四章 仲間初の女性
登場人物紹介
荒墮 瞬時
二十五歳 誕生日 五月五日
個性 瞬間移動
髪の色 茶髪
止時を拐った中の一人。自分の学校等の詳細は話してくれないので謎が多い人物。
三人目の仲間が出来た。順調と言っても過言ではない。
『何処がだ?』
『お前は黙ってろ。神。』
『本当俺には当たりキツイよな〜。』
『うっさいわ!』
と、神に茶々を入れられたが、まぁ順調と言えば順調ではある。これは嘘じゃない。本当の事だ。
「さぁ、急ぎますよ。四人目を見つけに。」
「そうだよ兄さん!」
弟と瞬時が急かす。
「わかった。」
俺はため息を付く。
だりぃ。
瞬時は空を飛んでいる俺に追いつけるが弟は俺に追いつけない。
俺達四人(神含む)は新たな仲間を探しに十分くらい移動した。
俺達は一休みをする為に陸に降り立ち、木を切り椅子にする。
俺と瞬時が獲物を取りに行く。そこにひとつの人影があった。
「誰だ?」
瞬時が一際警戒する。
「怪しいものじゃありません。」
瞬時の言葉に返事をする人物。声を聞くだけで性別がわかる。女性だ。俺より数センチ身長が小さい女性だ。
「貴方達の事は知っていますよ。龍神さん。瞬時さん。ですが、弟さんの止時さんが見つかりませんね。彼は何処に?」
「向こうで少し休んでいる。高い所が苦手で調子を崩したようだ。」
俺は警戒しつつ冷静に答えた。
「そうですか。あと、そんなに警戒しなくても何もしませんよ。」
『・・・・・・なぜ分かるんだ?』
「そりゃあ、皆が教えてくれるからですよ。神様。」
俺以外には聞こえない神の声が彼女には聞こえているみたいだ。
「お前。個性はなんだ。」
「魔法です。」
魔法。そこまで便利ではない。と思う。
「ちなみにどんな個性なんですか?」
と瞬時が問おうと彼女は言った。
「空気宙の微生物や皆には見えない妖精や霊と言の葉を交わすことが出来ます。あと神とも会話をすることができます。」
『割と便利そうな個性だな。』
『貴方の方が便利ですけどね。』
女性は脳に直接話しかけることも出来るみたいだ。
「まぁそんな事はどうでもいい。お前。行く宛が無いなら俺達と一緒に龍殺しを手伝ってくれないか?」
「・・・そうですね。行く宛もありませんし。分かりました。手伝いましょう。」
とあっさり了承を貰えた。女性なら絶対嫌がるだろうと思っていたが。
「あの、その前に一つ・・・」
「ん?どうした?」
「貴方の今の実力を見せて下さい。」
「ーーーは?」
今の実力。と言われても。妖精達から情報は流れてくるはずだ。
「何故?」
俺は聞く。
「少し興味を持っただけです。あと弱い人だとすると龍殺しなんてまず無理ですから。」
面倒くさいことになって来た。
「ーーー誤って殺してしまうかもしれんぞ。本当に良いのか?」
「その時はその時です。それに新たな仲間を″殺す″なんて事は貴方ならしないはずです。」
「・・・・・・わかった。だがかすり傷は負うかも知れんぞ」
「すぐ治りますよ。」
「じゃあ。行くぞ。」
俺はあえて見た目を変化させず人の血に少し龍血を混ぜた。これだけでもただの人間は一撃だ。
女性は何もしない。
俺は勢い良く接近し、腹を殴った。手応えはあった。はずなのに女性は何一つ先程と変わらない。
「本気で来てください。それともそれが貴方の限界ですか?」
本気で来いとの御所望だ。
「なら、今出せる本気で相手をしよう。」
「辞めるんだ。龍神。」
瞬時が止めに入る。が。俺も女性も止まらなかった。
俺は本気の拳を顔に目掛けて打つ。その直後。女性は魔法で俺を縛る。
「動きが遅いですよ。これでーーー」
女性は言葉を途中で中断させた。何故ならそこには俺の姿が無かったからだ。
『まさか。後ろ。』
女性は振り向く。だが女性の体は縛り付けられているかのように動かない。
何故なら俺の拳が死を招く最凶の凶器に見えたからだ。
俺は殺す気は無かったため、寸止めをした。だが拳の勢いが強すぎて風が女性を傷つける。女性は勢い良く後方に吹き飛ばされ、木にぶつかり木と同時に吹き飛んだ。
俺は女性を助けに行った。女性は気絶し、顔に軽い切傷が付いていた。
弟は俺のパンチの威力で鳴り響いた重音に気付き、様子を見に来た。
「ねえ、今凄い音したけど大丈・・・夫・・・?」
弟は余りの光景に目を疑った。
木々はへし折れ、草は荒れ、大地が裂けていた。
「これ、瞬時さんがやったの?」
「違う。やったのは貴方のお兄さんですよ。」
「これを、兄さんが?」
ここまで行けばもう人間を超越している。個性を貰ってからその時点で人間を超越していると思っていたが。これはもう龍Lvだ。
「あ、弟!どうした?」
俺は女性を姫様抱っこで運んだ。
「兄さん!その女性だれ!?」
「うるさいな。さっき仲間にしたんだが、俺の本気の力を求めていたから顔寸止めでパンチしたんだ。したらこの有様だよ。」
大地も女性も満身創痍だ。
取り敢えず女性の面倒は弟に見させて俺と瞬時は食べ物を探しに出かけた。
「・・・・・んん・・・ん?」
「兄さん。起きたよ。」
弟が俺に言う。
「そうか。」
俺は静かに答える。
「わ、私は一体」
「俺の拳でかなりの風が生まれたんだよ。ほれ、後ろ見てみぃ。」
今はもう夜の為、持ちやすく削った木に火を付けて女性に渡した。
「・・・!!!」
女性は言葉を失くした。
「そりゃあ驚くわな。弟も驚いたんだからな。」
「これはもう人間と言うより化け物ですね。」
「お前以外と酷いこと言うんだな。可愛い見た目の割には。」
その言葉に女性は顔を赤くした。俺は恥ずかしさを堪えて女性に肉を渡す。それから俺は問う。
「お前、名前は?」
「美紗希 魔魅です。」
「良い名前じゃねぇか。」
それから俺達は沢山今までの事を話し合った
「・・・・・さん・・・・神さん・・・・・龍神さん。」
「ん、んん?」
「朝ですよ。起きて下さい。」
魔魅はどうやら朝に強いらしい。
「二人を起こすのを手伝ってください。」
俺と魔魅は二人を起こした後、俺は近くに川がある事に気づいて、そこで顔洗いと朝飯を調達した。
「起きたか?お前ら。」
「なんとか。」
弟が俺にそう答えた。
「お前らも顔洗ってこい。今日は魚だ。」
俺は昨日沢山余っていた木を一箇所に集めて火を付ける。予め削ってあった串に魚を刺し、焼いた。
瞬時と弟が帰ってきた時に丁度魚が焼きあがった。
「お前ら遅かったな。何してたんだ?」
「ちょっと水切り。」
「まぁいい。食え。」
俺は瞬時と弟に魚を渡した。
「お前も食べろ。魔魅。」
魔魅にも魚を渡した。
ふと魔魅は気づく。
「あれ?龍神さんの分がありませんが。如何してでしょう?」
「俺は昨日沢山食べたから腹いっぱいなんだよ。それに個性のおかげで半日は食べずに済むから。」
「朝は食べないとダメです!」
魔魅は真剣な顔で言う。
「だから・・・・・・これ・・・・・・」
魔魅は顔を赤くしながら魚を差し出してきた。俺も顔を赤くする。
「あ、ありがと」
俺は魔魅から魚を貰う。
ふと瞬時と弟を見た。
二人はこちらを見てニヤニヤしている。
「な、なんだよ。」
「お似合いだよ。」
「お似合いですよ。」
二人は同時にそう言った。
「う、うるせえ!」
と俺は言って半分くらい残っていた魚をほうばった。
食べ終わった直後。魔魅が何者かと会話をしている。多分妖精だろう。
魔魅が会話を終えてこちらを見る。
「これはまずいことになりましたよ。」
俺と瞬時と弟は衝撃の事実を言い渡された。




