十一章 リメイク・ザ・world
嘛籠囉哦驘爐について
嘛籠囉哦驘爐は五千年前に存在した最凶の怪物。
神と惡魔でも手が負えず世界の九割を呑み込んだ今までで一番最強の生き物だった。五千年前の人間は嘛籠囉哦驘爐のことをこのように書き記した。
「黒き鱗を身に纏い、赤眼を持つ。人の体になることも簡単。嘛籠囉哦驘爐は神と惡魔と人間と龍の力を持ってしても殺すことは出来ない。奴を封印するのに神と惡魔と人間と龍を合計で五億体もいったのだ。奴はこの世界の破壊者であり、創造者でもある。」
「龍神。あんたをこのまま生かすわけには行かない!今ここで死になさい!!」
赤狃の言葉が発する事に大きくなっている。
だが今の俺はそんな事を考えてはいない。
《《《殺・ス・・!!》》》
俺は気迫だけで赤狃を十五メートル離す。
「き、気迫だけで!龍神。お前は一体何者なんだ。。。」
今の俺は誰にも止められない。赤狃を殺すという使命を果たすまで。
『何も考えたくない。赤狃を殺す。それだけに専念する。奴を・・・・殺す!!!』
《《《《ア″ア″ァ″ァ″ァ″ァ″ァ″ァ″》》》》
俺は赤狃を殺すことを躊躇うことは出来ない。いや、絶対に躊躇うことはない。
《《《《《《壊ス壊ス壊ス壊ス壊ス壊ス壊ス壊ス壊ス壊ス!!!》》》》》》
俺は赤狃の元へ向かう。
赤狃は攻撃が飛んでくると思ったのだろう。腕をクロスにして前に回す。
俺はその事を見越したように後ろに回り込む。速度は音速を越す。俺は全てがスローになったような感覚を覚える。
赤狃はすぐ様翼でガードを図る。だがこちらの方が上手だったようだ。背中に大きな傷が出来る。
《《《コノママ、死、ネ》》》
俺はもう一度赤狃へ接近する。だが俺の眼から赤狃が消えた。左後ろに邪悪な気配がする。赤狃だ。俺の首が吹き飛ばされる。
「ふぅ。これで龍神の始末は終わったわ。」
《《《誰ガ終ワッタダト?》》》
赤狃は驚き、こちらを見る。
「な、なんで、生きて、」
赤狃は嘛籠囉哦驘爐にあったことがない。ここにいるものは全員あったことがない。だが、俺は知っている。嘛籠囉哦驘爐のことを。
《《《俺ハ誰ノ攻撃モ効カナイ。オ前ナド軽イ。》》》
今喋っているのは俺の意志ではない。俺の中に潜む最凶の怪物だ。
これで俺は確信を得た。
『俺は嘛籠囉哦驘爐の生まれ変わり。』
俺は体の力を抜いた。全てを体の中に潜む闇に身を委ねた。
身体が一気に軽くなった感覚がした。俺の意識で体を動かせる。先程とは変化が余りない。あるとすれば自分の姿だろうか。
下半身は服を着ている。上半身は服を着ていない状態だ。髪も逆立った状態だ。
身体全てが張ったようだ。
『なんだ?この体。筋肉まみれだ。しかも上半身は切り傷だらけ。左肩から右横腹にかけて深い、大きな引っかき傷がある。』
「喋り方も戻った。」
「ど、どう、なって、」
赤狃は混乱しているようだ。
「ここからだ。赤狃。覚悟しろよ。瞬時と魔魅を殺した罪は重たいぞ。」
俺は歩きながら言う。身体からは赤と黒と青が混ざったような色の靄が出る。
右足で床を踏むと草木が枯れ、左足で床を踏むと生き物が喚き倒れ、右足で床を蹴ると天の色が赤黒く染まり、床は砕ける。赤狃は俺が接近してくる事は分かっていたが速さには追いつけなかったようだ。
赤狃はギリギリ右腕で俺の左拳を防ぐことが出来た。だが、赤狃の右腕がなくなり、血が吹き荒れる。砕けた大地が赤く染まる。
「ぐうぅぅ」
赤狃は苦しみの声を挙げた。
「痛いだろう。苦しいだろう。だがお前が二人に与えた事は最も辛いことだ。」
俺はまた歩いて赤狃の元へ行く。
「こ、来ないで、来ないで!!!」
赤狃は左手で俺を振り払おうとする。
「人は恐怖には勝てないか。じゃあな。」
俺は右手を振り上げる。物体がなく、闇一つで出来た武器を右手に握る。
「これで終わりだ。さようなら。赤狃。いや、母さん。」
俺は音もなく右手の武器を赤狃に振り下ろす。
忽ち赤狃の体は真っ二つに別れ、土へと帰っていった。
「よし。これで一件落着だな。」
俺はそう思っていた。だがまだ仕事が残っていた。
『龍神。世界を治すのを手伝ってくれないか?俺達神と惡魔のみじゃ少々厳しい。お前の力があればすぐに世界は治る。手を貸してくれ。』
『了解了解。』
それから俺は神と惡魔に自己紹介をした後世界を治す手伝いをした。
あれから三、四日経過してやっとの事で世界を治すことが出来た。人の数は随分減ったがいない訳では無い。後は人間の力で何とかすることを祈る。
俺は三、四日前に激戦をした場所へと戻る。
あれで生き残っていた止時、再期、麻那子、破菜は元気になっていた。
「戻ってきたか、龍神。」
「世界は治ったの?兄さん。」
「あぁ。何とかな。」
麻那子と破菜は二人横に並んで立っている。
「師匠。あなたにプレゼントです。」
「喜んでもらえると嬉しいです。後ろの″者″としても。」
俺は疑問に思う。後ろの者とは一体なんなのだろう。
麻那子と破菜が同時に離れる。俺はそこで衝撃のものを見る。
「お久しぶりですね。龍神さん。」
「ま、魔魅。生きていたのか?」
「まぁ、何とか。」
麻那子がこんなことを言う。
「血を止めるのが大変だったんですよ。貴方が戦っているあいだずっと破菜と一緒に魔魅の手当をしていたんですよ。」
もう一つ気になることがあった。
「それは分かったが。何故負傷した右腕があるんだ?」
「それは貴方の、いえ、嘛籠囉哦驘爐の力ですよ。」
「嘛籠囉哦驘爐が?」
『嘛籠囉哦驘爐が人を助けるなど初めて聞いた。奴は人を殺すことはあっても助けたことはない。これはお前が嘛籠囉哦驘爐の器だから嘛籠囉哦驘爐はお前の助けたかった人間を代わりに助けてくれたんじゃないか?』
これに関しては嘛籠囉哦驘爐に感謝せざる負えない。
肩をぽんと叩かれる。振り返ると瞬時も生き返っていた。
「良かった。」
俺がホッとしていると魔魅がこちらへ歩いて来た。
「龍神さん。」
俺は返事をしようとしたが止められた。柔らかな感触が唇に触れる。魔魅の唇だ。
魔魅の唇が離れた後に俺は言う。
「これは大胆な。」
「これは戦いに勝ったからですよ。お疲れ様でした。」
「あぁ。これで本当に一件落着だな。」
世界はこの先人間の手によって戻っていく。
これで俺達の話は終わりだ。
「面白かったか?」
「お前の過去にそんなことがあったとは。」
あれから十数年が経ち、世界は昔を取り戻し、俺は新たな友が出来た。
「お父さん!お話終わった?」
「あぁ。終わったぞ。」
「相変わらず恵まれてんな。お前は。」
「まぁな。」
軽い自慢だ。
「貴方。この子達の面倒を見てください。それと蒙毅さんも。良かったらこの子達と遊んでいってください。」
「ありがとうございます。魔魅さん。」
「「「あそぼ!おじさん!」」」
「はいはい。」
俺は家庭を持った。これからは父親として三人を育てて行かない。
『世界とは苦難だらけだぞ?龍神。』
『分かってるよ。神。いや、尾蹶縷。』
十二章が最後になります。
あと一つありますので見ていってください。




