ナイフの謎一部解明か
ウサギに角なんて有っただろうか?
いや、無かっただろう。
……もしかしたら、俺が知らないだけで居るのかも知れないが。
まぁ、いいか。
恐らくこの角が、原因で頭が埋まっていたのだろう。
確認の為に埋まっていたのだろう場所を見てみる。
砂利が、邪魔してよく分からないので手でどかしてみる。
そこにあったのは、角と同じサイズ程の穴が空いている大きな石だ。
ふと、体に冷や汗が出てきた。
あのウサギは、石に穴が空く勢いで俺に跳んで来ていたということに気づいた。
警戒せずに近寄っていたら、今頃角が突き刺さって重傷になっていただろう。
顔を冷や汗が流れるのを感じる。
次からも気を付けようと、意識を引き締める為、ついでに冷や汗を流す為に川で顔を洗う。
顔を洗い、落ち着きを取り戻したのでウサギの処理に移る。
とはいえ、屠殺の経験などない。
考えてみれば、生き物を殺すのも初めての筈だ。
その割には特に何も感じないというのも変だが……。
どうすればいいのかは分からないが、とりあえず頭を落とす事にした。
ナイフを呼び出し、平で大きめの石の上でウサギの首に突き刺す。
骨が邪魔なうえに、切れ味が悪く作業に時間がかかってしまうが首を切り落とした。
切り落としたタイミングで、ナイフから音が鳴り響く。
また、鳴った。
そういや、さっきも鳴っていたな。
・枝を削る
・木を削る
・叩きつける(?)
・ウサギにナイフを投げ刺した時
・ウサギの首を切り落とした時
とりあえず、叩きつけるを外すとすると。
何か切った時が共通点だろうか?
イマイチ分からない。
現状試せる事は有るだろうか?
……あるな。
下手したら黒歴史が増えるだけな気もするが……。
一応周囲を確認する。
誰もいない。まぁ、今まで人が居た跡すらなかったけどさ。
「はぁー……」
これからやることに気持ちが落ち、ため息をつく。
仕方ないとばかしに、小声で言っていく。
「……日本刀に変われ」
変わらない。
……いや、まだだ。
「……包丁に変われ」
右手のナイフが多少重くなった。
すぐさま右手に持つナイフを見る。
ナイフではなく、包丁が握られていた。
見た感じ牛刀と言われる種類だろ。
変わってくれて良かったが、まだ謎は解明できていない。
最初から包丁に変わる可能性があって、音とは関係ない場合もある。
桃モドキで、黒歴史を作った時に包丁も試しておくべきだったと後悔してしまう。
現状包丁は有り難いので、確認は後回しで先にウサギの処理を進めてしまおう。
頭を切り落としたウサギの腹側を捌く為に包丁を刺し入れる。
先程のナイフの切れ味が嘘のように、簡単に切れる。
腹を切り開き、内臓等を取り出していく。
さて、ここからどうすればいいのか。
考えてみれば毛を抜いてからの方が良かったのだろう。
今さら思い出しても、後の祭りだ。
少し勿体ない気持ちもするが足を根元から切り落とす。
皮と肉の境目に包丁を刺し入れて皮を剥がしていく。
全身の皮を剥がし終われば完成だ。
お読みいただきましてありがとうございます。
次回話もよろしくお願いします。
(2014/11/21) 字下げ修正




