影の正体 <2/4>
スマホの調子が悪いようで、三度も消えてしまいました……。
その為PCで投稿しました。
遅くなってしまい申し訳ありません。
呆然と彼女の後ろ姿を見ていたのだが、流石に放置出来ない自体が起きた。
フライパンを竈から外したと思いきや、竈脇に置いてある葉付きの枝に手を掛けたのだ。
「待てっ!!」
「ひぅっ!」
焦ってしまい思わず大きな声が出てしまった。
その音量に驚いたのか彼女の体がビクリと跳ね変な声を出していた。
「あ……、悪い。
驚かすつもりは無かったんだけど……。
その枝は危ないから竈に入れないでくれと注意しようとしたんだ。」
慌てて、言い訳という名の理由を説明する。
「は、はい。
あの、何で入れたら駄目なんですか……?」
先程の火が上がり、葉から油が取れる事を彼女に説明する。
説明が終わると、彼女は葉を一枚採り潰した。
手には、油が広がっているだろう。
特に気にした様子もなく、口に運び舐めてしまった。
何をしてるんだ、この少女は。
食用油かどうか分からないことを説明をしなかったのが、悪かったのだろうか。
まるで信じられない物でも見るような目線を、彼女に向けていると……。
「あ、塩味があって美味しい。」
彼女の発言に思わず目を大きく見開いた。
「え、マジで?」
思わず言ってしまったのは仕方ないだろう。
「味見してないんですか?」
「いや、そもそも食用油かどうかも分かってないよ。」
「……ぇ」
彼女が此方に呆然とした顔を向けてきた。
じっと見ていると、変化が現れた。
なんかぷるぷると体を震わせているのだ。
よく見ると、目尻に涙が浮かんできている。
「いや、ほらあれだ!
美味しいんだから問題ないよ!
今食べて何ともなってないし大丈夫な筈!」
「それって私が実験台って事ですよね…。うぅ…。
……こうなったら。」
何故か彼女から不穏な気配を感じる。
こちらに背を向けて、葉を何枚も採っているようだ。
嫌な予感がして、彼女に近づこうとするも一歩遅かったようだ。
フライパンの上から、何枚も握った葉を潰していた。
熱したフライパンに油を落とした為か、ジュワっという油が跳ねるような音が辺り一帯に鳴り響く。
「ふふふ、死なば諸共ですよ。
食用油なら問題ないはずですよ!
おまけに、塩味がついて美味しくなると思います!」
すごい不安になることを言われた。
どうやら食べないといけないようだ。
明日になったら、屍が2つ出来ているとかごめんだぞ。
諦めて大人しく料理が出来上がるのを待つことにした。
「お待たせしましたー!お料理できましたよ!」
出来上がってしまった…。
竈に近づき、火から外されているフライパンを覗き込む。
半分に切られたウサギ肉は表面がパリッと焼かれている。
油がかかっているせいか、肉の表面に艶があるように見える。
見た目だけで言えば、当初の予定だった素焼きよりは美味そうに見える。
ここで箸がないことに気づいた。
今から作るのも面倒だったため、使用しなかった2本の串で代用することにした。
1本を少女に渡し、先に食べるといいよと最後の悪あがきをしてみるも、
「せっかく作ったんですから早く食べてくださいね!」
とやけにプレッシャーのかかる笑顔で返されてしまった。
仕方なく半分になったウサギ肉の片方に、串を通して恐る恐る口に肉を運ぶ。
「おぉ……!」
最初に感じたのは、表面のカリッ、サクッと音が聞こえるような食感だろう。
ついで、瑞々しい肉、プリプリとした弾力が気持ちいい。
噛み締めると出てくるのは、甘さすら感じる肉汁だ。
最後に、油の塩味が肉汁と混ざり合うことで絶妙な美味しさが出来上がっている。
「とんでもなく、美味しいぞ!
油を入れたのは正解だ!」
俺は心からの本音を彼女に漏らす。
それを聞いた彼女も、ウサギ肉に串を刺し口に運んでいた。
喜色満面な笑顔をしている。
あまりの美味しさで笑顔になるのも頷ける。
気づけば、いつの間にか食べ終わっていた。
どうやら余韻を感じ、呆けていたようだ
ふと横を見ると、目尻を垂らし口を開けて呆けている彼女がいた。
恐らく同じように、余韻に浸っているのだろう。
俺の視線に気づいたのか、表情を戻し咳払いを1つしつつ、
「何ですか?」
と聞いてきた。
恥ずかしかったのだろうか、ほんのり頬が赤く見える。
流石に食事もしたし、彼女も落ち着いただろう。
そろそろ大事な話をしてもいいだろう。
「君の事を聞いてもいいかな?」
お読みいただきましてありがとうございます。
次回話もよろしくお願いします。
(2014/11/22) タイトル修正




