甦れリバースメモリー
入学式が終わり寮を案内された。
男子寮の場所は校舎から少し離れていた。
そして反対側に同じくらい離れて女子寮があるらしい。
部屋はベッドと机が置いてあるだけの簡単なものだった。
豪邸に住んでいた俺には少し閉塞感を感じさせるものがある。
寮に荷物を置いて校舎に戻ると、クラス分けが発表された。
なになに?リックスは、、、
薔薇組だ。さくら組とかもあるのか?
俺は男役希望で薔薇組のクラスに入ると、癖の強いメンバーが座っていた。
坊ちゃん刈りで真っ黒のゴーグルをしている細身の男、
お昼寝してる天然パーマの女の子。
木刀を脇に差している坊主の男。
スポーツ女子的な活発そうな犬耳の獣族の女の子。
そして佇まいが一流さを物語っている人間の男。
そんな中の一人が笑顔で話しかけてきた。
「君もこの学校だったんだ!」
ドッグポートで助けた少女がそこにいた。
たしかシェリルだ。
「ドッグポートの件はありがとう。えっと、、、」
「リッ!リックス。
田舎から来てるから苗字はない。よっ!よろしく。」
次会ったときの挨拶を考えていたが、いっきに吹き飛んだ。
恨むぜ鬼族よ。俺に女性への免疫をくれ。
「おいおい。やっぱり校長に無理言って娘の担任にして良かった。
もう口説かれてるのか。
リックス君はもう退学かな?」
金色のライオンが現れた。
彼はニタニタしながら俺に突っかかってきた。
確かにシェリル=ザルバーグか、、、娘ってこの子だったのね。
間違えても手は出さないようにしよう。
腕を切り落とされそうだ。
「やめてよ!パパ!リックス君。気にしないで席につこう。」
みんな揃ったようで担任が通る声で言った。
「みんな!この薔薇組を受け持つことになったファルスだ。
基本は卒業までの4年間同じクラスだ。
このクラスではみんな平等の精神で、家柄の紹介とかは無しにしよう。
みんな兄弟のように仲良く支え合ってくれ。」
さっそく娘だと脅してきたくせにとは思ったが、何も言わなかった。
「毎朝ホームルームをクラスで行う。
その後は各自の受けたい授業を選んで受ける。
その授業を選んでもらうために、、、」
先生は丁寧にこれからの流れを説明してくれた。
どう見ても現役の戦士だが、本当に先生なんだなとやっと実感した。
「あと、このクラスには課題をひとつ与える」
少しの静寂の後に彼は俺たちを睨みつけて言った。
「どんな手を使ってもいい。卒業までに俺を倒してみろ。卒業資格をくれてやる。」
やっぱり戦士じゃねぇか。




