モンスターぺアレント
いよいよ入学式という事で魔王様専用の船で虎大陸の港町ドッグポートへ戻ってきた。
前回来た時は活気があったドッグポートだが今回は物々しい雰囲気だ。
まるで魔王でも来るかのような、、、
船から降りて上陸の手続きが済むと大きな馬車へ案内されて乗り込んだ。
護衛が一人付くとのことで待っているとハゲ鷲じゃなくてジャン先生が父に挨拶をして共に馬車に乗り込んだ。
「鷲の男が護衛なら安心だな。
それに俺が悪さしても止められる。いい人選だ。」
魔王様は満足そうに馬車に揺られながら言った。
「とんでもございません。
護衛の役目は問題ないですが、あなたを止めるのは私どころか人間族だけでは無理でしょう」
先生は少し緊張した声でそう言った。
「ほう。では我を止めるには人間族以外も使ってどうする?」
「本気で止めるのであれば人間族と獣族の精鋭が剣と鎖を使って撹乱し、長距離から人間族とエルフの魔法を打ち込み続けます。
しかしそれでもこちらの被害は甚大でしょう。
ですから何卒暴れないで頂きたい。」
え?うちの父ちゃんそんな強いの?絶対に怒らせたらだめじゃん。
「ハハハッ!まぁ、息子の先生になる男にそんな迷惑はかけまい!
安心して護衛の任務を遂行してくれたまえ!」
そんな話をしていると物々しい雰囲気に包まれた学校が見えてきた。
本当は華々しい入学式のはずが、、、みんなすまん。
学校の目の前に到着し馬車を降りると次から次に偉そうな人たちが父に挨拶をしてきた。
恐らく学校ではなく王国側の人間が代表して父へ言った。
「陛下。特別席をご用意しております。こちらへ。」
膝をついて丁寧に挨拶をしたが、魔王は気に入らないご様子だ。
「生徒達に身分の差が無い素晴らしい学園なのに親に対して違いがあってどうする。
私は一般の者として参加させて貰う。
それ以外に私達の入学式は無い!」
「ヒィ」と小さく叫び奥にいた爺さんが怯えて震えだした。
これ以上の言い争いは避けたいのか、有識者会議が始まった。
「どうする。一般は生徒達の後ろの遠くて低い場所の席だぞ」
「来賓の席を一段上げているのを壊そうか、、、」
「校長はどうする?一番高い位置で座るぞ。一度魔王様に挨拶してからなら問題ないか?」
、、、、
「特別扱いをするなと言っているのだ!!普通の保護者として接しろ!!」
さっきの爺さんは失神した。
そんなこんなで父は他の父兄と同じ席で出席することが決まった。




