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逢魔が時は気をつけて

 途中から検証が楽しくなってしまい、気付けば日が殆ど落ちかけていた。

 大体2、3時間使用したのだろうか?

 成果としてはそこまで多くは無かったけど有意義な時間だったと感じる。


 とはいえ、楽しんでいる場合では無かった。

 こんな人工の光もない場所だ。

 日が暮れる前に、火を付けないと手元も見えなくなるだろ。


 河原に風を感じない為、竈の近くで種火を作る事にする。

 洞窟内から、発火装置一式と木材の削りカスを持って竈前に陣取った。

 竈内には先程用意した薪が置いてあるので問題なし。

 予備に竈の外に、葉が付いたままの枝を置いておく。

 薪が切れたら最悪燃料代わりになるだろう。

 一応燃えやすいように、竈の手間部分に寿古木の削りカスと小枝を設置した。

 これで燃やす準備は整っただろう。


 火切り板を地面に置き、丸い窪みとV字の切れ込み部分に削りカスを配置する。

 丸い窪みに火切り棒を置き、棒の上には押さえる為の木の塊を左手で持ち固定する。

 火切り板に足を乗せ、動かないように固定した。

 右手で、火切り棒の弓部分を握る。

 

 前後に弓を動かすと火切り板のVの字部分の削りカスから煙が出てきた……。

 火切り棒を退かして見ると、赤く見える為種火が出来たのだろう。


 ここで問題が発生した……。

 この種火をどうやって竈前の小枝に移すかだ……。

 板を動かせば火種が消える可能性が高いだろう。

 おまけに、日も落ちてしまい種火から僅かな距離しか見えない。


 この時俺は何を思ったのか、竈脇に置いてあるは葉が付いている枝を手に取り火種に近づけた。

 見た目瑞々しい葉が生えていたのだ、本来であれば煙が出て種火が消えるのが関の山だろう。

 所が予想と反して、盛大に燃え上がったのだ。


 「ぅわっちぃっっ!?」

 火に油でも突っ込みだのか、と言いたい勢いで燃え上がり慌てて、竈に枝ごと突っ込む。


 目の前の竈内では、確りと火種が移ったのか薪に火が回っていた。

 此方はさっきの枝とは違いゆっくりと火が回っている。

 ……植物性油か。

 こんなに燃えるのか?



 竈脇から、葉の付いた枝を取ってみる。

 小さな5センチ程の一枚だけ葉を取り潰してみると、油がじわりと出てきた。

 鼻に近づけ匂いを嗅いでみるが特に異臭はしない。

 どちらかと言えばいい匂いに分類されるだろう。

 似ている匂いは、ココナッツオイルのような感じだろうか。

 流石に食用かは分からないので、舐めるのは控えておいた。

 今のところ食べるものは他に有るので、余裕が出来たら獣で試すべきだろう。



 さて、まだ早いかも知れないがウサギを焼いて早いところ食べて寝るとしよう。

 そう言えば、寝床に何もしてないやと思いだしため息が出る。

 最悪横になれるから良いだろうと自分を納得(自己暗示)させる。


 気を取りなおして、ウサギを調理しよう。

 ウサギ肉を冷やしている川原へと近づこうと立ち上がり視線を移した。




 「ッ!?」

 体が震えた。

 そこで初めて俺は気付いたのだ。

 対岸で影が動いていることを……。

 ウサギ狩りの時、警戒を心掛けた筈だった。

 その後何もなく、気が緩んでしまったのだろう。

 とは言え、今さら警戒したところで遅い。


 竈が邪魔なのが火の光は、川原越しの影が何なのかをはっきりと写してはくれない。

 どうすればいい!?

 とりあえず、武器か!?

 焦ってる俺を置いてきぼりにして、事は起きた。


「た、たずげでくださいぃぃぃ」

気の抜けるような、ダミ声が聞こえたのだ。


 ……はい?

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