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車列の最後尾に位置する兵員輸送車の荷台、天蓋に覆われた薄闇の中で、兵士たちは虚ろな瞳で何かを視ていた。
彼らに趣味はない。この世界には、女と賭博以外の娯楽は存在しない。だから、何もすることがない。
何もできない。ただ、茫としている。何も考えていない。携えた銃に触れ、その強さを感じ、生きていることを実感する。
ただ、生きて、生きている。それだけを感じながら、戦いのはじまりを待っていた。だが、彼らの戦いがはじまることはなかった。
ふと、奇妙な音が上から響いた。降ってきた何かがぶつかった。そういう音がした。
彼らは、一瞬、反応するが何もしなかった。敵襲を告げる笛の音が鳴り響くまで、彼らは動かない。それが彼らの習性だった。
兵員輸送車は、何事もなく走り続けている。だから、彼らは、何かがぶつかった。それだけだと判断した。何かとは、動物かもしれないし、樹の枝かもしれない。何れにせよ、どうでも良かった。
襲撃者が兵員輸送車に飛び移ってきた。などと彼らが考えるはずもなかった。映画ではないし、そも、映画などというものを観たことは彼らにはなかった。
音がしてから、間もなく、奇妙で不快な音が車両の前方で鳴った。それは、金属が軋み、ひしゃげ、引き裂かれる音。そういう音だった。
彼らは、反応するしかなかった。だが、何が起きているのかは解らない。想像さえもできない。トラックは走り続けている。降りることはできない。だから、状況を確かめることもできない。
ただ声を上げるしかなかった。薄闇の中で、次々と言葉が放たれ、喧騒となる。だが、その雑多な音に何かを変える力はない。
彼らが、兵員輸送車が加速していることに気づいた時には、既に遅かった。兵員輸送車は、重力から、制御から、解き放たれていた。荷台の薄闇の中で、彼らの身体は舞っていた。
彼らは、何が起きているのか、何も解らなかった。ただ、感覚が告げていた。
墜ちていると、




