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撤退のその瞬間まで、アヴァロンは怠惰な時を過ごすことになっていた。
だが、そうはならなかった。
ノーマッド、スリープからの反対はなく、ジェーンが、何を言うことも、何かを伝えることもなかった。
そして、戦うことは、決まった。
この戦いにおいて、アヴァロンに敗北はない。仮に、基地の襲撃に失敗し、部隊が全滅しても、或いは、アヴァロンが去った後、反政府勢力が全滅したとしても、それは、アヴァロンにとっての敗北ではない。
データ収集という言葉を弄し、フェブラリーの欲望を刺激し、戦うことを認めさせた。
その時点で、アヴァロンの勝利は約束された。戦うこと、それこそが、ネームドの求めるものであった。
リスクがないわけではない。
ストラティクスが立つ彼方の戦場にはない。そこに敵はいない。死は、アヴァロンの傍らにある。
委員会の意向は解らない。アークの真意など解り得ない。黙認された。だが、それが意に沿うことであるかは、果たして疑問だった。
人形に意志があることを悟られてはならない。此処には、棺しかない。身に纏う鎧はない。
だが、それでも、ネームドは、遥か遠方にある国で、最期の瞬間まで、戦うことを選んだ。
それは、誰のためでもない。
自身のために、アヴァロンのために、ただ、その時まで、戦い続けるために、嘘と礼節を纏い、心の中で灯る蒼い炎を守るために、
ネームドは、戦うことを選んだ。




