


上級戦術の授業も今のところ誰一人として欠けることなく順調だ。

決戦の次の日は八つ当たりでみんなボコボコにされたが、全員が成長を実感できている。

俺も闇魔法を使いながら戦うのに段々と慣れていっているところだ。


俺とカイルとピーターは鬼化の研究もしている。

カイルとピーターが理論をぶつけ合い、それを俺が試してみて、ピーターが魔眼で確認しデータを取っている。

しかし、「本当の鬼化を見てみないと分からない部分が多いのだよ。」とピーターは毎回ぼやいている。



そして今日は月に一度の薔薇組食事会の日だ。

名付けて先生が奢る会だ。

街にある焼肉屋で待ち合わせしていたが、ユニークマジックの授業が長引いて少し遅れてしまった。


急いで店に入ると生徒は全員いたが、先生の姿が無かった。


「あれ?先生は?」


俺がみんなに聞くと、もう肉を焼き始めているカイルが答えてくれた。


「さっき、学校に王国からの使者が来てファルス先生を連れて行ったよ。

終わったら後で遅れてくるみたいだ。」


「ファルス先生が城に行くなんて珍しくない?」


前にちらっと聞いた事があるが、先生は国に関わると戦争に出されるから顔も出したくないと言っていた筈だ。


「国の使者は来週にある僕の誕生祝いのパーティーの警護の件って言ってたな。

ファルス先生が呼ばれたって事は君たちも呼べるのかもしれない。」


「えっ?カイル君誕生日なの?

じゃあ今日は盛大に前祝いだね!

念のため食事会のお金はパパから預かっておいたし。」


シェリルがお財布を抱えてニコニコしていた。

そもそも彼女は父親が他の子にたかられて嫌じゃないのだろうかと少し疑問に思う。



そんなことを考えながら席に着くと遠くからガシャ、ガシャ、という音が聞こえてきて、焼肉屋には似つかわしくない鎧の男が入ってきた。

入ってくるなりカイルに跪き頭を下げた。


「カイル様。お久しぶりでございます。

ここにいらっしゃったのですか。」


「ユーラル。どうした。お前がここにくるなんて。」


後で聞いたが、カイルにとってユーラルは俺にとってのバルガンのような存在らしい。

彼はカイルに何か伝えようとしたが、俺たちの存在を気にして困った顔で見回した。


「この者たちは私の信頼できる兄弟のような存在だ。気にせず話せ。」


「はいっ。突然のご報告で申し訳ございませんが、国王様が逝去されました。

国が不安定になります故、カイル様に万が一の事があってはいけないので、このユーラルが護衛に参りました。護衛の計画をファルス殿と話したいのですが。」


、、、、


「さっきファルス先生は僕のパーティーの件で城に呼び出されたぞ。」


「いえっ!まさか!今年のパーティーは国王様の状態を考えて中止に、、、まさかっ!」



「あぁ、罠だ。ファルス先生という絶対の戦力を削がれたな。」



こうして俺たちはタイガルド王国の闇に引き込まれていくのだった。

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