二章 これがホントのサバイバル!
「いない。」
あれからかなり飛んだが全く成果は見つからなかった。そこら中壊れた機械の様に静かになっていた。
今は街外れの森で一休みしている。
「腹減ったなぁ。」
朝遅刻仕掛けたせいか朝から何も食べていない。もう十二時半を回っていると神は言う。
そんなことはどうでもいい。飯を食べないといざと言う時には戦が出来ない。
「仕方ないか。この案だけは出したくなかったが。」
と弟が言う。
「案があるのか?」
「ある。でも、少し面倒くさいよ。」
「別に良い。飯が喰えるならそれで。」
「・・・・・・狩りだよ。」
狩り。ここは森。動物が居てもあまりおかしくない。
「早速狩りするか。」
だるいが仕方ない。飯を喰わなきゃ始まらない。
「さぁて、狩りの時間だ!」
俺は両脚両腕を龍に変え、獲物を探しに行った。
「もう、だからこの案は出したくなかったんだよ。兄さんが必ず先走るから。」
俺が獲物を探しに行った後弟は文句を言い、俺を追い掛けた。
スピード的には弟が時間を止めたとしても俺が上だ。弟が俺に追いつけるはずがない。
俺は弟より一足早く獲物を捕まえた。蛇を三匹程仕留めて弟の所まで戻る。弟は蛇を見ると
「え!?これ食べるの!?」
と驚いた。
「嫌なのか?」
「俺は蛇が嫌いなんだよ!」
「苗字に蛇入ってるのに?」
「それとこれとは関係ない!!」
「まぁ良いじゃないか。蛇はタンパク質が豊富なんだ。無理矢理にでも食わしてやる!」
「や、辞めてくれー!!!」
木を折り、一部を拝借して火をつけた。蛇を串に刺し、串焼きにして無理矢理弟の口にぶち込む。焼きたての為、弟は火傷をした。
「何すんだよ!」
「ハハハ。ごめんごめん。でも美味いだろ?」
「美味いけど。何か納得が行かない。」
そう文句を言いつつもしっかり蛇を完食する。
「ほれ、もう一本喰え。お前は少し痩せてるから喰って筋トレをしないとな。」
そんな賑やかな食事は長く続かなかった。
『おい、気を付けろ。近くに人の気配がする。』
『分かってる。でも遠いな。監視しているのか?』
『どっちにしろ気を抜くなよ。いつ襲われるか分からないからな。』
『了解。』
敵には十分注意していたのだがな。
飯を食べ終わった途端。弟も気配に気づいた。
「兄さん。」
「あぁ。敵だ。」
敵は先程より近くに移動していた。かなり近い。
「俺、確認してくる。」
「気を付けろよ。」
弟は敵を確認しに行く。もちろん、時間を止めて。
『まずいな。』
神が何かを察したらしい。
『どうした?』
『弟。捕まったぞ。』
『・・・・・・時間を止めているのに、か?』
『そうだ。多分敵の個性は瞬間移動だ。時間を止められる前に上空に瞬間移動移動した後弟が時間を進めた一瞬をつき、弟を捕まえたのだろう。』
弟は言っていた。時間を止める前に俺に触れているとそいつも俺と同じように喋ったり動くことが出来る。俺に捕まっていたらの話だがな。
俺はその言葉を思い出していた。
『・・・・・・救い出そう。』
『最初っからそのつもりだろうに。』
俺は決意した。この生命に変えても弟を守ると。
『神。弟の場所は分かるか?』
『一応分かるが気配が尋常じゃないくらい薄い。これは探すのに時間がかかるだろうな。ちなみに場所は多分ここから4時の方向だ。かなり遠いぞ。』
『それでも俺は行く。』
俺は翼を広げ、右脚で地面を蹴飛ばし、4時の方向へ地面スレスレを飛んで向かった。
二分程飛んで辿り着いた場所はとても大きな倉庫だ。
『どうだ?弟の気配は。』
『ここで間違いなさそうだな。でも気を付けろよ。これは罠だ。この先に個性を持った虫螻の気配がかなりある。』
『それでも俺は行くさ。』
そう。行くしかないんだ。
俺はシャッターが降りている入り口らしき場所を見つけ、左脚で蹴飛ばした。シャッターは崩壊し引き飛んでいく。敵の数を見る限りざっと二十三、四人くらいだ。階段を上がってすぐの所に弟は椅子に鎖をかけられ動けなくなっていた。
その隣には男が一人。いや三人いた。その内の一人は椅子に腕を乗せていた。
「やぁ、初めまして守蛇兄さん。俺は荒墮 瞬時。早速だけど。死ね」
「弟を返されない限り死んでも死にきれないんでね。そう簡単に死ねないんだよ。」
「そうかいそうかい。でもこの人数を相手にどう戦うと言うんだい?」
「ふ。」
俺は思わず笑ってしまった。
「何がおかしい。」
「ハハハハハハ。この人数?馬鹿げてんな。お前。」
「ふざけるなよ!」
「ふざけてなんかいないさ。ただあいにくこんな人数相手にならないんでね。」
「二十人を前に何戯れ言を吐いている。」
「うん。やっぱすくねぇは人数。」
俺が一番最初に相手にした35人より少ないとなるとほぼ圧勝に近い。
「兄さん!時間を止めるからその内にーーー」
「止めなくていい。お前も見てるといい。俺の勝利を。」
敵のほとんどは切れ、二十人全員で俺にかかってきた。
『面倒だし全員まとめてあの世行きにしたらどうだ?』
『そうだな。それが一番手っ取り早い。』
「何考え事してんだ。俺達への謝罪か?そりゃあありがてぇなぁ!」
「うるせぇよ。」
「あぁ?今何ーーー」
男の言葉は最期まで続かなかった。首元は裂け、頭と身体が別々になって床に倒れ込む。
「おい、嘘だろ?」
誰も俺の行動の速さに目が追いつかなかった様だが弟は追いついていた。
『やっぱすげぇよ。兄さん!』
「はぁ。暇潰しにもらなねぇ。飽きた。全員まとめてあの世行きだ!」
数分後。案の定弟の周りにいる三人を省く二十人が皆死んでいた。ある者は頭破裂し、ある者は身体を真っ二つに裂かれ、ある者は骨さえも残らず血が姿を象っている。
「雑魚ばかり。強い奴はいないのか?神ぐらい《・・・・》。」
「なら、俺が相手をしよう。」
と弟の周りにいた筋肉モリモリなガチムチ男が名乗りを挙げた。
「俺の名前は虎次 重奇だ。宜しく頼む。」
「自己紹介いるか?今からお前は死んじまうんだから。」
「甘く見てもらったら困る。」
重奇はそう言うと右手を開き俺のに向けてきた。
その瞬間。俺は象に踏み潰されているような感覚に襲われた。空気が重い。息が吸いずらい。この感覚はなんだ。
「俺の個性は重力。この重力に耐えられる物なら耐えてみた。」
これは少し、いや、かなりヤバい。




