カイル=タイガルド
「リックス君は授業どれにするの?」
ちょうど席が隣ということもあり、シェリルはよく話しかけてくれる。
しかし俺は彼女と話す時にライオンが茂みから狙っているような気配を感じてしまうので、心の底から女の子の友達ができたと喜べていない。
そして彼女は少し話す時に近いのだ。
俺はまたドギマギ病の持病が、、、
「とっ、とりあえず君のお父さんが教えている戦闘術の授業は取るよ。。。
あとは初級魔法の授業かなぁ?鬼、、、田舎だと魔法使える人がいなかったからね。」
「そっか。私は上級魔法に初級戦闘術だから一緒の授業は少なそうだね。
まぁ、リックス君の強さを目の当たりにしてる私からすると同じ授業を受けるのは怖いくらいだけどね、へへへ。」
少しはにかんだシェリルはとても可愛かった。
上級戦闘術の授業を受けるためにシェリルと別れて闘技場に向かっていると、クラスで目立っていた上流階級っぽい男に話しかけられた。
「いくら田舎でも、人々が全く魔法が使えない場所は鬼族の王国しかないよ。鬼の王子様。」
彼は一流の雰囲気から堅物に見えたが、思ったよりフレンドリーに話しかけてきた。
しかし家柄の紹介は無しという話があったので返答に困っていると、彼は黄土色の髪に手を当てながら可愛い笑顔で話を続けた。
「失礼。さっき先生の娘さんとの会話が聞こえたからもしかしてと思ったんだ。
鬼族の王子が来るとは父から聞いていたしね。
僕の名前はカイル=タイガルド。
僕も王子だから君とは自己紹介したいと思ってさ。」
「そっか。俺はリックス。
鬼族の子供として育てられた人間だ。
こっちには留学しに来てる。宜しく。」
「こちらこそ宜しく。
僕もせっかくだからファルス先生の上級戦闘術を学ぼうかと思っているんだ。
ついていけるか不安だけどね。」
そうして俺たちは闘技場に向かった。初めて人間の男友達ができた。
この出会いが後に世界を大きく変えるとは、この時の俺たちは思いもしなかった。




