1.借金星
VRMMORPGの新作。
ネーミングセンスがないのはご愛嬌。
あーまったく。
そう言って俺はゲームのコントローラーを投げる。夏休みだってのに全然集中できんなぁ。いや、ゲームがですよ。勉強?知らんなぁ。
今俺は昔ながらのピコピコ、もといレトロゲームという物にハマっている。なぜなら、俺の最近やっているゲームが面白すぎて、徹夜で2日くらいやってたら、気づいたら朝!なんて事が3回程続いたから、流石にやり過ぎかぁとか思って、違うゲームを開拓しているのである。そんな俺のモットーはゲームは1日1時間…ではなく同じゲームは3徹が限度!である。
はぁー。もうそろそろいいかな。そう思って俺は自分の部屋へと戻る。そして、自分の目をすっぽり覆うアレをかける。
そう、俺が今ハマっているゲームはVRMMORPGのInfinity Star Worldというフルダイブで自分だけの星を作ろう!というコンセプトのゲームだ。俺は電源を起動すると、もう見慣れたログインのボタンを押す。
はー今回は何徹なんだろかなぁ。なんて事を思っているとゆっくり俺は俺が作った星へと近づく。ん?なんか俺の知ってる動きじゃない!?本来なら神様のように雲の上から都市の発展や人々の日常が見れるのに………
俺は星に近づき、というかほぼ落ちながらログアウトボタンを………ってねぇ!!!!ログアウトボタンも、星発展レベルも、他の人の星も見れねぇ!まずメニューボタンがねええええええぇぇぇぇ!!!
そうして俺は星になった。
イタタタ…って痛くは無いな。今の状況を把握しよう。俺は地面に立っている。!?有りえん。Infinity Star Worldで地面に触れる事は出来ないはずだが…
「星王さまぁ〜!ここにいらっしゃたのですか。公務の時間ですぞ。さあ城へお帰りになって下さい。」
「セーオー!?お、お、俺!?」
「?それ以外誰がいるのです?さあ戻りましょう。」
「あ、ああ。そ、そうだな。」
こ、これはアレだなそんなイベントが追加されたのかーははははは。妙にリアルだが俺の知らない間にアップデートがきたんだな。うん。そうに違いない。
ーー城。
なんて事だ。俺がデザインしたサミット城が見事に再現されている。ネーミングセンス?気にすんな。凄い!ここの中に入れるようになったのか。か、感激だーーー。
「ここにお座り下さい」
連れて来られたのは城の中の書斎っぽい場所。公務と言っていたがどんなクエストだろうか。
「こ、これが今年度の予算です。」
緊張した面持ちで取りだされたのは1枚の紙。そこには、
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天安元年予算案
支出:サミット城建築:95000000000文
星旗作成:3500000文
領民農具:500000000文
道路舗装:120000000000文
整地費用:5000000000文
公共機関運営:2500000000文
合計:223003500000文
歳入:ログインボーナス!:30000文
税収入:500文
合計:30500文
計:−223003464500
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「なんじゃこれえぇぇ!」
俺は思わず、紙を引き裂いた。なんなん?これ無理ゲーじゃん!!借金多っっ!!これ返済すんの!?
この星こんなヤバかったのか…あんなにニコニコ世間話しをしながら裏でこんな事があったのか…
いいだろう!俺が!この俺が!このしおん星を!超強大な星にしてやるっっっ!!
こうして、成田 市温のしおん星は更なる発展へと続く。
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