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29話

 飛び込んだ先は天井も高くなっており、遠くが見渡せる広大な空間だった。

 だが、殺風景ではなく、かといって調度品があるわけでもない。


 その床の一部に置かれた、用途の分からない品々。

 ここは保管庫、または宝物庫として使われていたのだろうか。

 それらの横には鎧姿の兵士が立っていた。


 全力疾走のせいで、皆、体力が回復していない。

 女二人に、ファンとリオネル以外は、状況を確かめる元気もなく、反応すら返せないでいる。


「おい、なにか言ったらどうだ!」


 鎧に彫られた神の紋章は、彼らが神官兵であることを表している。

 だがなぜ遺跡の奥深くに彼らがいるのか。

 神殿が金に困って、宝探しなどと云うわけでもあるまい。

 命知らずな冒険者ではないのだ。


「いや、そもそもお前らはどこから忍び込んだんだ?」


 忍び込んだなど、まるでこの場所が神殿の所有でもあるかのよう。


「ガダフさん、何をやっているんですか、女性もいるんですよ!」


「マウリ助祭は下がっておいてください。まだ、この者達の正体はわかっておらんのですよ」

 

 鎧の間から飛び出てきたのは、鎧姿ではなく法衣に身を包んだ、栗色のおかっぱ髪の柔和そうな少年。

 歳はラーナと同じくらいか。

 ガダフと呼ばれた髭の男の制止を無視し、マウリは一行に近づいてきた。

 

「失礼しました。彼らも職務に忠実なだけで、決して乱暴者と――と!?」


 盗人組とモリスを除いた、息が整っているファン達の方に話を持ちかける。

 が、少年の言葉は途中でなくなり、固まってしまう。


「おい、どうしたのじゃ? わらわの顔がおかしいのか。ううん、なにかついているのか?」


 ラーナは少年の視線が己に固定されていることに不思議そう。

 マウリの瞳に映る己に、なにかおかしな所でもないかと、少年に顔を近づけ、覗きこむ。


「――っい、いえ! そんな、とても美しいです。じゃなくて、なにもついていません!」

 

 朱の差した顔を離し、両手を振り否定する。


「ああっ?! 自己紹介が遅れました。僕は、フェタンの神殿において助祭を務めているマウリと申します。あなたのお名前は――」


 この場合尋ねるべきは、一行全員の素性なのだろうが、熱に浮かされた少年は銀髪の美少女のものだけを確認する。


「マウリ助祭、それでは一向に話が。手荒な真似はいたしませんから、わしらにまかせてもらっても」 


 動揺しているマウリに、それでは話が進まないと、ガダフが話を引き継ぐ。

 そして一行を見回すと、一番話が通じそうだとリオネルに視線を固定した。

 それならばとリオネルは疑問を尋ねる。


「遺跡に侵入したからといって、それを罰する法律は王国同盟には、なかったはずだ。そもそも、君たちのような神官兵が遺跡内部にいる事自体ありえない。こちらに刃を向ける前に、まずはそこから説明してもらえないかね?」


 国家に管理されている遺跡の数は多くない。

 それは、所有するメリットが少ないからだ。

 遺跡内部にある様々な仕掛け。それは命の危険があるものが多い。

 その昔、遺跡にある様々な遺物を目的に、軍を引き連れて探索を行った領主もいたらしいのだが、結果、軍は壊滅状態。

 領地を維持する人材、資金を失った領主は解任、隣の領に吸収されることになった。

 それ以降、数を頼みに遺跡に挑むことの愚かさを知ったものたちは、掌握を放棄。

 メリットと天秤にかけ、遺跡の把握だけに務めるようになった。

 

 それから遺跡に挑むものは、自分の命以外にリスクを負わない冒険者などが主流になる。

 遺跡に欲するものがある領主や貴族などは、彼らを雇い、持ち帰ったものを大金と交換にするなどして、利益を得ていた。


「なるほど、そういうことか。ああ、もう一度聞くぞ。おまえらは、一体どこから入ってきた」


 顎鬚を弄び、ガダフは納得顔になった。

 遺跡への入り口を話したところで、どうだというのか。


「ちなみに言っておく。そっちを見てみろ」


 神官兵は、部屋の奥を指している。

 そこには大穴が空いており、壁が崩れかけている。

 その先は岩肌が剥き出しで、整備がされていない大地が裂けたような通路が続いている。


「あそこをまっすぐに進むと、フェタン神殿、許可されたものしか入室することを許されていない地下祭壇に繋がっている」

 

 とすると、ここはフェタンの街の真下になるのでは。


「そこに、お前らのような素性の知れない怪しい輩が侵入したとなれば、捕まえぬ訳には如何じゃろ?」


「――それは、たしかに」


 リオネルは、転がっているモリスや男どもを見て頷く。


『道理』

 

 ファンも納得しているようだ。


「じゃから、ちーとばかし、臭い飯を食いながら、事情を話してもらえんかのう」


「しかたがない。モリス、協力してさしあげろ」


 まだ息も絶え絶えのモリスは返事ができない。


 ――ちなみに、ご苦労様と神官兵を労って、横を通り過ぎようとした怪しい美丈夫と外套の男はすぐに拘束された。


「なあ、セラ。臭い飯って美味しいのか? わらわの分もあるのじゃろうな?」


「いえ、たぶん期待するほどのものではないと――」


 こんな状況でするにはどうでもいい、ラーナの疑問。

 その従者は呆れたように笑っていた。


アクセス解析の話別を見たところ一話二話でだいぶ取りこぼしているようで。

これは、文章に問題があって読むのをやめた人がいるのか、ストーリーが面白くないからやめた人なのか。ここら辺を他の人気作を参考にして考えているんですが、物語の都合上いじれなくて困っています。

これこそが人気が出ない原因だと自覚できればいいんですが。

次の更新も頑張ります。

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