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桐生  作者: 深月桂
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5.さて、ここからが物語。

翌日、終礼にて。

進路調査用紙が配られた。

「来年にはなくなってしまうとはいえ、この学校の進路指導は2年生から始まるものだ。だからこの希望用紙を4日後の朝礼で出すように。わかったか?」

「はーい」

クラスの全員が返事をする。

「以上だ。仕事して帰れよー。何かあったら職員室まで来い。じゃあな」

「さようなら」


「大学か……どうする?」

悠子が佳魅に話しかける。

「一応決めてる」

「そうなんだ、何処?」

「県立xxxだよ」

「そうなんだ……」

「悠子は?」

「んー、進学する道としては佳魅と一緒だけど、どこの大学かは家族と相談する」

「そうなんだ」

「もし、大学が違ってもずっと一緒に……いられるよね」

「ああ、もちろんだよ」

「だよね」

……仲のいいことで。よかったね。


「説得してみようよ」

こっちは宗と慎太。

「もう何度も言っているんだけどね」

宗は家の都合上、両親は医者を希望しているようだ。

「先生には相談してあるんだから、三者面談とかで回を重ねれれば御両親は理解してくれるよ」

「……だといいね」

「僕、先にいってるから」

「わかった、ありがとう」


いろいろあるんだなーなんて思っていると、教室には自分と宗しか居なかった。

なんだ、もっと他の人の進路を盗み聞きできるかな、なんて思っていたけど。そんな少々うざいことを頭に思い浮かべたが、あきらめて素直に外へ出た。


「おい、早く来いよ!」

外に出ると皆何かを囲んで集まっていた。

「宗も早く!」

振り向くと宗も来ていた。

「どうしたの?」

「ルルが……」

「……」

小さなルルが横たわっていた。

外傷はない。

でも、息をしていなかった。

紫苑が泣いていた。

「一年生きてないのに……死ぬなんて……早すぎるじゃない!」

しょうがないよ。そんなことを言ったって生き物なんだ。命の灯火はいつか消える。今か一日後か、遠い先なのか。わからないけどね。

御琴が紫苑の頭をなでた。

佳魅が立ち上がった。

「先生に言ってくる」

「ありがとう」

「私も行く」

悠子も立ち上がった。

「一緒に行こう」

二人が立ち去った後、御琴は紫苑にハンカチを差し出した。

「ありがとう……」

「このままじゃ、作業の方が終わらないから陸達に仕事任せていいかな?」

「いいよ」

「うん、わかった」


翌日、自分達は一年も生きられなかったルルを見送った。

ルルが来たのは確か春。来年廃校なのに、学校がなくなった後誰がルルを育てるんだ、なんて思ったけれど先生の誰かが連れて帰ると聞いた。まさか保健所じゃないだろうな、と思っていた僕達にとっては一安心だった。

名前の由来は紫苑がまだ産毛たっぷりのふわふわのルルを抱っこしながら「らんらんる~」なんて言って学校を歩き回っているところを、学校関係者全員に目撃されたから。それを知った自分達のなかで、慎太がルルにしようと提案したのだ。自分より大きいぬいぐるみをくわえて懸命に振り回して遊んでいたのを鮮明に覚えている。


そんなルルが急死した。原因は不明。病気が見つかった訳でもなく、外傷があったわけでも、弱っていたわけでもない。

まさか、こんな可愛い、皆から愛されているルルを誰かがいじめるはずもないだろう。

自分達の中で、ルルの死はどこか謎を残した。


翌日、国語の授業にて。

題材は夏目漱石「こころ」。三角関係になった末の親友の自殺。親友といえど、関係を悪くする出来事にろくな結果は出ない。

周囲のノートを見ると、皆落書きをしている。どんだけ国語が嫌いなんだよ。唯一絵ではなく文字を書いてる宗は「われらはいかにあるかを知るも、われらがいかになるかを知らず」と書いてあった。進路、悩んでんだな……なんて思っていたけれど。黒板の文字を写そうぜ。紫苑は小さかった頃のルルの絵を描いて感傷にひたってるし。泣くなよ……?


なんとなくいつも通りの授業を終え、普通に昼休みを迎えた。

だいたいは動物達にご飯をあげたり掃除をしたりする。

犬小屋を見て少し寂しさを感じたが、いつまでも引きずっては仕方がないので、作業に専念することにした。

「臆病者は、本当に死ぬまでに……、勇者は一度しか……ない……。僕は……」

「宗?なに言ってるの?」

「あ……なんでもない」

「ならいいけどね。相談ならいつでも乗るから」

「うん」

宗は大丈夫なんだろうか。

そんなことを思いながら僕は埃を箒で掃いた。

書いててたのしくなってきました。学校が始まるまでに話を進めておきたいので、急いで書いてます。がんばりますので、これからもよろしくお願いします。

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