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全国にチェーン展開するシアトルスタイルカフェの3階、窓際にある席でネームドは、頬杖をついていた。
街を行く人々を俯瞰しながら、甘ったるい珈琲のような何かで喉を癒し、独り呟いては、ため息をつく、そんなことを繰り返していた。
何も起きなかった。何か起きたことなどなかった。だから、何かが起きるわけなどない。ネームドは、そう考えていた。それは、数時間前までは、事実だった。
だが、何かは起きた。日常は、既に日常ではない。
待ち望んでいた。そのはずだった。だが、それでも、惑うしかなかった。
ネームドの視線の先、対面の席には、少女がいた。妖精の如く美しい少女。現実を侵食するように、現れた少女の姿に、ネームドは、微かに笑う。笑うしかなかった。
ゲームのやりすぎだ。
そう、やりすぎたんだ。




