3.通常回その1
生物の授業にて。
人体の構造が……DNAがどうとか……そんな話だ。
意味がわからない。ここにいるやつのどれほどが理解しているのだろう。確実に理解している彼を除いて……悠子くらいか?だといいな、なんて思っていると。
「宗、この問題を解きなさい」
さっそく秀才君が当てられた。
自分はさっぱりだ。
黒板へ歩き、チョークを手に取り、シャツの袖が落ちないように左手で抑えながら、すらすらと計算し始めた。
流石だよ。
「はい、正解。わからなかった人、ノートに写しておきなさい」
かつかつとペンを走らせる音がする。みんな真面目だ。
ふと隣を見ると紫苑が動物の絵を描いていた。
そして、斜めを見ると陸と御琴がぼーっとしていた。
お前らはわからない組だろう、写せよ。
悠子は落とした消しゴムを佳魅に拾ってもらっていた。
そこ、授業中だ。
慎太ぐらいだろう、真面目に写してるのは……と思ったら。
彼は窓の外の鳥の巣を眺めていた。
あ、雛が顔出した!生命の神秘だ!
じゃ、ねーよ。まずは黒板に注目しろ。
放課後、実習の時間。
馬の毛並みを整えていた。
外は湿気等でめちゃくちゃ暑いのに、長ずぼんでいなければならない地獄。袖は宗以外まくっている。
はやく終わらせて帰りたい。そんなことを考えながら自分は干草をかき集めていた。
「今日も元気にしてましたかー?私が居ない間、寂しく無かったですか?」
馬に話しかける紫苑。めちゃくちゃいきいきしている。
子馬の面倒を見る宗と慎太。相変わらず仲がよさそうだ。
黙々と作業をする数名。
あー、暑い。
「な、ルルの様子おかしくないか?」
佳魅が抱いてきたルルとは学校内で飼っている柴犬だ。
「昨日まで元気だったよな」
桐生が近づく。
「病気かな?」
陸も寄ってきた。
そして宗と慎太が駆け寄ってくる。
「夏バテかな……」
「呼吸は普通だし、鼻も乾いてない。脱水じゃないと思う」
「流石、宗だね」
「じゃ、なんだろう?」
陸がなでなでしながら口を開く。
「なんかの病気かな」
御琴。
「後で先生に言っておこう」
佳魅の一言で、その場は解散となった 。
その他はいつも通り、めんどくさい作業をすませ、それぞれ下校した。
「おつかれー」
佳魅と悠子がさっさと帰りだした。
「また明日ー」
宗と慎太が教室を出る。
「桐生、一緒にかえろう?」
「あー、いいよ」
陸と御琴が帰っていった。
そして紫苑が無言で教室を出る。
ま、自分達の一日はこんな感じだ。
動物好き馬鹿や、がり勉たちのように日々が楽しいなんて到底思えない、あたりまえすぎる毎日。
それは普通、もしくは退屈であった。
まだまだ続きます。よろしくお願いします。